2015年 北嶺中学校 算数(1)
本年度の入試は、試験時間が50分から60分に変更されて3年目になります。
大問は5問で例年通りですが、小問総数は19問で、昨年より2問減りました。
受験者平均点は43.9点(昨年度は36.5点)、合格者平均点は58.3点(昨年度は48.6点)、
最高点は88点(昨年度は90点)と、昨年から易しくなりました。
受験者平均と合格者平均の得点差は、14.4点(昨年度は12.1点)と昨年度から約2点広がりましたが、
これは大問2の(3)、大問3の(1)、大問5の(2)①など、
慎重に考えないと”ワナ”にはまりやすい設問が多かったことが、おもな原因と考えられます。
極端な難問は1問もありませんが、最高点が昨年度を下回っていることからも、
「出来た」と思った問題で得点を落とした受験生が多かったことがうかがえます。
日ごろの学習から、最初に出した答えにすぐ飛びつくのではなく、
「待て待て。本当にこの答えで合っているかな。何か見落としている条件はないかな」と、
慎重に考える習慣が身についている受験生にとっては、
合格確実ラインの7割以上の得点を取るのは、それほど困難ではなかったはずです。
出題分野別の特徴では、本校の入試問題で初めてニュートン算が出題されました。
また昨年度は出題されなかった立体図形の問題が復活しました。
全体としては、本校入試として平均的な難度・問題構成です。
2015年度の出題内容は、次の通りです。
大問1 計算問題4問
大問2
(1) 整数の性質(分数の分母・分子)
(2) つるかめ算の応用
(3) 場合の数(カードを並べてできる整数の個数)
(4) 平面図形(正三角形と正方形)
大問3 植木算の応用とニュートン算
大問4 速さとグラフ
大問5 立体図形(表面積・面上の点の移動)
今回は、標準札幌校の受験生からの聞き取りで、最も『難しい』という声が多かった大問5を解説します。
(2)①では表面積を求めるための「定番」の手法が活用できます。
(2)②は、北嶺入試らしい良問です。
「道順」を考えてしまうと頭が混乱します。「面」と「辺」の関係から要領よく処理しましょう。
なお、問題は標準札幌校ホームページの北嶺中学過去入試問題からダウンロードできます。
大問5
(1)
面白さ☆☆☆ 難度B
最も短い道すじは複数考えられますが、実際にそのうちの1つをかいてみると、
1㎝の直線移動を12回くり返すことがわかります。
長さは,1×12=12(㎝)になります。
答え 12㎝
(2)
①
面白さ☆☆☆ 難度B
立方体や直方体の面と面をはり合わせてできる立体の表面積を求めるには、定番の解法があります。
式に表すと以下のようになります。
(表面積)
=(真上から見える面積+真正面から見える面積+真横から見える面積)×2+(真上,真正面,真横から見ても見えない面積)
上のように真上、真正面、真横の向きを定めると、
もとの立方体の正方形の面のうち、それぞれの向きから見える面の数は、
真上→5面、真正面→8面、真横→6面です。
さらに、真上、真正面、真横から見ても見えない面が(斜線をつけた)2面あります。
合計で、(5+8+6)×2+2=40(面)あるので、
表面積は2×2×40=160(㎠)になります。
答え 160㎠
②
面白さ☆☆☆☆☆ 難度C
(1)でかいた道すじについてよく考えると、解法の糸口が見つかります。
(1)の道すじは、全部で6つの面を通っています。
新しい辺を横切るごとに次の面に進むので、
「道すじが横切る辺」の数は、「道すじが通る面」の数と同じになります。
実際に、図では「道すじが横切る辺」の数は6本になっています。
このとき、どの面も1回しか通らないので、
どの面でも必ず、道すじが横切る辺が2本、横切ることのない辺が2本あります。
つまり、「道すじが横切る辺」の数と、「道すじが横切ることのない辺」の数は必ず等しくなります。
「道すじが通る正方形の面」の数、すなわち「立体上の正方形面の数」と、
「道すじが横切ることのない辺」の数は必ず等しくなります。
①で求めたように、正方形の面は全部で40面あるので、
「道すじが横切ることのない辺」の数は40本になります。
それらの辺の長さの合計は、2×40=80(㎝)になります。
答え 80㎝