2020年 北嶺中学校 算数(1)
大問1
(1)
これは、部分分数分解と言われる計算の工夫を使って解く問題です。
北嶺中では、過去に3回出題されています。
平成3年度 大問1(1)
平成17年度 大問1(4)
平成24年度 大問1(2)
令和2年度の問題では、次のように分数を分解できることを利用します。
上記の式を利用すると、次のように解くことができます。
(2)
{1.001+(1.2×1.2×1.2+0.001)}÷0.91-(10-0.01)÷3.7
= (1.001+ 1.728 +0.001) ÷0.91- 9.99 ÷3.7
= 2.73 ÷0.91- 2.7
= 3 - 2.7
= 0.3
ポイント①
1729は、ラマヌジャン数と言います。
数学者ハーディ・ラマヌジャンの逸話はさておき、
1729は2通りの立方数(5×5×5=125のように、同じ数を3回かけた数)と立方数との和で
表すことのできる最小の整数です。
1729
=(1×1×1)+(12×12×12)
=(9×9×9)+(10×10×10)
以上の話を知っていれば、1.2×1.2×1.2+0.001を見た瞬間に
1.2×1.2×1.2+0.1×0.1×0.1=(12×12×12+1×1×1)÷1000
で「ラマヌジャン数だから1729」と分かります。
これは、北嶺からの
「算数や数学に興味を持ち、いろいろな本を日ごろから読むようにしましょう」
というメッセージですね。
ポイント②
9.99÷3.7の部分について、
「111=37×3」というかけ算の組み合わせは、
ときどき出てくるので覚えておくと便利です。
9.99÷3.7
=9×1.11÷3.7
=9×0.3
=2.7
となります。過去にも、
平成26年度 大問1(3) (370.37÷9.1-99.9×7÷27)÷3.7
で出題されています。
(3)
(4)
365という数字から、365日という1年の日数が連想されます。
式の後半にある「1÷(4+1÷8)」の部分も、
うるう年で増える1日を、だいたい4年で割っているという印象を受験生に与えます。
だいたい4年、とあいまいに書いたのは、西暦について
4で割れる年(例:西暦2020年)は、うるう年である。
上のうち、100で割れる年(例:西暦2100年)は、うるう年でない。
上のうち、400で割れる年(例:西暦2400年)は、うるう年である。
という規則があるからです。
この規則については、立命館慶祥中の入試問題で出題されています。
大問2
(1)
文章を、次の表のようにまとめました。
できるだけ多くBセットで頼んだ方が、安くなる金額が大きくなります。
よって、まず、ポテトの6個に合わせてBを6セット注文します。
あと、ハンバーガーが8-6=2(個)、ジュースが9-6=3(杯)必要なので、
Aを2セット、ジュースを1杯注文します。
Aは、ひとセットにつき30円安くなり、Bはひとセットにつき50円安くなります。
よって、合計で30×2+50×6=360(円)安くなります。
(2)
三角形BDFについて、図1のように正六角形を分けると、
三角形BDFは正六角形の1/2になります。
四角形ACDFについて、図2のように正六角形を分けると、
四角形ACDFは正六角形の2/3になります。
1/2 ÷ 2/3 = 3/4(倍)
より、三角形BDFは四角形ACDFの3/4倍です。
(3)
ABCの学校を合わせて、150+100+200=450(人)の児童がいます。
平均点が30.6点なので、全児童の合計点は、30.6×450=13770(点)です。
このうち、Aでは(8+7+9+7)×150=4650(点)、
Cでは(8+7+7+8)×200=6000(点)をとっています。
分かる範囲では、Bでは(7+8+8)×100=2300(点)をとっています。
よって、分かる範囲の合計点は、4650+6000+2300=12950(点)です。
全体との差である13770-12950=820(点)は、[ア]の点数かける100人です。
よって、[ア]=820÷100=8.2となります。
(4)
下図のように、三角形COEと三角形AOFとは、
1つの辺の長さとその両端の角の大きさがそれぞれ等しいので、
合同だと分かります。
よって、この2つの三角形の面積は、同じです。
この2つの三角形から、
三角形DOFをそれぞれ引いた台形CDFEと三角形AODの面積も、
やはり同じになります。
よって、下図のように、求めるべき斜線部分の面積は
扇形AODと等しいことが分かります。
10×10×3.14×50/360≒43.61(㎠)
(5)
まず、A家からの距離を確認します。
A家からB家までは1200-700=500(m)、
A家からC家までは1200-70=1130(m)です。
次に、AがC家まで行くのにかかる時間は1130÷60=18と5/6より、
18分50秒です。
よって、7時55分に出発したAが、C家の前まで来るのは8時13分50秒です。
下図の赤線は、Aの進んだ時刻と距離を表しています。
さて、AがB家の前に来てから、C家の前に来るまでに、
BはAと出会わなければなりません。
このとき、Bの進んだ時刻と距離は、
下図の青線のどれでもよいことになります。
よって、Bが家を出る時刻は、下図の緑色でマルをつけたところになります。
Bが、B家の前でAと出会う時刻は、AがB家の前に来たときです。
7時55分から500÷60=8と1/3(分)後の8時3分20秒です。
また、Bは、B家とC家との間の1130-500=630(m)を進むのに、
630÷75=8.4分(8分24秒)かかります。
8時13分50秒に、BがC家の前でAに出会うためには、
8時13分50秒より8分24秒前の8時5分26秒に
BはB家を出発することになります。
以上より、Bは、8時3分20秒から8時5分26秒までに
家を出なければならないことになります。