2016年 北嶺中学校 算数(3)

今回は、大問5を取り上げます。

昨年度に引き続き、最終問題で立体図形が出題されました。

(1)は、落ち着いて処理すれば確実に正解できるので、是非とも得点したい問題です。

与えられた図を利用するのはもちろんですが、それだけではなく、

切断後に残る立体の見取図を自分でかいてみるという作業が大切です。

(2)は、最も難しいという声が多かった問題でした。

過去に、甲陽学院、灘の入試で同様の出題が見られます。

決して易しくはありませんが、公式的な解法を知っていれば短時間で正解できる問題です。

道内の入試ではまだそれほど一般的ではありませんが、

全国の難関校の入試では、切断をふくめた立体図形の出題が大変多くみられます。

立体図形の理解には、「自分で正確な見取図をかく」ことが欠かせません。

来年度入試をひかえた5年生は、6年生の早い段階で立体切断の基本法則を習得した上で、

立方体や直方体と、それを切断した立体の見取図を正確にかけるように練習しましょう。

北嶺中学校の入試では、試験中のコンパス、定規、分度器の使用が禁じられています。

見取図をかく練習も、最初は定規を用いて構いませんが、

夏休みごろからは、フリーハンドで正確な図をかけるようにしましょう。

なお、問題は標準札幌校ホームページ北嶺中学過去入試問題からダウンロードできます。


大問5

(1)

面白さ☆☆☆  難度B

もとの直方体を3点A、B、Dを通る平面で切ったとき、切り口の形は長方形になり、

切断後に点Cをふくむ立体は三角柱になります。

さらにその三角柱を3点B、C、Dを通る平面で切ったとき、切り口の形は直角三角形になり、

切断後の立体は四角すいと三角すいに分かれます。

見取図に表すと、下のようになります。

2016-hokurei-math3-1

2つの立体の辺の長さの合計の差を求めるので、

切り口の直角三角形の3つの辺と、

四角すいと三角すいでたがいに同じ長さの辺に×印を打っていくと、

下のようになります。

2016-hokurei-math3-2

このとき×印がつかないのは、

四角すいの辺のうち、長さ3㎝と5㎝の2辺だけになるので、

2つの立体の辺の長さの合計の差は、3+5=8(㎝) になります。

答え 8㎝

(2)

面白さ☆☆☆☆  難度C

対角線BDがつらぬく立方体を1個ずつ考えていくのは困難です。

ここでは、対角線BDと立方体の面との交わりに着目します。

例えば、対角線BDと、斜線をつけた面は下のように点Pで交わります。

2016-hokurei-math3-3

これを対角線BDがつらぬく立方体どうしの関係に置きかえて考えると、

下のように対角線BDがつらぬく立方体のうち、

となりあう2個の立方体が点Pをふくむ面で接していることがわかります。

2016-hokurei-math3-4

 

対角線BDと立方体の面との交わりは、

直方体のたて、横、高さの3方向でそれぞれ、3か所、4か所、2か所あるので、

合計 3+4+2=9(か所) になります。

2016-hokurei-math3-5

つまり、点Bと点Dの間に、対角線BDがつらぬく立方体のうち、

となりあう2個の立方体の接する所が9か所あることになります。

よって、対角線BDがつらぬく立方体は、9+1=10(個) になります。

立方体1個の体積は、1×1×1=1(㎤) なので、

求める体積は、1×10=10(㎤)になります。

答え 10㎤

一般には、

『立方体をたてにa個、横にb個、高さにc個並べて直方体を作ったとき、

直方体の対角線がつらぬく立方体の個数』は、

a、b、cのうち、どの2数もたがいに素(1以外の公約数を持たない)であれば、

a+b+c-2(個) という公式が成り立ちます。

本問では、4+5+3-2=10(個) と求められます。

面白さ☆☆☆☆  難度B

①より、対角線BDがつらぬく立方体は10個で、

となりあう2個の立方体の接する所が9か所あります。

1か所につき、2個の立方体の面が1面ずつ、合計2面が重なっているので、

この立体の表面にある面の数は全部で、6×10-2×9=42(面) になります。

よって、求める表面積は、1×1×42=42(㎠) になります。

答え 42㎠

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