2016年 北嶺中学校 理科(2)

今回は、大問3と大問4を解説します。

大問3は、日本人のノーベル賞受賞者の研究と関連づけた生物分野からの出題でした。

日本人のノーベル賞受賞者についての問題は、

時事問題として、理科だけでなく社会でも出題が予想されたので、

とまどった受験生は少なかったでしょう。

関連問題も全体に易しいので、十分に全問正解をねらえるレベルです。

大問4は化学分野から、

前半が水溶液の性質についての知識問題、

後半が石灰石、重そうに塩酸を加えたときに発生する二酸化炭素の量に関する計算問題でした。

特に前半はごく基本的な知識を問う問題で、極めて平易でした。

最後の(5)の計算がやや面倒ですが、

ここまでの問題を要領よく処理できた受験生には、十分な時間が残っていたはずです。

余白にきちんと式を書いて、ていねいに計算することが大切です。

本年度の理科がやさしかった反動で、来年度の入試では、

特に物理の力学分野で難問の出題が予想されます。

来年度の志望者は、特に力学分野について、

「重心」の考え方や、「浮力」の仕組みなど、

応用レベルまでの問題演習と確実な理解を心がけましょう。

なお、問題は標準札幌校ホームページ北嶺中学過去入試問題からダウンロードできます。


大問3

(1)

面白さ☆  難度A

2015年には、2人の日本人研究者がノーベル賞を受賞しました。

1人目は、ノーベル生理学医学賞を受賞した、大村智・北里大学特別栄誉教授で、

受賞理由は寄生虫やマラリアに関する研究でした。

2人目は、ノーベル物理学賞を受賞した、梶田隆章・東京大学宇宙線研究所所長で、

授賞理由は物質の最小単位である素粒子の一つ、ニュートリノに重さがあることを初めて確認したことでした。

答え 研究者の名前 オ  名称 ノーベル生理学医学(医学生理学)賞

(2)

面白さ☆☆  難度A

オンコセルカ症は、ブユにかまれる(血をすわれる)ことによって感染する寄生虫感染症で、

流れの速い河川の近くで多くみられるため、河川失明症ともよばれます。

答え イ

(3)

面白さ☆  難度A

地球温暖化を引き起こす気体というと、真っ先に二酸化炭素が思いうかびますが、

メタンは同じ放出量で二酸化炭素の23倍の温室効果をもたらすと言われています。

温暖化が進むと、シベリアなどの永久凍土の氷がとけて、

氷中に閉じこめられていたメタンが大気中に放出され、

地球温暖化に拍車がかかると考えられています。

答え ウ、オ

(4)

面白さ☆☆  難度A

肺炎球菌の数は30分ごとに、

2個 → 4個 → 8個 → 16個 → 32個 のように、

2倍ずつになっていきます。

グラフに表すと、次のようになります。

答え 下のグラフ

2016-hokurei-science2-1

 

面白さ☆☆  難度A

フタをした実験ではアオカビとペニシリンは発見されず、

フタをしなかった実験ではアオカビとペニシリンが発見されているので、

空気中に飛散したアオカビのほう子が容器内で繁殖し、

アオカビがペニシリンをつくったと考えられます。

答え イ

面白さ☆☆  難度A

実験1と実験3の結果から、

ペニシリンには肺炎球菌の増殖をおさえる働きがあるが、

結核菌の増殖をおさえるはたらきはないことがわかります。

答え エ


大問4

(1)

面白さ☆ 難度A

酸性とアルカリ性の水溶液は、程度の差はありますがすべて電気を通します。

「中性の水溶液では食塩水は電気を通すが、他は電気を通さない」と覚えておきましょう。

アルコール水と砂糖水は、中性の水溶液で電気を通さないので、正解はカになります。

答え カ

面白さ☆  難度A

塩酸は酸性、

アルコール水と食塩水と砂糖水は中性、

重そう水溶液とアンモニア水と水酸化ナトリウム水溶液と石灰水はアルカリ性の水溶液です。

正解はアとエになります。

答え アとエ

面白さ☆  難度A

気体または液体が溶けている水溶液は、

水をすべて蒸発させると、あとに何も残りません。

アルコール水には液体のアルコール、塩酸には気体の塩化水素、

アンモニア水には気体のアンモニアが溶けています。

残りの水溶液にはすべて固体が溶けているので、

水をすべて蒸発させると、あとに固体が残ります。

正解はオになります。

答え オ

(2)

面白さ☆  難度A

食塩水以外の中性の水溶液で、固体が溶けているものを選ぶので、液体Aは砂糖水です。

答え 砂糖水

(3)

面白さ☆  難度A

アルカリ性で固体が溶けている水溶液は、水酸化ナトリウム水溶液と石灰水です。

アからエのうち、イ、ウ、エでは結果が同じになるので、

実験の正解はアで、二酸化炭素を通すと白くにごることから、

液体Bは石灰水であることがわかります。

答え 実験と結果 ア  液体B 石灰水

(4)

面白さ☆  難度A

問題中に示された計算式と同様に考えます。

25〔L〕÷84〔g〕×70〔g〕 ≒ 21〔L〕

答え 21L

(5)

面白さ☆☆  難度B

塩酸にとかしたとき、

石灰石1gからは、25÷100=0.25(L) の二酸化炭素が発生し、

重そう1gからは、25÷84=25/84(L) の二酸化炭素が発生します。

ここからは、算数でおなじみの「つるかめ算」で解きます。

(25/84×36-10)÷(25/84-0.25) = 15(g)

答え 15g

 

 

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