2016年 北嶺中学校 算数(2)
今回は、大問3と大問4を取り上げます。
大問3は数の性質と場合の数の複合問題で、北嶺中学校の入試では初めての出題パターンでした。
特に(3)では、かなり複雑に場合分けして考える必要があり、
このような解法に慣れていない受験生にとっては大変難しい問題でした。
大問4は、仕切りのある水そうに水を入れる問題で、
本校入試では過去にも同様の出題があります。
受験生にとってはおなじみのパターンで、どの小問も易しい問題でした。
合格確実ラインの70点をこえるためには、
大問3は(1)と(2)、大問4はぜひとも全問の正解を目指したいところです。
合格答案作成には、まず、問題文を正確に把握することが不可欠です。
現在5年生以下で、テスト中に問題の条件を読み落とすことが多い人は、
問題文の重要箇所に丸印をつけたり、下線を引いたりしながら問題文を読み進める
という手順を徹底しましょう。
確実に正解するには計算力も欠かせません。
本校の実際の入試問題は冊子になっていて、
計算用紙としてかなり大きく余白が取ってあります。
計算問題もふくめて、必ず余白に式や筆算を書いて、
途中の経過を確認しながら正解を出す訓練を重ねましょう。
なお、問題は標準札幌校ホームページの北嶺中学過去入試問題からダウンロードできます。
大問3
(1)
面白さ☆☆ 難度B
正解の前提条件として、
「10枚のカードの中から同時に2枚取り出す時の取り出し方」
が何通りあるかを求められないといけません。
この取り出し方を、10×9=90(通り) と考えてしまっては、大問3を全部まちがえてしまいます。
確かに、10枚のカードから2枚取り出して順に並べるのであれば、10×9=90(通り)で正解です。
しかし、ここでは同時に2枚取り出すだけで並べるわけではないので、10×9÷2=45(通り)になります。
例えば、1と2のカードを取り出して順に並べる場合、
12の並びと21の並びは、それぞれ別のものと考えますが、
同時に取り出すだけならば同じものと考えます。
よって、最後に2で割ることになります。
来年以降の北嶺受験者には、是非ともコンビネーションの考え方を理解して欲しいところですが、
( □枚のカードから2枚選ぶ時の選び方 ) = □×(□-1)÷2(通り)
という公式は覚えておきましょう。
10枚のカードのうち、
偶数のカードは2、4、6、8、10の5枚、
奇数のカードは1、3、5、7、9の5枚あります。
2つの番号の積が2の倍数になるのは、次の2つの場合です。
① (偶数)×(偶数)
② (偶数)×(奇数)
①の場合、偶数のカード5枚から2枚選ぶので、5×4÷2=10(通り)。
②の場合、偶数のカードと奇数のカードの選び方はそれぞれ5通りあるので、5×5=25(通り)。
合わせて、10+25=35(通り)になります。
余事象の考え方が身についていれば、1つの式で解くことも可能です。
(10枚のカードから2枚を選ぶ全部の選び方)-(奇数のカード5枚から2枚を選ぶ選び方)
= 10×9÷2-5×4÷2
= 35(通り)
答え 35通り
(2)
面白さ☆☆ 難度B
(1)と同様に考えます。
11から30までの20枚のカードのうち、
3の倍数のカードは12、15、18、21、24、27、30の7枚、
3の倍数以外のカードは20-7=13(枚)あります。
2つの番号の積が3の倍数になるのは、次の2つの場合です。
① (3の倍数)×(3の倍数)
② (3の倍数)×(3の倍数以外)
①の場合、3の倍数のカード7枚から2枚選ぶので、7×6÷2=21(通り)。
②の場合、
3の倍数のカードの選び方は7通り、
3の倍数以外のカードの選び方は13通りあるので、
7×13=91(通り)
合わせて、21+91=112(通り)になります。
余事象の考え方で1つの式で解くと、以下のようになります。
(20枚のカードから2枚を選ぶ全部の選び方)-(3の倍数以外のカード13枚から2枚を選ぶ選び方)
= 20×19÷2-13×12÷2
= 112(通り)
答え 112通り
(3)
面白さ☆☆☆ 難度C
(1)(2)に比べて場合分けが複雑になります。
11から30までの20枚のカードのうち、
6の倍数のカードは12、18、24、30の4枚、
6の倍数以外の2の倍数のカードは 20÷2-4=6(枚)、
6の倍数以外の3の倍数のカードは 7-4=3(枚)あります。
2つの番号の積が6の倍数になるのは、次の3つの場合です。
① (6の倍数)×(6の倍数)
② (6の倍数)×(6の倍数以外)
③ (6の倍数以外の2の倍数)×(6の倍数以外の3の倍数)
①の場合、6の倍数のカード4枚から2枚選ぶので、4×3÷2=6(通り)。
②の場合、
6の倍数のカードの選び方は4通り、
6の倍数以外のカードの選び方は20-4=16(通り)あるので、
4×16=64(通り)
①、②を合わせて、余事象の考え方で解くと、以下のようになります。
(20枚のカードから2枚を選ぶ全部の選び方)-(6の倍数以外のカード16枚から2枚を選ぶ選び方)
= 20×19÷2-16×15÷2
= 70(通り)
③の場合、
6の倍数以外の2の倍数の選び方は6通り、
6の倍数以外の3の倍数の選び方は3通りあるので、
6×3=18(通り)
合わせて、6+64+18=88(通り)
答え 88通り
大問4
(1)
面白さ☆ 難度A
水を注ぎ始めてから27秒後までに入った水量を、
水そうの底面積のうち、仕切り板「あ」よりも左側の面積で割れば求められます。
6×27÷(4×9) = 4.5(㎝)
答え 4.5
(2)
面白さ☆ 難度A
仕切り板「あ」よりも左側に7㎝の深さまで水を入れるのに27秒、
仕切り板「あ」と「い」の間に7㎝の深さまで水を入れるのに、
40.5-27=13.5(秒)かかっています。
4:イ = 27:13.5 = 2:1 より、
イ = 4÷2 = 2(㎝)
答え 2
(3)
面白さ☆ 難度A
イの長さがわかったので、水そうの容積が求められます。
9×(4+2+9+2)×12=1836(㎤)、
水そうが満水になるのは、水を注ぎ始めてから、1836÷6=306(秒後) です。
答え 306秒後
(4)
面白さ☆ 難度A
図2の左側の目盛りが8㎝を指しているときの水量は、
9×(4+2+9)×8 = 1080(㎤) です。
水量が1080㎤になるのは、水を注ぎ始めてから、1080÷6=180(秒後)です。
答え 180秒後
(5)
面白さ☆☆ 難度A
仕切り板「う」の右側の部分をふくめて、水そう全体の水の深さが10㎝になるのは、
水を注ぎ始めてから、306÷12×10 = 255(秒後) です。
よって、水を注ぎ始めてから270秒後の水面の高さは、10㎝をこえていることがわかります。
水を注ぎ始めてから270秒後の水面の高さは、12×270/306≒10.6(㎝)です。
※ 255秒後から考えて、
10+12×(270-255)/306 ≒ 10.6(㎝)
としてもよいでしょう。
答え 10.6㎝