2015年 立命館慶祥中学校 算数(1)
2015年度入試での受験者平均は51.0点(昨年度62.3点)、合格者平均は61.1点(昨年度76.1点)で、
昨年から大幅に難化しました。
本校の入試は算数100点・国語100点・理科75点・社会75点の350点満点ですが、
本年度の合格ラインは一般コースが194点(得点率55.4%・学校発表)なのに対して、
SPコースは266点(得点率76.0%・推定)と大きく開きがあります。
8割近い得点率が求められることを考えると、SPコースに合格するには算数の高得点が不可欠です。
SPコースに限ると倍率は3.97倍になり、昨年度の3.35倍からさらに難化しました。
道内の中学入試では「最高倍率」です。
男子(3.39倍)に比べて、女子(5.88倍)は一層の「狭き門」となっています。
2016年度入試でも、算数は本年度なみの難度が予想されます。
時間的にそれほど忙しい入試ではないので、問題文を精読し確実に正解を出す処理能力が求められます。
日頃から少し難しめの問題の演習にも積極的に取り組み、ねばって自力で正解にたどりつく練習が欠かせません。
2015度の出題内容は、次の通りです。
大問Ⅰ
〔1〕基礎的な計算問題3問
〔2〕空所補充型の計算問題2問
大問Ⅱ
〔1〕比
〔2〕平均
〔3〕数の性質
〔4〕割合(相当算)
〔5〕速さと比
大問Ⅲ
〔1〕平面図形(角度)
〔2〕平面図形(面積)
〔3〕平面図形(面積と角度)
〔4〕立体図形(体積)2問
大問Ⅳ 数の性質(長方形の紙を正方形に切り分ける)
大問Ⅴ 速さとダイヤグラム
今回は、本年度入試で最も「面白い」問題である大問Ⅳを取り上げて解説します。
大問Ⅳ
〔1〕
面白さ☆ 難度A
問題文の1行目の「できるだけ枚数が少なくなるように」の部分を、頭に入れて解くことが肝心です。
30と40の最大公約数は10なので、正方形の1辺の長さを10㎝にすればよいことがわかります。
このときの正方形の枚数は(30÷10)×(40÷10)=12(枚)になります。
答え 枚数・・・12枚、1辺の長さ・・・10㎝
〔2〕
面白さ☆☆ 難度A
切り分け方は下のようになり、1辺30㎝の正方形が1枚と、1辺10㎝の正方形が4枚できます。
答え 正方形の枚数・・・4枚、一番小さい正方形の1辺・・・10㎝
〔3〕
面白さ☆☆☆ 難度B
ここからは、長方形の縦の長さよりも横の長さの方が長いものとして解いていきます。
問題文の最初に「長さは㎝単位の整数で考える」とあるので、
切り分けられた正方形の1辺の長さは、1㎝、2㎝、3㎝、4㎝のいずれかであり、
長方形の縦に並ぶ正方形の枚数と、横に並ぶ正方形の枚数の差は4個以下です。
そこで、182を差が4以下の2つの整数の積で表すことを考えます。
182=2×7×13と素因数分解できるので、182=13×14となり、
長方形の縦に並ぶ正方形の枚数は13枚、横に並ぶ正方形の枚数は14枚とわかります。
このとき、長方形の縦と横の長さの差は、正方形1枚の1辺の長さにあたるので、
正方形の1辺の長さは4㎝になります。
よって、もとの長方形の面積は4×4×182=2912(㎠)です。
答え 2912㎠
〔4〕
面白さ☆☆☆☆☆ 難度C
直感的に答えを1通り見つけることは、それほど難しくはありません。
ただし、すべての場合を調べるのは大変です。
実際のテスト中は答えが1通り見つけられば十分ですが、
「場合分け」の手法や「正確な作業力」を磨くにはもってこいの良問です。
ぜひとも、全パターンの調べ上げに挑戦しましょう。
6枚の正方形の並び方を変えても、長方形の縦と横の長さの比が同じになるものは1通りと考えると、
大中小の正方形(順に1枚、2枚、3枚)の切り分け方と、1辺の長さの比は、次の4通り考えられます。
(ア)のとき、⑩―⑦=③=6㎝、①=2㎝となり、長方形の縦は2×7=14(㎝)、横は2×10=20(㎝)になります。
(イ)のとき、⑪―⑥=⑤=6㎝、①=1.2㎝となり、「長さは㎝単位の整数で考える」という条件に反します。
(ウ)のとき、⑪―⑤=⑥=6㎝、①=1㎝となり、長方形の縦は1×5=10(㎝)、横は1×11=11(㎝)になります。
(エ)のとき、⑤―④=①=6㎝となり、長方形の縦は6×4=24(㎝)、横は6×5=30(㎝)になります。
ここまでで、「正解は3通りだ」と結論づけてはいけません。
「できるだけ枚数が少なくなるように」正方形が切り分けられているかの検証(確かめ)が必要です。
(ア)の長方形では、次のような切り分け方も考えられますが、枚数が7枚になってしまいます。
よって、最初に示した切り分け方が、「最も枚数が少なくなる」切り分け方になります。
このときの長方形の面積は、14×20=280(㎠)になります。
(ウ)の長方形では、次のような切り分け方も考えられますが、やはり枚数が7枚になってしまいます。
よって、最初に示した切り分け方が、「最も枚数が少なくなる」切り分け方になります。
このときの長方形の面積は、5×11=55(㎠)になります。
(エ)の長方形では、次のような切り分け方をすると枚数が5枚になります。
よって、最初に示した切り分け方は、「最も枚数が少なくなる」切り分け方とは言えないので、条件に反します。
以上から正解は、(ア)と(ウ)の2つの場合になります。
答え 280㎠または55㎠
本校の入試では、一方のみを答えれば正解となりますが、
筑波大学附属駒場、開成、桜蔭、灘、東大寺学園などのトップ校では、
「あてはまるものをすべて答えなさい」という出題スタイルが一般的です。
こうした難関校の受験を考えている人は、
ぜひとも「抜け落ちなく正確に調べ上げる」手法を身につけて下さい。