2016年 立命館慶祥中学校 算数(1)

2016年度入試では、各教科の得点状況の発表が入試区分ごとになりました。

算数の全体の平均点は、

一般受験者が39.4点、一般合格者が53.1点、

セミナー・個性受験者が38.2点、セミナー・個性合格者が45.9点でした。

SPコースだけの平均点は、

一般受験者が47.3点、一般合格者が76.0点、

セミナー・個性受験者が47.6点、セミナー・個性合格者が70.9点でした。

また、全入試区分を合わせて、最高点は91点でした。

過去3年間の平均点を、2014年 → 2015年 → 2016年 の順に並べて比較してみると、

受験者平均は 62.3点 → 51.0点 → 38.6点、

合格者平均は 76.1点 → 61.1点 → 47.8点となっています。

1年ごとに、受験者平均は11~12点ずつ、合格者平均は13~15点ずつ下降しており、

近年の難化傾向が著しいことがわかります。

本校の入試は算数100点・国語100点・理科75点・社会75点の350点満点です。

本年度、SPコースの事前公表の合格ラインは、

一般受験者が260点(得点率74.3%)、

セミナー・個性受験者が240点(得点率68.6%)でした。

合格ラインに20点の差が設けられたことで、セミナー・個性受験者にはかなり有利な受験になりました。

全入試区分を合わせての倍率は1.49倍(昨年度は1.33倍)ですが、

SPコースに限ると倍率は4.35倍(昨年度は3.97倍)になり、

道内の中学入試では最高倍率です。

SPコースの男女別の倍率は、

男子が6.91倍(昨年度は3.39倍)、女子が3.35倍(昨年度は5.88倍)となっていて、

昨年度から男女の倍率が逆転しました。

これは、北嶺中と同じ入試日程になったため、

例年に比べて男子の学力上位層の受験者が減少したことが原因と考えられます。

算数が難化する中でも、SPコース合格者の算数の平均点は7割を超えています。

SPコース合格のためには、今まで以上に算数の高得点が不可欠です。

2016年度入試では、以前のような明らかな易問がほぼなくなりました。

2017年度入試でも、算数は本年度なみの難度が予想されます。

時間的にそれほど忙しい入試ではないので、

問題文を精読し確実に正解を出す処理能力が求められます。

日頃からかなり難しい問題に積極的に取り組み、

ねばって自力で正解にたどりつく訓練が欠かせません。

また、できなかった問題については、

やり直しの段階できちんと立式し、ていねいな図をかくことを心がけましょう。

2015度の出題内容は、次の通りです。

 

大問Ⅰ

〔1〕基礎的な計算問題3問

〔2〕空所補充型の計算問題2問

大問Ⅱ

〔1〕円の面積と円周率

〔2〕平面図形

〔3〕速さと比

〔4〕割合(相当算)

〔5〕食塩水の濃度

大問Ⅲ

〔1〕平面図形(面積)

〔2〕平面図形(角度)

〔3〕平面図形(相似)

〔4〕立体図形2問(体積と切断)

大問Ⅳ

水そうに水を入れる問題(グラフの読み取り)

大問Ⅴ

時計算(8時間時計の針の動き)

今回は、大問Ⅰ・Ⅱを取り上げて解説します。


大問Ⅰ

2016-ritk-math1-1

〔1〕

(1)

面白さ☆☆  難度B

意外にできなかった人が多かったのではないでしょうか。

「計算の工夫をしよう」と考えすぎると、ワナにはまります。

2016÷(28÷18)-2016÷28÷18

= 2016÷28×18-2016÷28÷18

= 72×18-72÷18

= 1296-4

= 1292

答え 1292

(2)

面白さ☆  難度A

7/6÷3-(8/15-5/18)×15/46

= 7/18-(48/90-25/90)×15/46

= 7/18-23/90×15/46

= 7/18-1/12

= 14/36-3/36

= 11/36

答え 11/36

(3)

面白さ☆  難度A

ほとんどの受験者が1.08でくくって、要領よく計算できたはずです。

6.2×1.08-2.6×1.08+1.08×2.4

= 1.08×(6.2+2.4-2.6)

= 1.08×6

= 6.48

答え 6.48

〔2〕

(1)

面白さ☆  難度A

途中に□のある計算問題が苦手な人は、途中の式をていねいにかくことを徹底しましょう。

6年生の早い段階で、このレベルの計算問題を確実に正解できるようにしておかないと、

合格はおぼつきません。

21/5×3/4÷□ = 3/5-3/8

63/20÷□ = 24/40-15/40 = 9/40

□ = 63/20÷9/40

= 63/20×40/9

= 14

答え 14

(2)

面白さ☆☆  難度B

1日を秒に直して計算しようとすると、計算量が増えて大変です。

要領よく処理しましょう。

24時間×91/108 = 182/9時間 = 20時間+2/9時間

60分×2/9 = 40/3分 = 13分+1/3分

60秒×1/3 = 20秒

答え 20時間13分20秒


大問Ⅱ

2016-ritk-math1-2

〔1〕

面白さ☆  難度A

(直径)×(直径) = (半径)×(半径)×4 という関係は、すぐにわかるはずです。

□ = 3.14÷4 = 0.785

答え 0.785

〔2〕

面白さ☆  難度A

逆比の定番問題です。

(ひし形の面積)×4/13 = (長方形の面積)×4/15 より、

(ひし形の面積):(長方形の面積) = 13/4:15:4 = 13:15 になります。

(長方形の面積) = 78÷13×15 = 90(㎠) になります。

 

答え 90㎠

〔3〕

面白さ☆☆  難度A

問題文が6行あって比較的長いので、

落ち着いて問題文を読んで条件を整理しましょう。

タツオくんが走った時間は、12-5-5=2(分)です。

タツオくんが走った道のりを、ケイコさんは歩いて、12-5=7(分)かかっています。

同じ道のりを進むのにかかる時間の比が2:7なので、

タツオくんが走った速さと、ケイコさんが歩いた速さの比は、

時間の逆比で 7:2 になります。

7÷2 = 3.5(倍)

答え 3.5倍

〔4〕

面白さ☆ 難度A

2014年のお年玉の金額を□円とすると、次のような式が成り立ちます。

□×1.2×0.8 = 14400

□×0.96 = 14400

□ = 14400÷0.96 = 15000(円)

 

答え 15000円

〔5〕

面白さ☆☆ 難度B

最後に、食塩水全体の重さから食塩の重さを引くのを忘れないようにしましょう。

6%の食塩水と12%の食塩水が同じ量だけできたので、

とけている食塩の重さの比は、6:12 = 1:2 です。

6%の食塩水にとけている食塩の重さは、36÷3×1=12(g)なので、

食塩水全体の重さは、12÷0.06=200(g)です。

6%の食塩水と12%の食塩水を合わせると、200×2=400(g)なので、

加えた水の量は合わせて、400-36=364(g)です。

(別解)

6%の食塩水と12%の食塩水を同じ量ずる混ぜると、

濃度は、(6+12)÷2 = 9(%) になります。

このとき、9%の食塩水は、36÷0.09 = 400(g) できるので、

加えた水の量は合わせて、400-36 = 364(g) になります。

 

答え 364g


大問Ⅰ・Ⅱだけを見ても、難化傾向がはっきりしています。

今回、難度Bをつけた3問はいずれも、

実際には難度Aと難度Bのちょうど中間ぐらいの難しさです。

SPコース合格のためには、大問Ⅰ・Ⅱの計10問で9問は正解したいところなので、

この3問の正解率が合否の分かれ目になるかもしれません。

3問全部を正解するには、かなりの学力はもちろん、

正確に問題文を読み取るための精神面の落ち着きが要求されます。

来年度の受験をひかえた新6年生は、

日々の授業から、私語はつつしむ、正しい姿勢で授業を受ける、

配布・返却された教材は自分できちんと整理するなど、

一見学力とは関係なさそうに思えることをきちんとできるかどうかが、

合否に直結するということを覚えておきましょう。

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