2022年 北嶺中学校 算数(1)

2022年度 北嶺中学校 算数 分析と解説(総評・大問1、2)

本年度入試では、例年通り大問は5問、小問総数は昨年度から2問減り、20問でした。このうち、大問1は計算問題が4題、大問2は単問形式の小問が5題でした。

難度が高い問題は、大問2の(3)、大問4の(4)

易しい問題は、大問2の(1)、大問4の(1)、(2)でした。

それ以外の問題は、北嶺中学校入試として平均的な難易度の問題でした。

2022年度の出題内容は、次の通りです。

大問1 解説はこちら

(1) 平方数の積、分数に変換できる小数
(2) 分数の四則計算、連分数
(3) 分数の四則計算、□を使った式(還元算)
(4) 時間の四則計算

大問2 解説はこちら

(1) 時計算
(2) 和や差に関する問題
(3) 数の性質(約数の逆数の和)
(4) 規則性(等差数列・連続する奇数の和)
(5) 平面図形(3つの相似形)

大問3 解説はこちら

・仕事算

大問4 解説はこちら

・平面図形(点の移動と面積の変化)

大問5 解説はこちら

・平面図形(折り返しと相似形)

 


◎ 大問1

例年通り4問の構成でした。複雑な計算問題ですが、ていねいに解いて全問正解を目指しましょう。(1)や(3)は、工夫することで比較的簡単に対応できます。ふだんから計算問題の演習に取り組み、工夫して計算する考え方を養っておきましょう。(4)は時間の計算ですが、2016年度以来6年ぶりの出題となります。

 

(1)

17×13は普通に計算しても難しいかけ算ではないですが、(A+B)×(A-B)=A×A-B×Bという法則を知っていれば、
\begin{align*}
(15+2)\times(15-2)=15\times15-2\times2=225-4=221
\end{align*}

と、素早く求めることができます。

また0.0625は、0.625=\(\frac{5}{8}\)の\(\frac{1}{10}\)倍なので、\(\frac{5}{80}\)=\(\frac{1}{16}\)とわかります。

 

\begin{align*}
& (349-17\times13)\times0.0625
\\[9pt]=&(349-221)\times\frac{1}{16}
\\[9pt]=&128\times\frac{1}{16}
\\[9pt]=&8
\end{align*}

\(\underline{\rm{答. 8}}\)

 

 

(2)
\begin{align*}
&1\div\left[1+1\div\left\{1+1\div\left(1+\frac{3}{4}\right)\right\}\right]
\\[9pt]=&1\div\left\{1+1\div\left(1+\frac{4}{7}\right)\right\}
\\[9pt]=&1\div\left(1+\frac{7}{11}\right)
\\[9pt]=&\frac{11}{18}
\end{align*}

\(\underline{\rm{答. \cfrac{11}{18}}}\)

 

この問題の式は、

\(\cfrac{1}{1+\cfrac{1}{1+\cfrac{1}{1+\cfrac{3}{4}}}}\)

と書き換えることができ、連分数と同じ構造をしていることがわかります。連分数の問題は、関東・関西の難関中学でもたびたび出題されています。

\(\cfrac{707}{500}=\cfrac{1}{2+\cfrac{1}{2+\cfrac{1}{2+\cfrac{1}{\boxed{\phantom{ho}}}}}} \)

(2016年 洛星)

\(\cfrac{1}{1+\cfrac{1}{1-\cfrac{1}{6}}} \)

(2019年 女子学院)

\(\cfrac{5}{7}=\cfrac{1}{1+\cfrac{1}{\fbox{ア}-\cfrac{1}{\fbox{イ}}}}\)

(2020年 大阪星光学院)

 

 

(3)

分数の乗除問題です。計算途中のかけ算は、最後まで式の形のまま残しておきましょう。あとで、まとめて約分することができます。
\begin{align*} \frac{38}{63}\div\left\{\left(5\frac{5}{6}-3\frac{2}{3}\right)\div\boxed{\phantom{hoge}}\times\frac{11}{21}\right\} & =\frac{8}{33}
\\[9pt]\frac{13}{6}\times\frac{11}{21}\div\boxed{\phantom{hoge}} & =\frac{38}{63}\div \frac{8}{33}
\\[9pt]\frac{13\times11}{6\times21}\div \boxed{\phantom{hoge}} & =\frac{19\times11}{21\times4}
\\[9pt]\boxed{\phantom{hoge}} & =\frac{13\times\cancel{11}^1}{\cancel{6}^3\times\cancel{21}^1}×\frac{\cancel{21}^1\times\cancel{4}^2}{19\times\cancel{11}^1}=\frac{26}{57}
\end{align*}

\(\underline{\rm{答. \cfrac{26}{57}}}\)

 

 

(4)
\begin{align*}
&\rm{1時間26分52秒\times3+14時間10分36秒}\div3
\\[9pt]=&\rm{3時間78分156秒+4時間43分32秒}
\\[9pt]=&\rm{4時間20分36秒+4時間43分32秒}
\\[9pt]=&\rm{8時間63分68秒}
\\[9pt]=&\rm{9時間4分8秒}
\end{align*}

\(\underline{\rm{答. 9時間4分8秒}}\)

 

 

 

◎ 大問2

昨年に比べるとやや易化した印象を受けます。

全問正解を目指したいところです。

(3)は、解いた経験がない場合は面食らうかもしれませんが、法則を理解していれば簡単に解くことができます。

 

(1)

時計算の基礎問題です。

2時ちょうどのとき、時計の長針と短針の間の角度は30×2=60(度)です。

長針が短針を追いかける形になっているので、角度は小さくなっていきます。

よって、長針と短針が反対方向をさして一直線になる、つまり角度が180度になるためには、長針が短針に追いついてから、さらに180度先に行かなくてはなりません。

つまり、長針は短針よりも60+180=240(度)先に行く必要があります。

長針の速さは分速360÷60=6(度)、短針の速さは分速30÷60=0.5(度)なので、速さの差は6-0.5=5.5(度)です。

これより、長針と短針が反対方向をさして一直線になる時間は、240÷5.5=43\(\frac{7}{11}\)より、2時43\(\frac{7}{11}\)分です。

\(\underline{\rm{答. 2時43\cfrac{7}{11}分}}\)

 

 

(2)

6通りの合計の中に、A、B、C、Dの4人が3回ずつ登場するので、全て足してから3で割っても求められますが、最善最速の解法は以下の通りです。

4人のうち、上位2人の合計金額は必ず最多の3622円、下位2人の合計金額は必ず最少の1986円になります。

よって、4人の合計金額は、3622+1986=5608(円)です。

\(\underline{\rm{答. 5608円}}\)

 

 

(3)

難関中学で2010年代に出題された事のあるタイプの問題です。

(例:2011年 甲陽学院、2018年 海城、2019年 武蔵、2019年 渋谷幕張)

 

まずは6を例に取り組んでみましょう。

6の約数は1、2、3、6で、和は12です。

6の約数の逆数は、1、\(\frac{1}{2}\)、\(\frac{1}{3}\)、\(\frac{1}{6}\)です。

これを、分母6で通分すると、\(\frac{6}{6}\)、\(\frac{3}{6}\)、\(\frac{2}{6}\)、\(\frac{1}{6}\)となり、分子がもとの約数と逆の並びになることがわかります。

よって、分子の和は12となるので、答えは\(\frac{12}{6}\)より2となります。

 

この問題でも同じことがいえます。約数の和が280になるので、約数の逆数の和は\(\frac{280}{\boxed{\phantom{h}}}\)となるはずです。

この数を約分したのが\(\frac{70}{27}\)なので、約数の逆数の和は\(\frac{280}{108}\)となります。

よって、ある数は108です。

\(\underline{\rm{答. 108}}\)

 

 

(4)

数字が1、4、7、10、\(\cdots\)と並んでいます。

これは、3の倍数より2小さい数の列となります。

つまり、□番目の数字は、(□×3-2)で求めることができます。

次に、数の並べ方を考えていきます。上から順に、1個、3個、5個、\(\cdots\)と並んでいます。1から順に連続した奇数を足していくと、その和は必ず平方数になります。すなわち、最初から□段目にある一番最後までの数字の個数は、□×□(個)といえます。

ここから、9段目の最後の数字は、最初から数えて9×9=81(番目)、10段目の最後の数字は、最初から数えて10×10=100(番目)となります。10段目に並ぶ数字は、全部で100-81=19(個)あるので、真ん中の数字は10段目の10番目です。これは、最初から数えて81+10=91(番目)の数字となります。

よって、最初から数えて91番目の数字は91×3-2=271です。

\(\underline{\rm{答. 271}}\)

※別解

各段の真ん中の数にのみ注目すると、1、7、19、37、\(\cdots\)と並んでいます。

2段目は1+6=7、3段目は1+6+12=19、4段目は1+6+12+18=37と、差が6ずつ増えているので、10段目の数は1+6+12+\(\cdots\)+54=1+(6+54)×9÷2=1+270=271です。

 

 

 

(5)

右の図のように、ちょうちょ型の相似形を作ることができます。

三角形BEGと三角形DAGはBE:DA=1:3より、1:3の相似形です。これより、BG:DG=1:3となります。

同様に、三角形BFHと三角形DAHについて、BF:DA=2:3より、BH:DH=2:3です。

この2つの比を連比すると、BG:GH:HD=5:3:12になります。三角形AGHは三角形ABDと高さが等しい三角形なので、この2つの三角形の面積の比は、それぞれの底辺の長さの比と等しくなります。

GH:BD=3:20より、三角形AGHと三角形ABDの面積の比は3:20です。三角形ABDは平行四辺形ABCDをちょうど半分にした三角形なので、三角形ABDと平行四辺形ABCDの面積の比は1:2です。

これより、三角形AGHと平行四辺形ABCDの面積の比は3:40となります。

よって、平行四辺形ABCDの面積は、三角形AGHの40÷3=13\(\frac{1}{3}\)倍となります。

\(\underline{\rm{答. 13\cfrac{1}{3}倍}}\)

 

※別解

三角形BEGと三角形DAGについて、BE:DA=1:3より、AG:EG=1:3、三角形BFHと三角形DAHについて、BF:DA=2:3より、AH:FH=2:3です。

このとき、りんぺん比を利用して、三角形AGHの面積が三角形AEFの\(\frac{3}{4}\times\frac{3}{5}=\frac{9}{40}\)(倍)だと求められます。

三角形AEFの面積は平行四辺形ABCDの\(\frac{1}{2}\times\frac{2}{3}=\frac{1}{3}\)(倍)なので、三角形AGHの面積は平行四辺形の\(\frac{9}{40}\times\frac{1}{3}=\frac{3}{40}\)(倍)です。

よって、平行四辺形ABCDの面積は、三角形AGHの40÷3=13\(\frac{1}{3}\)倍となります。

 

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