2015年 北嶺中学校 理科(1)

本年度の入試は、試験時間が50分から40分に、

配点が50点(満点)に変更されて3年目になります。

大問は4問で物理・化学・生物・地学の4分野から1問ずつ出題されます。

2015年度の小問総数は23問で、昨年より2問減りました。

難易度は、暗記分野では比較的平易な出題が多く、

計算分野でやや難度が高い出題が多いというのが本校の理科の出題傾向です。

本年度も、生物・地学分野の問題は平易でしたが、

化学分野の酸化・還元反応の問題は、小学生には聞き慣れない反応ということもあって、

苦戦した受験生が多かったようです。

物理分野では近年、力学の出題が続いています。

本年度も、てこのつり合いが出題されました。

問題文中にていないな導入がなされているので、

十分に完答が可能なレベルの問題でした。

ただし、問題文をきちんと読まずにあわてて小問や図に飛びついてしまうと、

ここで大きく失点するおそれもあります。

受験者平均点は25.7点、合格者平均点は31.7点で、

いずれも昨年度から約1点上昇しました。

同じ40分の試験時間ですが、理科は社会にくらべて「いそがしい」テストではありません。

試験時間に余裕があるので、落ち着いて問題文を読んで確実に問題の指示に答えていけば、

8割以上の高得点を取るのは難しくありません。

ふだんから 『丸暗記にたよらず、問題文を精読して法則を理解する』 訓練が欠かせません。

2015年度の出題内容は、次の通りです。

大問1 地学分野 気象警報・月食・星の動き

大問2 生物分野 植物・血液の流れ・食物連鎖・種子の呼吸

大問3 生物分野 消化と吸収

大問4 地学分野 湿度の計算問題・雲のでき方・環境問題

今回は、大問1と大問2を解説します。

なお、問題は標準札幌校ホームページ北嶺中学過去入試問題からダウンロードできます。


大問1

(1)

面白さ☆  難度A

気象庁では、平成25年8月から特別警報の運用を開始しました。

大雨以外にも火山の噴火や津波などの被害が予想されるときに、特別警報が発令されます。

答え 特別

 

(2)

面白さ☆  難度A

月食は、月が地球のかげにかくされる現象で、満月のときに起きます。

ただし、地球の公転面と月の公転面は完全に同一平面ではなく、

約5度だけずれているので、満月のたびに必ず月食が起きるわけではありません。

答え B・・・イ  C・・・カ   D・・・キ

 

(3)

面白さ☆  難度A

北極星は地球の地軸の延長上にあるため、空の同じ位置に静止しているように見えます。

北の空の星は、北極星を中心にして反時計回りに回転しているように見えます。

このときの回転の速さですが、

「北極星を中心にして反時計回りに,1日に361度回転する」

と覚えましょう。

このように覚えておけば、

「同じ時刻に観測すると見える位置が、1日に1度ずつ反時計回りの向きに動いていく」

ことが理解できるはずです。

1時間では反時計回りの向きに、361÷24≒15(度)動くように見えます。

2時間ではアの位置から反時計回りの向きに、15×2=30(度)動いて見えるので、

シの位置に見えます。

また、3か月(90日)後の2月1日午後8時には、

アの位置から反時計回りの向きに、1×90=90(度)動いて見えるので、コの位置に見えます。

同じ日の午後6時には、コの位置から時計回りに、15×(8-6)=30(度)もどった位置に見えるので、

サの位置に見えます。

答え E・・・シ  F・・・サ

 


大問2

(1)

面白さ☆☆  難度A

コケの性質・生態にくわしくなくても、消去法で正解にたどりつけます。

お花とめ花を咲かせる植物の代表は、ウリ科の植物です。

ウリ科以外でお花とめ花を咲かせる植物には、マツ・スギ・トウモロコシなどがあります。

ヘチマはウリ科の植物なので、お花とめ花を咲かせます。

サクラはバラ科の植物なので、一つの花におしべとめしべがあります。

よって、イとウは誤りです。

また、植物は根から道管を通してすい上げた水と、

葉の気孔から取り入れた二酸化炭素を原料として、

葉緑体で酸素とでんぷんを作ります。

この働きを光合成といいます。

エでは、「水を気孔から吸収して」という記述があるので誤りです。

よって、アが正解とわかります。

ちなみに、コケには栄養や水分をすい上げるための根がありません。

水や栄養をすい上げないので、それらを体中にいきわたらせる道管や師管もありません。

答え ア

 

(2)

面白さ☆☆  難度A

小腸で吸収された養分をふくんだ血液は、小腸から直接大静脈に向かうのではなく、

小腸と肝臓をつなぐ門脈という血管を通って、いったん肝臓に向かいます。

そのため、門脈を流れる血液には、

ヒトの体を流れる血液の中で最もたくさんの栄養分がふくまれています。

血液中の栄養分の一部は、肝臓でグリコーゲンという物質に作り変えられて、

肝臓にたくわえられます。

エ以外の選択肢の誤りも確認しておきましょう。

心臓から肺へ向かう血液が流れる肺動脈には、酸素が少ない血液が流れています。

また、肺から心臓へ向かう血液が流れる肺静脈には、

実線と点線の中で最も酸素が多く、二酸化炭素が少ない血液が流れています。

よって、ア・イ・ウは誤りです。

また、腎臓では二酸化炭素以外の血液中の不要物をこし取っているので、

実線と点線の中で最も不要物の少ない血液が流れています。

よって、オは誤りです。

答え エ

 

(3)

面白さ☆☆☆  難度A

ヒザラガイとカサガイは、ヒトデの食物のうちでは、

重量比でそれぞれ4%、5%をしめるにすぎません。

そのため、この海岸のヒトデがまったくいなくなっても、

ヒザラガイとカサガイが大きく数を増やすことはありません。

一方でフジツボとイガイは、ヒトデの食物の大部分をしめるため、

この海岸のすべてのヒトデをとりのぞくと、天敵がいなくなったフジツボとイガイは、

その数を大きく数を増やします。

フジツボとイガイは岩場にからだをくっつけて生活するので、

その数が大きく増えると、岩場がフジツボとイガイでおおいつくされてしまい、

紅藻が生活することができなくなります。

紅藻がいなくなると、紅藻を食べて生活するヒザラガイとカサガイは、

えさがなくなって生きていけなくなります。

答え エ

 

(4)

面白さ☆☆☆  難度B

暗室では種は呼吸だけを行い、空気中の酸素を吸収して二酸化炭素を放出しています。

種が酸素を10目盛り分吸収して、二酸化炭素を7目盛り分放出したとします。

ここではわかりやすくするために、吸収と放出を別々に考えましょう。

最初に酸素を10目盛り分吸収した時点で、装置内の気体の体積が10目盛り分だけ減少するので、

水滴が矢印の向きに10目盛り移動します。

次に二酸化炭素が7目盛り分放出されると、装置内の気体の体積が7目盛り分だけ増加するので、

水滴が矢印と逆の向きに7目盛り移動します。

この結果、実験前にくらべて水滴は、10-7=3(目盛り)だけ、矢印の向きに移動することになります。

ここまでの変化は、試験管に水を入れた場合に相当します。

ここからさらに、放出された二酸化炭素がすべて吸収されると、

装置内の気体の体積が7目盛り分だけ減少するので、水滴が矢印の向きに7目盛り移動します。

この結果、実験前にくらべて水滴は、3+7=10(目盛り)だけ矢印の向きに移動することになります。

ここまでの変化は、試験管に水酸化ナトリウム水溶液を入れた場合に相当します。

以上のように考えると、

(あ)の目盛りの大きさが表すのは、「種が吸収した酸素の体積」、

(い)の目盛りの大きさが表すのは、「種が吸収した酸素の体積」-「種が放出した二酸化炭素の体積」

であることが確認できます。

答え (あ)・・・ア  (い)・・・オ

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