2015年 ラ・サール中学校 算数

今回は、九州有数の進学校であるラサール中学校の算数を取り上げます。

本校の入試は算数100点・国語100点・理科50点・社会50点の300点満点で、

近年の合格ラインは180点前後です。

例年の各教科の合格者平均と不合格者平均の得点差は、

算数12~16点、国語6~9点、理科4~6点、社会3~5点となっています。

算数の結果が、合否を大きく左右する入試と言えます。

本年度入試の平均点は未発表ですが、昨年度の大問5のような難問は1問も見られませんでした。

大問2の小問も解きやすい問題が多かったので、全体には昨年度にくらべてかなり易化しました。

合格するには最低7割以上、できれば8割以上の高得点が欲しいところです。

なお、過去5年間の標準札幌校からの合格率は89.5%で、高い合格率を維持しています。

 

2015年の算数の総解答数は20題でした。

制限時間が60分と十分にあるので、いそがしい入試ではありません。

出題内容は、次の通りです。

 

大問1(12点) 計算問題3題12点)

大問2(30点)

(1)数の性質(分数)

(2)比と割合

(3)相当算

(4)平面図形(折り返しと角度)

(5)平面図形(面積と比)

大問3(15点) 時計の短針と長針の角度

大問4(12点) 平面図形(三角形の面積と辺の比)

大問5(16点) 立体図形(地面にできるかげ)

大問6(15点) 速さと比

 

算数入試の特色として、「毎年の出題傾向がほぼ一定である」ということが挙げられます。

後半の大問4題のうち、「速さと比」「平面図形」「立体図形の求積」の3分野から1題ずつ出題され、

残りの1題は「数の性質」「場合の数」「文章題(ニュートン算・仕事算・損益算など)」などの分野から

年替わりで出題されます。

なお、本校の算数の入試問題は、全国的にもめずらしい「手書き」スタイルです。

大問ごとの配点が問題用紙に明記されているのも、大きな特徴です。

今回は、本校の入試の典型的な出題となった大問4と大問6を取り上げて解説します。

このうち、大問4は「チェバ切り」という解法を知っていればきわめて平易なので、

合格するためには絶対に正解したい問題です。

2016年度の道内の中学入試でも、十分に出題の可能性のある解法です。

1年後に入試をひかえた受験生で未習得の人は、是非この機会に理解しておきましょう。

大問6はやや難度が高めですが、(1)さえ解ければ(2)は容易に正解できます。

速さの比と時間の比の関係を理解するには、もってこいの良問です。


2015-lasalle-math1

「チェバ切り」(関西の学習塾では「ベンツ切り」と呼ばれることが多いようです)という手法を知っていれば、

2~3分で完答できます。

 

法則自体はきわめて単純です。

 

下の図で、

三角形ABD : 三角形ACD = BE : EC

2015-lasalle-math2

(1)

面白さ☆☆  難度B

AD : DC = 1 : 3 なので、三角形ABD : 三角形CBD = 1 : 3 となり、

三角形CBD=三角形ABC×3/4になります。

条件から、三角形BCE=三角形ABC×2/5 なので、

三角形CDE=三角形CBD-三角形BCE=三角形ABC×(3/4-2/5)=三角形ABC×7/20

よって、三角形CDE : 三角形ABC = 7 : 20 になります。

答え 7:20

 

(2)

面白さ☆☆  難度B

三角形ACE : 三角形CDE = AC : DC = 4 : 3 なので、

三角形ACE=三角形CDE×4/3=三角形ABC×7/20×4/3=三角形ABC×7/15になります。

よって、AF : FB = 三角形ACE : 三角形BCE = 7/15 : 2/5 = 7 : 6 になります。

答え 7:6


2015-lasalle-math3

(1)

面白さ☆☆☆  難度C

花子の出発が6分おくれたので、最初の6分間は太郎だけが進んでいます。

花子と太郎の速さの比は、16 : 4 = 4 : 1 、

(花子と太郎の速さの和):(太郎の速さの比)は、 (4+1) : 1 = 5 : 1 なので、

太郎が6分で進む道のりを、花子と太郎が向かい合って進むと、6×1/5=1.2(分)で進むことができます。

よって、2人が出会うのは予定よりも、6-1.2=4.8(分)おそくなります。

このとき、2人が出会うまでに花子が進む時間は予定よりも1.2分短くなるので、

2人が出会うのは、C地点よりも16×1000×1.2/60=320(m)だけA地点に近いところになります。

答え 4.8分・320m

 

(2)

面白さ☆☆☆  難度C

花子は出発が6分おくれたので、C地点につくのも6分おくれます。

よって、太郎がC地点に着いたとき、

花子はC地点まであと、16×6/60=1.6(㎞)の地点を進んでいます。

このときの花子の位置をD地点とします

太郎がC地点に着いてすぐに引き返し、追いかけてくる花子とちょうどB地点で出会ったとすると、

DB : CB = 4 : 1 (花子と太郎の速さの比と同じになる)、

DC : CB = (4-1) : 1 = 3 : 1 なので、CB=1.6×1/3=8/15(㎞)になります。

このとき、AC : CB = 4 : 1 (花子と太郎の速さの比と同じになる)、

AB : CB = (4+1) : 1 = 5 : 1 より、

AB=8/15×5=8/3(㎞)になります。

図で表すと下のようになります。

2015-lasalle-math4

実際には、太郎がB地点に戻るまでには、花子が太郎に追いついていないので、

AB間の道のりは8/3㎞より短くなります。

答え 8/3㎞以下

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