2016年 北嶺中学校 理科(1)

本年度の入試は、試験時間が50分から40分に、配点が50点(満点)に変更されて4年目になります。

大問は4問で物理・化学・生物・地学の4分野から1問ずつ出題されます。

本年度の小問総数は29問で、昨年より6問増えました。

難しさは、暗記分野では比較的平易な出題が多く、

計算分野でやや難度が高い出題が多いというのが、

北嶺中学校の例年の出題傾向です。

しかし、本年度は物理・化学分野の計算問題でも難問は見られず、

全般に平易な出題でした。

そのため、東京・大阪会場の成績上位層の高得点も重なって、

平均点が大幅に上昇しました。

受験者平均点は36.5点、合格者平均点は40.8点で、

いずれも昨年度から約9点上昇しました。

同じ40分の試験時間ですが、

理科は社会にくらべて忙しいテストではありません。

本年度はさらに時間に余裕があったと思われます。

余った時間で大問3の(3)、大問4の(5)などの

計算問題の見直しを行って確実に正解を出していけば、

9割以上の高得点を取るのも難しくありません。

算数にも共通しますが、

『最初に求められた解答に飛びつかず、問題文を精読して正解かどうかを検証する』

ことが欠かせません。

2016年度の出題内容は、次の通りです。

大問1 地学分野 気象観測装置・岩石・地球の運動・川の流れの速さ

大問2 物理分野 電磁石の強さ・ふりこの周期・板の積み重ね(重心の位置)

大問3 生物分野 日本人ノーベル賞受賞者の研究・環境問題(地球温暖化)・抗生物質と菌

大問4 化学分野 水溶液の性質・塩酸と反応して発生する気体の体積

今回は、大問1と大問2を解説します。

なお、問題は標準札幌校ホームページ北嶺中学過去入試問題からダウンロードできます。


大問1

(1)

面白さ☆  難度A

気象観測衛星と気象観測装置の名前を答える出題で、ともに極めて平易でした。

答え ① ひまわり  ② アメダス

(2)

面白さ☆  難度A

①では火山岩、②では深成岩を選びます。

ともにマグマが冷やされて固まってできた火成岩なので、

岩石を作るつぶは角ばっています。

また、①は地表近くでマグマが急速に冷やされて固まったため、

すべての結晶が大きく成長できずに、大きめの結晶の間に

小さな結晶のつぶが散らばっています。

よって、①の正解はエです。

②は地下深くでマグマがゆっくりと冷やされて固まったため、

すべての結晶が大きく成長しています。

よって、②の正解はイです。

答え ① エ  ② イ

(3)

面白さ☆☆  難度A

地軸が公転面と垂直になると、赤道では1年を通して太陽の南中高度が90度になります。

よって、地球上では春分の日、秋分の日と同じ太陽の動きが1年中続くことになります。

このため、四季の変化がなくなり、

太陽の日の出の位置は常に真東、日の入りの位置は常に真西になります。

一方で、月が地球の周りを公転している限り、月の満ち欠けは同じように起こります。

また、地球が自転している限り、星の日周運動も同じように起こります。

答え ① ○  ② ○  ③ ×  ④ ×

(4)

面白さ☆☆☆  難度B

流速が20÷10=2(倍)になると、

運ばれる石の体積は、2×2×2×2×2×2=64(倍)になります。

ここで、球の体積は(半径)×(半径)×(半径)に比例するので、

64 = (2×2)×(2×2)×(2×2) = 4×4×4 と考えると、半径が4倍になることがわかります。

よって、秒速20㎝の川で運ばれる石の半径は、最大で、1×4=4(㎜)になります。

実際の体積を求めると、

半径1㎜の石の体積が、4×1×1×1=4(㎣) 、

半径4㎜の石の体積が、4×4×4×4=256(㎣) となり、

確かに体積が 256÷4=64(倍) になっていることがわかります。

答え 4㎜


大問2

(1)

面白さ☆  難度A

アでは、エナメル線を巻く回数が少なくなるので、電磁石の力が弱くなります。

イのように、磁石にくっつかないアルミニウムなどの金属をコイルの中に入れても、

電磁石にはならないので、鉄くぎはくっつきません。

ウのようにエナメル線を太くすると、エナメル線の抵抗が小さくなり、

流れる電流が大きくなるので、電磁石の力が強くなります。

エでは、豆電球の分の抵抗が加わり全体の抵抗が大きくなり、

流れる電流が小さくなるので、電磁石の力が弱くなります。

よって、ウが正解になります。

答え ウ

(2)

面白さ☆  難度A

表の数値を見て法則を見つける以前に、ほとんどの受験生は、

『振り子の長さが□×□倍になると、周期が□倍になる』

ということを知っているはずです。

①では、振り子の長さが25㎝のときに比べて、

周期が、3.0÷1.0=3(倍) になっているので、

振り子の長さは、3×3=9(倍) になります。

?に当てはまる数値は、25×9=225(㎝) になります。

②では、振り子の長さが200㎝のときに比べて、

振り子の長さが、800÷200=4(倍) になっています。

4=2×2 より、周期は2(倍)になります。

求める周期は、2.8×2=5.6(秒) になります。

答え ① 225  ② イ

(3)

面白さ☆☆☆  難度B

①では、2段目と3段目を合わせて1つの立体と考えて、その重心を考えます。

このとき、2段目と3段目を合わせた重心は、

2段目の重心と3段目の重心のちょうど真ん中になります。

図3の状態では、2段目の重心は、

1段目の左端から右に、30÷2+7=22(㎝) の位置にあります。

また、3段目の重心は、1段目の左端から右に、22+7=29(㎝) の位置にあります。

よって、2段目と3段目を合わせた重心は、

1段目の左端から右に、(22+29)÷2=25.5(㎝) の位置にあります。

この重心が1段目の積み木の右端をはみ出すと、2段目と3段目がくずれてしまいます。

30-25.5=4.5 より、4.5㎝よりも大きく動かすと積み木がくずれるので、正解はオになります。

②でも①と同様に、2段目以降を合わせて1つの立体と考えて、その重心を考えます。

2段目と3段目と4段目を合わせた重心は、3段目の重心と同じ位置になるので、

1段目の左端から右に、29㎝の位置にあります。

このとき、重心は1段目の積み木の右端をはみ出していないので、

4段目の積み木を重ねても積み木はくずれません。

5段目の重心は、1段目の左端から右に、29+7+7=43(㎝) の位置にあります。

このとき、2段目から5段目までを合わせた重心は、

2段目の重心と5段目の重心のちょうど真ん中になり、

1段目の左端から右に、(22+43)÷2=32.5(㎝) の位置にあります。

このとき、重心は1段目の積み木の右端をはみ出しているので、

5段目の積み木を重ねたときに積み木はくずれます。

答え ① オ  ② 5段目

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