2011年 北嶺中学校 理科
『北嶺突破ゼミ』開講に合わせて、過去の北嶺入試で出題された難問や、
合否を分けた問題を解説しています。
本年度の第三回目は、2011年の理科大問3・4です。
いずれも基本的な知識を問う問題です。
大問3は易しいので、合格するには全問正解したいところです。
大問4は単なる知識だけではなく、「思考力」「分析力」も要求されるため、かなりの難問でした。
是非、積極的に問題に取り組んで、セキツイ動物の分類、特徴(とくちょう)の知識を整理しておきましょう。
なお、問題は、標準札幌校ホームページの北嶺中学過去入試問題からダウンロードできます。
大問3
(1)
面白さ☆ 難度A
ろ過のしかたを確認しておきます。
① ろ紙を半分に折り、さらに半分に折って、ふちを少しちぎる。
② ろ紙を円すい形に開き、ろうとに入れて、蒸留水でぬらして密着させる。
③ ろうとの足のとがった方をビーカーの内側のかべにつける。
④ ガラス棒の先をろ紙の三重になっている部分にあて、ろ過する液体をガラス棒に伝わらせて入れる。
⑤ ろうとに入れる液の量は、常にろ紙のふちから1㎝くらい下までにする。
①で、ろ紙のふちを少しちぎる理由を説明しておきましょう。
ろ紙を円すい形に開くと、紙が三重になっている部分があるので段差ができてしまいます。
段差の一部をちぎることで、ろ紙とろうとの密着がよくなり、ろ過が効率よく行われるのです。
答え ウ
(2)
面白さ☆ 難度A
5種類の物質のうち、水にとけるのは、砂糖と食塩です。
答え 砂糖、食塩
(3)
面白さ☆☆ 難度B
糖類を加熱すると、黒褐色(かっしょく)をしたねばりけのある物質に変わります。
これをカラメルといいます。
カラメルの状態からさらに過熱すると、最後には炭になります。
これは糖類に炭素がふくまれているからです。
「食塩水を熱して水を蒸発させると食塩の結晶が得られるが、
砂糖水を熱してもこげてしまって、砂糖の結晶は得られない」
ということは、知識として頭に入れておきましょう。
ちなみに、低温で時間をかけて砂糖水の水分を蒸発させると、砂糖の結晶を得ることができます。
氷砂糖やザラメなどが、これにあたります。
ここでは、ろ液を蒸発皿にとり、ガスバーナーで十分に加熱することで、
蒸発皿には食塩と炭の混合物が残ります。
この混合物に多量の水を加えてろ過すると、ろ紙には水にとけない炭が残り、ろ液には食塩がとけこみます。
答え オ
(4)
面白さ☆ 難度A
ろ液①は食塩水です。
食塩水の性質は中性で、電気をよく通します。
答え ア、オ
(5)
面白さ☆ 難度A
〔操作1〕でろ紙に残った固体は、アルミニウム、ホタテの貝がら、二酸化マンガンです。
ここに水酸化ナトリウム水溶液を加えると、アルミニウムだけがとけて、水素が発生します。
水素は無色でにおいがない気体です。
気体のなかでは最も軽く、火をつけると燃えて水ができます。
答え エ
(6)
面白さ☆☆ 難度B
〔操作3〕でろ紙に残った固体は、ホタテの貝がら、二酸化マンガンです。
ホタテの貝がらの主成分は、炭酸カルシウム(石灰石の主成分と同じ)なので、
ここにうすい塩酸を加えると、ホタテの貝がらだけがとけて、二酸化炭素が発生します。
二酸化マンガンは塩酸にはとけないので、ろ紙に残ります。
答え 二酸化マンガン
(7)
面白さ☆ 難度A
鉄はうすい塩酸にとけて、水素が発生しますが、水や水酸化ナトリウム水溶液にはとけません。
答え ウ
大問4
(1)
面白さ☆☆ 難度A
背骨がある動物(セキツイ動物)は、大きく分けて次の5種類です。
さらに、は虫類、両生類にふくまれる動物の種類も覚えておきましょう。
セキツイ動物
魚類
両生類(カエル、サンショウウオ)
は虫類(ヘビ、ワニ、トカゲ、ヤモリ、カメ)
鳥類
ほ乳類
5種類のセキツイ動物の特徴をまとめると、次のようになります。
ウナギは魚類、カメはは虫類です。
答え エ、カ
(2)
面白さ☆☆☆ 難度B
カエル、メダカ、ヘビ、ペンギン、クマは、
それぞれ、両生類、魚類、は虫類、鳥類、ほ乳類で、すべてセキツイ動物です。
①はA~Eに共通する特徴なので、「背骨の有る無し」です。
④はBだけが異なるので、(1)の表から「呼吸器の種類」とわかります。
答え ① ウ ② ア
(3)
面白さ☆☆☆ 難度B
問題の表中の心臓のつくりから、Bは1心房1心室なので、魚類(メダカ)、
Cは不完全な2心房2心室なので、は虫類(ヘビ)とわかります。
Dは2心房2心室なので、鳥類(ペンギン)または、ほ乳類(クマ)であることがわかります。
また、Eは体の表面が粘膜でおおわれているので、両生類(カエル)とわかります。
さらに残ったAは、鳥類または、ほ乳類になります。
②はAとD(鳥類,ほ乳類)の2種類が同じ特徴を示しているので、
「体温を一定に保つ能力の有る無し」だとわかります。
B、C、E(魚類,は虫類,両生類)に●がついているので、●は「無し」を表します。
この時点で残った項目は③だけなので、消去法により、③は「子や卵の産み方」だとわかります。
Aにだけ○がついているので、○は「たい児を産む」、●は「卵を産む」となり、Aがほ乳類、Dが鳥類とわかります。
答え イ
(4)
面白さ☆☆ 難度B
Aはほ乳類なので、心臓のつくりは2心房2心室です。
Eは両生類なので、心臓のつくりは2心房1心室です。
答え A イ E ア
(5)
面白さ☆☆ 難度C
動物B(魚類)の心臓の図では、エが心房、イが心室にあたります。
つまり、血液の流れはウ→エ→イ→アとなります。
アを通った血液は、呼吸器(えら)へと流れます。
動物D(鳥類)の心臓の図では、クが右心房、オが左心房、キが右心室、カが左心室にあたります。
血液の流れは人間と同じで、全身→右心房→右心室→呼吸器(肺)→左心房→左心室→全身です。
人間の血液の流れは、ほとんどの受験生がしっかりと学習して理解していますが、
魚類の血液の流れを、自信を持って答えられた受験生は少ないでしょう。
答え 1 ウ 2 エ 3 イ 4 ア 5 ク 6 キ 7 オ 8 カ
(6)
面白さ☆☆☆ 難度C
卵を産むB~Eの4種類が、さらに2つのグループに分けられています。
■がついているのはBとE(魚類,両生類)なので、
(1)の表から■の特徴は、「卵を水中に産む」、「卵にからが無い」だとわかります。
答え 卵を水中に産む、卵にからが無い