2023年 北嶺中学校 算数(1)
2023年度 北嶺中学校 算数 分析と解説(総評・大問1、2)
本年度入試では、例年通り大問は5問、小問総数は昨年度から1問増え、21問でした。このうち、大問1は計算問題が4題、大問2は単問形式の小問が5題でした。
難度が高い問題は、大問5の(2)
易しい問題は、大問2の(2)、(3)、(5)、大問3の(1)でした。
それ以外の問題は、北嶺中学校入試として平均的な難易度の問題でしたが、やや易しい問題が多かったのが本年度入試の特徴と言えます。
2023年度の出題内容は、次の通りです。
大問1 解説はこちら
(1) | 整数の四則計算 |
(2) | 小数の四則計算 |
(3) | 分数の四則計算 |
(4) | 小数・分数の四則計算(還元算) |
大問2 解説はこちら
(1) | 数の性質(対数) |
(2) | 和や差に関する問題(3つの式の和差算) |
(3) | 割合に関する問題(仕事算) |
(4) | 組み合わせ |
(5) | 平面図形(中心角の逆算) |
大問3 解説はこちら
・方陣算
大問4 解説はこちら
・立体図形(立体の切断)
大問5 解説はこちら
・時間と速さ(シャドーを利用する旅人算)
◎ 大問1
例年通り4問の構成でした。合格を目指すならば、確実に得点する必要があります。ミスなく、ていねいに取り組みましょう。
(1)
\begin{align*}
& \frac{117\times76}{2\times19\times26\times3}
\\[9pt]=&\frac{\cancel{13}^1\times\cancel{9}^3\times\cancel{19}^1\times\cancel{4}^1}{\cancel{2}^1\times\cancel{19}^1\times\cancel{2}^1\times\cancel{13}^1\times\cancel{3}^1}
\\[9pt]=&3
\end{align*}
\(\underline{\rm{答. 3}}\)
(2)
\begin{align*}
& 0.37\times6-1.4\times0.27-0.51\times1.9
\\[9pt]=&2.22-0.378-0.969
\\[9pt]=&0.873
\end{align*}
\(\underline{\rm{答. 0.873}}\)
(3)
分数の乗除問題は、途中の段階ではかけ算のまま置いておいた方が良い場合があります。
\begin{align*}
& \left(\frac{11}{12}-\frac{9}{10}\right)\div\left(\frac{7}{8}-\frac{5}{6}+\frac{3}{4}-\frac{1}{2}\right)\div\left(\frac{9}{11}-\frac{5}{7}+\frac{1}{3}\right)
\\[9pt]=&\frac{55-54}{60}\div\left(\frac{21-20+18-12}{24}\right)\div\left(\frac{189-165+77}{3\times7\times11}\right)
\\[9pt]=&\frac{1}{\cancel{60}^5}\times\frac{\cancel{24}^2}{\cancel{7}^1}\times\frac{3\times\cancel{7}^1\times11}{101}
\\[9pt]=&\frac{66}{505}
\end{align*}
\(\underline{\rm{答. \cfrac{66}{505}}}\)
(4)
分母が2、4、5、8、10、20になる分数については、ひと目で分数と小数とを変換できるようになっておきましょう。
\begin{align*} 5\times1.25+3\times\frac{1}{4} & =\left\{1.6+\left(\frac{1}{3}-\frac{1}{5}\right)\div\frac{1}{10}\right\}\times\left(2\frac{1}{2}\times0.7+\boxed{\phantom{hoge}}\right)
\\[9pt]\left\{1.6+\left(\frac{1}{3}-\frac{1}{5}\right)\div\frac{1}{10}\right\}\times\left(2\frac{1}{2}\times0.7+\boxed{\phantom{hoge}}\right) & =5\times1.25+3\times\frac{1}{4}
\\[9pt]\left(\frac{8}{5}+\frac{2}{\cancel{15}^3}\times\cancel{10}^2\right)\times\left(\frac{\cancel{5}^1}{2}\times\frac{7}{\cancel{10}^2}+\boxed{\phantom{hoge}}\right) & =\frac{25}{4}+\frac{3}{4}=7
\\[9pt]\frac{7}{4}+\boxed{\phantom{hoge}} & =7\div\left(\frac{8}{5}+\frac{4}{3}\right)=7\times\frac{15}{44}=\frac{105}{44}
\\[9pt]\boxed{\phantom{hoge}} & =\frac{105}{44}-\frac{7}{4}=\frac{105-77}{44}=\frac{28}{44}=\frac{7}{11}
\end{align*}
\(\underline{\rm{答. \cfrac{7}{11}}}\)
◎ 大問2
例年通り5問の構成でした。
取り組みやすい問題が多く、(2)、(3)、(5)は基礎レベルの問題でした。
(1)
指示された規則にしたがって計算する問題です。示された規則\((\rm{A\star B})\)によって表される数を「対数」といいます。
対数は高校数学の範囲ですが、きちんと規則を読めば、さほど難しくはないはずです。
なお、平成20年度の大問1(5)でも、同じ考え方の問題が出題されていました。
4096は2を12回かけた数なので、\((2\star4096)=12\)、
729は3を6回かけた数なので、\((3\star729)=6\)です。
\((2\star4096)-(3\star729)=12-6=6\)、
\(2\times(5\star\boxed{\phantom{hoge}})=6\)より、\((5\star\boxed{\phantom{hoge}})=3\)です。
\(\boxed{\phantom{hoge}}\)は5を3回かけた数なので、\(5\times5\times5=125\)となります。
\(\underline{\rm{答. 125}}\)
(2)
3つの式を全て足すと、A、B、Cをそれぞれ5個ずつ買ったことになります。
(400+390+560)÷3=270
\(\underline{\rm{答. 270円}}\)
(3)
仕事全体を1とします。
Aは1日で\(\cfrac{1}{12}\)、Bは1日で\(\cfrac{1}{18}\)、Cは1日で\(\cfrac{1}{24}\)の仕事をします。
A、Bがそれぞれ6日働くと、合計の仕事量は\(\cfrac{1}{12}\times6+\cfrac{1}{18}\times6=\cfrac{5}{6}\)です。
これより、Cの1日の仕事量は\(1-\cfrac{5}{6}=\cfrac{1}{6}\)とわかります。
よって、Cが仕事をした日数は、\(\cfrac{1}{6}\div\cfrac{1}{24}=4\)(日)となります。
\(\underline{\rm{答. 4日}}\)
(4)
はじめに、6つの果物を4組に分ける方法を考えます。
これには、(3、1、1、1)と(2、2、1、1)の2通りがあります。
i) (3、1、1、1)のとき
果物が3個ある組に、りんごが何個あるかを考えます。すると、残りの組は自動的に決まります。
3個の組にりんごが入っている組み合わせとしては、2個、1個、0個の3通りが考えられます。
ii) (2、2、1、1)のとき
果物が2個ある2つの組に、りんごが何個あるかを考えます。
これらの組にりんごが入っている組み合わせとしては、(2、0)、(1、1)、(1、0)、(0、0)の4通りが考えられます。
i)、ii)より、組み合わせの合計は3+4=7(通り)です。
\(\underline{\rm{答. 7通り}}\)
(5)
おうぎ形の弧の長さは、\(\left(半径\times2\times3.14\times\cfrac{中心角}{360}\right)\)で求めることができます。
\begin{align*}
10\times2\times3.14\times\frac{あ}{360} &= 10
\\[9pt] \frac{あ}{360} &= \cancel{10}^1\times\frac{1}{\cancel{10}^1\times2\times3.14}
\\[9pt] あ &= \frac{\cancel{360}^{180}}{\cancel{2}^1\times3.14}
\\[9pt] あ &= 180\div3.14=57.32\cdots\fallingdotseq57.3
\end{align*}
\(\underline{\rm{答. 57.3度}}\)