2015年 北嶺中学校 理科(2)

今回は、大問3と大問4を解説します。

大問3は化学分野からの出題でしたが、かなり難度の高い問題でした。

小学生には聞き慣れない「酸化・還元反応」という言葉にとまどって、

苦戦した受験生が多かったようです。

問題文を読み進めながら、

「結局は、ふだん学習している『ものの燃え方』の計算問題と同じように考えればよいんだ」

ということに気がつけば、小問6問のうち、少なくとも4問は正解できるはずです。

大問4は物理分野から、てこのつり合いの問題でした。

問題文中にていねいな導入がなされているので、それほど高い難度ではありません。

ただし、導入部分をきちんと理解せずにあわてて小問や図に飛びついてしまうと、

ここで大きく失点するおそれもあります。

近年、本校入試理科の物理分野では力学の出題が続いており、難度の高い問題も目立ちます。

来年以降の志望者は、特に力学分野について、「重心」の考え方や、「浮力」の仕組みなど、

応用レベルまでの問題演習と確実な理解を心がけましょう。

なお、問題は標準札幌校ホームページ北嶺中学過去入試問題からダウンロードできます。


大問3

(1)

面白さ☆☆  難度A

「ものの燃え方」の単元で、

「ものが燃えるというのは、燃えるものがはげしく酸素と結びつくことである」

と学習しました。

また、水分が存在するなかで鉄が自然に酸化すると、赤いさびができます。

よって、ここではア、オ、キが正解になります。

ちなみに、

イは 固体 → 気体、

ウは 固体 → 液体、

エは 液体 → 気体

の状態変化であって、他の物質と結びついて別の物質に変わるわけではありません。

カは中和反応の一種で、酸(二酸化炭素)とアルカリ(石灰水中にとけている水酸化カルシウム)が反応して、

炭酸カルシウムと水が発生します。

答え ア・オ・キ

 

(2)

面白さ☆☆☆  難度B

問題文中にもあるように、実験1の反応はすべて「酸化」にあたります。

このような化学分野の計算問題では、問題文中に示された反応を式に表して、

反応する各物質の重さの比を整理する作業が欠かせません。

①~③の反応を式に表すと、次のようになります。

①・・・・・・活性炭1.2g + 酸素1.6g → 一酸化炭素2.8g

②・・・・・・活性炭1.2g + 酸素3.2g → 二酸化炭素4.4g

③・・・・・・一酸化炭素2.8g + 酸素1.6g → 二酸化炭素 X g

活性炭を空気中で完全に燃焼させると、

活性炭が酸素と十分に結びついて二酸化炭素ができます。

一方、活性炭を空気が少ない中で不完全に燃焼させると、

活性炭が酸素と十分に結びつくことができずに、有毒な一酸化炭素という気体ができます。

答え A・・・一酸化炭素  B・・・二酸化炭素

 

(3)

面白さ☆☆☆  難度B

(2)の3つの式で、

①と③の2つの反応が連続して起こったものが②の反応である、

という考え方ができれば、X=4.4gだとわかります。

答え 4.4

 

(4)

面白さ☆☆  難度B

③の式で反応する酸素の重さを2倍にすれば、

②と③で酸素の重さが、どちらも3.2gになります。

このとき、③の一酸化炭素(気体A)の重さも、

もとの重さの2倍の5.6gになります。

1.2 : 5.6 = 3 : 14

答え 3 : 14

 

(5)

面白さ☆☆☆☆☆  難度C

実験2の反応のうち、④は「酸化」、⑤と⑥は「還元」にあたります。

④の反応を式に表すのは簡単です。

④・・・・・・銅6.4g + 酸素1.6g → 酸化銅8g

次に、⑤ですが、まず酸化銅から酸素が離れて銅と酸素にもどるという反応と、

活性炭と(酸化銅から離れた)酸素が結びついて二酸化炭素ができるという、

2つの反応が連続して起こったと考えます。

ここでは、酸素の重さが②の半分の1.6gなので、活性炭と二酸化炭素の重さも②の半分になります。

酸化銅8g → 銅6.4g + 酸素1.6g、

活性炭0.6g + 酸素1.6g → 二酸化炭素2.2g

2つの反応を合わせて考えると、次のようになります。

⑤・・・・・・酸化銅8g + 活性炭0.6g → 銅6.4g + 二酸化炭素2.2g

活性炭が0.3gのとき・・・・・・酸化銅は⑤の半分の4gが反応し、4gが反応せずに残ります。

できる銅も⑤の半分の3.2gなので、残る固体の重さは、4+3.2=7.2(g)です。

 

活性炭が0.6g以上のときは、酸化銅はすべて反応し、銅6.4gができます。

銅に加えてさらに、1.6gをこえる分の活性炭が固体として残ることに注意が必要です。

 

活性炭が0.6gのとき・・・・・・残る固体は銅だけで、その重さは6.4gです。

活性炭が0.9gのとき・・・・・・残る固体は銅と活性炭で、その重さは6.4+(0.9-0.6)=6.7(g)です。

活性炭が1.2gのとき・・・・・・残る固体は銅と活性炭で、その重さは6.4+(1.2-0.6)=7.0(g)です。

答え 下のグラフ

2015-hokurei-scence2-1

 

(6)

面白さ☆☆☆☆☆  難度C

⑥も同様に、酸化銅から酸素が離れて銅と酸素にもどるという反応と、

一酸化炭素と(酸化銅から離れた)酸素が結びついて二酸化炭素ができるという、

2つの反応が連続して起こったと考えます。

酸素の重さは③と同じ1.6gなので、2つ目の反応は③と同じです。

酸化銅8g → 銅6.4g + 酸素1.6g、

一酸化炭素2.8g + 酸素1.6g → 二酸化炭素4.4g

2つの反応を合わせて考えると、次のようになります。

⑥・・・・・・酸化銅8g + 一酸化炭素2.8g → 銅6.4g + 二酸化炭素4.4g

答え 2.8g

 


大問4

(1)

面白さ☆☆  難度A

てこのつり合いでは、「モーメント」という考え方が重要です。

「モーメント」は、次の式で表されます。

(モーメント)=(おもりの重さ、または力の大きさ)×(うでの長さ)

左回りのモーメントと、右回りのモーメントが等しいとき、てこがつり合います。

この問題では、おもりの重さがすべて等しいので、「うでの長さ」だけを考えればよいことになります。

ここで、図3と図4のどちらの場合でも、

この後、二つ目のおもりを点E、J、Oのいずれの点にとりつけて手をはなしても

板がつりあって静止することから、「うでの長さ」はすべて等しいことになります。

つまり、ここでいう「うでの長さ」とは、

回転中心(支点)と、おもりをとりつける点との距離のことではなく、

回転中心から鉛直下向き(重力の向き、ここではまっすぐ下向き)にのばした直線と、

おもりをとりつける点との距離であることがわかります。

図5では、 Fにとりつけたおもり と Jにとりつけたおもり の「うでの長さ」が等しくなって、

つり合っています。

もう1個のおもりが、 Gにとりつけたおもり とつり合えばよいので、

とりつけられる点は、D、I、Nのいずれかになります。

答え 3か所

 

(2)

面白さ☆☆  難度A

各点の「うでの長さ」の比を数値で表します。

F、E、J、Oの「うでの長さ」を、それぞれ2、

G、D、I、Nの「うでの長さ」をそれぞれ1とすると、

回転中心の左側の「うでの長さ」の合計は、2+1=3になります。

回転中心の右側の「うでの長さ」の合計も3になればよいので、

D、I、Nにおもりをとりつければつり合います。

答え D、I、N

 

(3)

面白さ☆☆  難度A

各点の「うでの長さ」の比を数値で表すと、次のようになります。

2015-hokurei-scence2-2

回転中心の左側の「うでの長さ」の合計と、

回転中心の右側の「うでの長さ」の合計が等しくなればつり合います。

 

答え E

 

面白さ☆☆  難度A

答え C、J

面白さ☆☆☆  難度B

回転中心の左側の「うでの長さ」の合計=回転中心の右側の「うでの長さ」の合計=2のとき・・・・・・BとI

回転中心の左側の「うでの長さ」の合計=回転中心の右側の「うでの長さ」の合計=3のとき・・・・・・DとG、またはDとN

回転中心の左側の「うでの長さ」の合計=回転中心の右側の「うでの長さ」の合計=4のとき・・・・・・EとF

答え BとI、DとG、DとN、EとFのうち二組

 

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