2007年 北嶺中学校 理科
『北嶺突破ゼミ』開講に合わせて、過去の北嶺入試で出題された難問や、
合否を分けた問題を解説しています。
本年度の第七回目は、2007年の理科大問4・5です。
大問4は生物分野からの出題でした。
Ⅰはこん虫や植物についての知識問題と、ミツバチの8の字ダンスの仕組みを考える問題、
Ⅱは実験結果からの考察力を問う問題でした。
ミツバチの8の字ダンスは中学入試でよく取り上げられる題材で、
2014年度は東京の「女子御三家」のひとつである女子学院中学で、
本年度の北嶺中とほぼ同様の出題がされました。
『北嶺突破ゼミ』理科の「こん虫のからだと育ち方」の回でも、同様の問題が出題されています。
8の字ダンスの問題はていねいな導入がなされているので、
初めて見る受験生でも比較的簡単に正解できたと思われます。
むしろ、それ以外の知識問題の正答率が低かったようです。
大問5は化学分野から、Ⅰが気体と水溶液の中和、Ⅱが溶解度についての出題でした。
特にⅡは典型的な問題で、過去の北嶺入試で何度も出題されているパターンです。
まだこの分野を苦手にしている人は、本問や『北嶺突破ゼミ』の復習を通して、解法の理解と弱点克服に努めましょう。
なお、問題は標準札幌校ホームページの北嶺中学過去入試問題からダウンロードできます。
大問4
(1)
面白さ☆☆ 難度B
①
図3でもわかるように、アブラナ、ニセアカシア、ハマナスは花びらが分かれている花(離弁花)、
タンポポは花びらがくっついている花(合弁花)をさかせます。
表の植物のうち、サクラ、チューリップは花びらが分かれている花、
アサガオ、ツツジは花びらがくっついている花(合弁花)をさかせます。
マツの花には花びらがありません。
②
ほとんどの虫ばい花では、花の内側の下部に蜜(みつ)せんがあり、花がさくと蜜が分泌(ぶんぴつ)されます。
チョウやハチなどのこん虫が蜜をすったりなめたりするときに、おしべの花粉がめしべに受粉します。
イネなどの風ばい花は、こん虫に受粉してもらう必要がないので、蜜せんはありません。
答え ① ウ ② エ
(2)
面白さ☆☆ 難度B
ミツバチの体は、頭部(あたま)、胸部(むね)、腹部(はら)の3つに分かれ、
胸部に6本の足と4枚のはねがあります。
また、腹部のわきには気門とよばれる小さな穴が並んでいて、
ここから空気を取り入れて呼吸しています。
冬になるとミツバチの成虫は、巣の中で体を寄せ合い、
蜂球とよばれる球状のかたまりになって体を温め、
中心部にいる女王バチを寒さから守ります。
よって、正しいのはb、e、gです。
答え カ
(3)
面白さ☆ 難度A
ハチ以外に、アリやシロアリも巣を作り、女王アリ、雄(おす)アリ、働きアリが役割を分担して集団生活をしています。
働きバチや働きアリはすべてメスですが、卵を産むことはできません。
卵はすべて一匹の女王バチ、女王アリが産みます。
シロアリはその名前からアリの仲間と思いがちですが、
実はアリよりもゴキブリに近い種類のこん虫です。
育ち方も、ハチやアリが完全変態なのに対して、シロアリは不完全変態です。
答え オ
(4)
面白さ☆☆ 難度A
えさ場までの距離が近いほどグラフのかたむきが急なので、
わずかな距離の差をはっきり区別できます。
答え ア
(5)
面白さ☆☆☆☆☆ 難度B
8の字ダンスの真ん中の直進部分に注目しましょう。
図6をよく見ると、巣箱の真上を太陽の方向と想定して、
太陽の方向からどれだけの角度にえさ場があるかを、
真上と直進部分の角度で示していることがわかります。
Dでは、えさ場が太陽の方向から右向きに90度はなれているので、
真上と直進部分が右向きに90度の角を作るウが正解だとわかります。
答え ウ
(6)
面白さ☆ 難度A
○と△以外の条件がすべて同じなのは、実験5です。
答え オ
(7)
面白さ☆☆☆ 難度B
問題文の「(6)をふまえて」という部分をよく考えましょう。
実験4では、形の条件が有利な「黄・△・ハッカ」よりも、
形の条件が不利な「青・○・ハッカ」にたくさんのミツバチが集まっています。
つまり、黄色よりも青色の方に集まりやすく、さらに形よりも色の方がより優先される条件であることがわかります。
答え エ
(8)
面白さ☆☆☆ 難度B
(7)と同様に、問題文の「(6)と(7)をふまえて」という部分をよく考えましょう。
実験2では、色・形の条件がともに有利な「青・△・オレンジ」よりも、
色・形の条件がともに不利な「黄・○・ハッカ」にたくさんのミツバチが集まっています。
つまり、オレンジよりもハッカの方に集まりやすく、
さらに色・形よりもにおいの方がより優先される条件であることがわかります。
答え イ
(9)
面白さ☆☆☆☆ 難度B
(7)と(8)が導入になっています。
(7)と(8)の解説の下線部から、条件の優先度が高い順に、
におい、色、形であることがわかります。
答え オ
大問5
Ⅰ
(1)
面白さ☆ 難度A
イでは酸素、エでは二酸化炭素が発生します。
オは小学生にはなじみのない反応ですが、
ナトリウムと水が反応すると水素が発生し、水は水酸化ナトリウム水溶液になります。
答え イとエ
(2)
面白さ☆ 難度A
表1の性質から、気体Xは塩素であることがわかります。
答え 塩素
(3)
面白さ☆ 難度A
答え 中和
(4)
面白さ☆☆ 難度B
(3)の問題文に、
「酸性のすべての気体が、アルカリ性の水酸化ナトリウム水溶液と反応し、吸収された」
とあります。
表1から、気体Xと気体Yの水溶液はともに酸性であることがわかっているので、
表2で残っている気体は気体Xでも気体Yでもありません。
(あ)・(い)のどちらも、気体Xはすべて反応し、余った水素が残っていることがわかります。
答え ア
(5)
面白さ☆☆ 難度B
(あ)で水素が1.2g残っているので、
気体X28gと過不足なく反応する水素の重さは、2-1.2=0.8(g)です。
水素2gと過不足なく反応する気体Xの重さは、28×(2÷0.8)=70(g)なので、
気体Xの重さが70gのとき、残った気体の重さが0gになります。
気体Xの重さが70gをこえても、余った気体Xはすべて水酸化ナトリウム水溶液に吸収されるので、
やはり残った気体の重さは0gです。
答え 下のグラフ
Ⅱ
(1)
面白さ☆ 難度A
70℃の物質Zの飽和水溶液にふくまれる水と物質Zの重さの比は、100:140=5:7です。
よってとけている物質Zの重さは、飽和水溶液全体の重さの7/12になります。
120×7/12=70(g)
答え 70g
(2)
面白さ☆ 難度A
(1)の飽和水溶液にふくまれる水の重さは、120-70=50(g)です。
表3から、水の量が100gのとき、70℃の飽和水溶液を50℃まで冷やすと、
とけきれなくなった物質Zが、140-80=60(g)出てくることがわかります。
水の量が半分の50gなので物質Zが、60÷2=30(g)出てきます。
答え 30g
(3)
面白さ☆ 難度A
20℃の物質Zの飽和水溶液にふくまれる水と物質Zの重さの比は、100:30=10:3です。
よって水の重さは、飽和水溶液全体の10/13になります。
ここでの水の重さは、78×10/13=60(g)です。
表3から、水の量が100gのとき、20℃の飽和水溶液を50℃まであたためると、
物質Zをあと、80-30=50(g)とかすことができるとわかります。
水の量が半分の60÷100=3/5なので、物質Zをあと、
50×3/5=30(g)とかすことができます。
答え 30g
(4)
面白さ☆☆☆ 難度C
(2)では、(1)の水溶液を50℃に冷やすと、
物質Zが30gとけきれなくて出てくることが分かりました。
また、(3)では、20℃の物質Zの飽和水溶液を50℃にあたためると、
物質Zをあと30gとかすことができることが分かりました。
以上より、(1)の水溶液と(3)の水溶液を混ぜ合わせ、水溶液全体を50℃にすると、
ちょうど物質Zの飽和水溶液になります。
よって、「ある重さの20℃の物質Zの飽和水溶液」とは、(3)の水溶液だったことが分かります。
答え 78g
(5)
面白さ☆☆ 難度B
20℃の物質Zの飽和水溶液65gにふくまれる水の重さは、65×10/13=50(g)、
物質Zの重さは、65-50=15(g)です。
(1)の飽和水溶液と合わせると、水の重さが,50+50=100(g)、
物質Zの重さが15+70=85(g)になります。
50℃では水100gに対して、物質Zが80gまでとけるので、
とけきれなくなって出てきた物質Zは、85-80=5(g)です。
答え 5g