2016年 立命館慶祥中学 理科(2)
今回は、大問Ⅱと大問Ⅲを解説します。
大問Ⅱ
〔1〕
(1)
面白さ☆ 難度A
月の満ち欠けの基本問題です。
下の図のように、月の表面のうち、
太陽に向かっている側の半分は太陽の光に照らされて明るく光り、
太陽と反対側の半分は光が当たらずにかげになっています。
月の位置によって、地球から月を見る向きが変わるので、月が満ち欠けしているように見えます。
図ではCが新月にあたります。
地球から見て月が太陽と同じ方向にあるため、地球から見ると月のかげの部分しか見えません。
Cのあとは、月の公転にともなって月の位置が、
C→D→E→F→Gの順に移っていきます。
このとき、地球の北半球から見た月の形は
右側から満ちて(明るい部分が増えて)いき、Gで満月になります。
さらに、月の位置が、G→H→A→B→Cの順に移っていくと、
地球の北半球から見た月の形は
右側から欠けて(かげの部分が増えて)いき、
Cで再び新月になります。
地球の北半球から見た月の形は、
Cの新月から順に、次のように移り変わっていきます。
答え B キ E ウ
(2)
面白さ☆ 難度A
(1)に引き続き、月の満ち欠けの基本中の基本の問題です。
次のように真夜中の位置に人を置いて考えると、
北半球では「頭の真上が南」と覚えましょう。
ここでは、Gの方向が南にあたります。
あとは地図の方位と同じ要領で、
Aの方向が東、Eの方向が西にあたるので、Fの方向が南西になります。
Fの月の形は(1)の説明より、オとわかります。
答え 月の位置 F 月の形 オ
(3)
面白さ☆ 難度A
月食は、月が地球のかげに入って、月の一部または全体が見えなくなる現象で、
満月の時に起こります。
これに対して日食は、太陽が月のかげに入って、太陽の一部または全体が見えなくなる現象で、
新月の時に起こります。
答え G
〔2〕
面白さ☆☆ 難度A
イ、ウ、エが正しいことはすぐにわかります。
アが正しいか、誤っているのかの判断が難しいですが、
すべてのこん虫はさなぎの時期には食物をとらないので、オが誤りだとわかります。
誤っているものは1つだけなので、アは正しいとわかります。
アのような虫眼鏡の観察のしかたを覚えておきましょう。
答え オ
〔3〕
(1)
面白さ☆ 難度A
2007年の4月に気象庁が予報用語の改正を行い、
最高気温が35℃以上になる日を「猛暑日」と定めました。
夜の最低気温が25℃以上になる夜のことを示す「熱帯夜」は、
それ以前から用いられています。
ヒートアイランド(heat island=熱の島)現象とは、
都市の気温が周囲よりも高くなる現象のことです。
気温の分布図をえがくと、高温域が都市を中心に島のような形状に分布することから、
このように呼ばれるようになりました。
日本が島国だから「アイランド」という言葉が使われているわけではありません。
日本では、特に関東地方で東京都市圏を中心に高温域が広がっています。
熱中症など健康への被害や、感染症を媒介する蚊の越冬といった生態系の変化が心配されています。
答え オ
(2)
面白さ☆ 難度A
ほとんどの受験生にとって、
テストやプリント、問題集で何回もやったことのある定番の記述問題です。
答え 日光が最初に地面をあたため、次に地面の熱が空気をあたためるから。
大問Ⅲ
〔4〕の(3)では、問題文の最後に「棒の重さは考えないものとします」という条件が示されています。
一方、〔1〕と〔3〕の問題文中では、ものさしの重さについて、まったくふれられていません。
学校発表の正解は、ものさしに重さがないものとして考えた数値になっていますが、
本番では混乱した受験生がいたかもしれません。
ここでも、「ものさしの重さは考えないものと」して、問題を解いていきます。
〔1〕
面白さ☆☆ 難度A
A、B、C、Dにおもりを1個ずつつるすと、
左モーメントが 1×1 = 1、
右モーメントが 1×1 + 1×2 = 3 となるので、
棒は左にかたむきます。
水平にするには、(3-1) ÷ 1 = 2 より、
Aにあと2個のおもりをつるせばよいことがわかります。
このときのおもりのつるし方を、(A、B、C、D)=(3、1、1、1)と表すことにします。
おもりは全部で10個つるすので、(A、B、C、D)=(3、1、1、1)の状態に、
4個のおもりを追加することになります。
支点のBにおもりを追加しても左右のつり合いに変化はないので、
Bに追加するおもりの個数で場合分けして考えます。
追加するおもりのつるし方は、次の4通り考えられます。
- Bに4個つるす。
- Bに2個、Aに1個、Cに1個つるす。
- Bに1個、Aに2個、Dに1個つるす。
- (Bに0個)、Aに2個、Cに2個つるす。
答え (A、B、C、D)=(3、5、1、1)、(4、3、2、1)、(5、2、1、2)、(5、1、3、1)のうち1つ。
実際の入試では、図につるすおもりを書きこむ形式で解答します。
〔2〕
面白さ☆☆☆ 難度B
有名問題ですが、初めて見る受験生にはかなり難しかったと思われます。
次のように、Aの部分だけの重心(Aの部分の重さがすべてかかっていると考えられる一点)と、
Bの部分だけの重心を考えます。
すると、支点からそれぞれの重心までのきょり(うでの長さ)は、
Aの部分の重心の方が、Bの部分の重心よりも短くなります。
よって、Aの部分よりもBの部分の方が軽いことがわかります。
答え ウ
〔3〕
(1)
面白さ☆ 難度A
左右のうでの長さの比は、
50 : (125-50)
= 50 : 75
= 2 : 3
なので、A、Bに入っているおもりの数の比は、3:2になります。
Aに入っているおもりの数は、25÷5×3 = 15(個) です。
答え 15個