2023年 北嶺中学校 算数(4)
2023年度 北嶺中学校 算数 分析と解説 (大問5)
◎大問5
周回タイプの時間と速さの問題です。
近年、北嶺中学の大問4、5は文章量が多いのですが、本年度の大問5もまた条件設定の複雑な長文大問でした。
計算そのものは典型的な旅人算なので、文章を読みとる力が正誤に大きく影響したのではないでしょうか。
(1)
立体図形として考えると複雑になるので、上から見たときの図で考えましょう。
B君はAさんと正反対の位置に来るたびに速度を増していきます。
このとき、Aさんの正反対の位置をA’とすると、上から見たときのBとA’が重なるとき、B君の速度が増すといえます。
①
B君の速さが秒速1mに変わるのは、上から見たときのBとA’がはじめて重なったときです。
上から見たA、B、A’の関係は、それぞれ次の図のようになっています。
坂道の長さは90mで、この正六角柱を3周していることから、正六角柱の周りの長さは90÷3=30(m)です。
ここから、はじめBとA’は30÷2=15(m)離れていることがわかります。
したがって、BとA’がはじめて重なるのは15÷(0.5+1)=10(秒後)になります。
\(\underline{\rm{答.10秒後}}\)
②
BとA’がはじめて重なったとき、上から見た図は次の図のようになっています。
BとA’は正六角形の1周、つまり30m離れているといえます。
ここから、以下の表を作ることができます。
回数 | 1 | 2 | 3 | 4 |
秒数 | 10秒 | 10+30÷(1+1)=25秒 | 25+30÷(1+1.5)=37秒 | 37+30÷(1+2)=47秒 |
Aが進んだ距離 | 10m | 25m | 37m | 47m |
Bの速度 | 0.5\(\rightarrow\)1.0 | 1.0\(\rightarrow\)1.5 | 1.5\(\rightarrow\)2.0 | 2.0\(\rightarrow\)2.5 |
Bが進んだ距離 | 5m | 5+1×15=20m | 20+1.5×12=38m | 38+2×10=58m |
2人が進んだ距離の合計 | 10+5=15m | 25+20=45m | 37+38=75m | 47+58=105m |
BとA’が4回目に重なったとき、2人が進んだ距離の合計は105mで、坂道の長さ90mより長くなっています。
このことから、AさんとB君が出会ったのは、BとA’が3回目に重なってから4回目に重なるまでの間であることがわかります。
したがって、B君が速さを変えた回数は3回です。
\(\underline{\rm{答. 3回}}\)
③
まず、時間を求めます。
BとA’が3回目に重なったとき、2人の距離は90-75=15(m)離れています。
ここから2人が出会うまでの時間は、15÷(1+2)=5(秒)なので、出発してから37+5=42(秒後)になります。
次に、高さを求めます。
坂道の長さが90m、建物の高さが9mなので、ある地点の高さは、地点Qから道のりの\(\cfrac{1}{10}\)倍にあたります。
AさんとB君が出会った場所の地点Qからの道のりは、坂道全体の道のりからからAさんが歩いた距離を除いた、90-42=48(m)です。
したがって、この場所の高さは、\(48\times\cfrac{1}{10}=4.8(\rm{m})\)です。
\(\underline{\rm{答. 42秒後、4.8m}}\)
(2)
上の表から、B君が坂道を下り始めたのは、BとA’が4回目に重なる47秒後です。
このときの上から見た図は次の図のようになっています。
BとA’が同じ方向に移動しているので、次に重なるまで30÷(2.5-1)=20(秒)かかります。
このとき、B君はQから58-2.5×20=8(m)のところにいます。
B君は、この8mを秒速3mで移動するので、Qまで8÷3=\(2\cfrac{2}{3}\)秒かかります。
したがって、B君が地点Qに戻ってくるのは\(47+20+2\cfrac{2}{3}=69\cfrac{2}{3}\rm{秒後}\)です。
\(\underline{\rm{答. 69\cfrac{2}{3}秒後}}\)