2014年 北嶺中学校 理科

2013年度入試から、試験時間が50分から40分に、配点が50点(満点)に変更されました。

大問は4問で物理・化学・生物・地学の4分野から1問ずつ出題されます。

2014年度の小問総数は25問で、昨年より1問増えました。

難易度は、暗記分野では比較的平易な出題が多く、

計算分野でやや難度が高い出題が多いというのが本校の理科の出題傾向です。

近年は物理分野の計算問題で、受験生の習熟度を試すようなやや高度な出題が続いていましたが、

2014年度は物理分野の問題が易しくなりました。

その一方で、生物分野で出題された「消化と吸収」の問題は、

問題文も長く、精読力と考察力が要求されるやや高度な出題でした。

受験者平均点は24.3点、合格者平均点は30.6点で、いずれも昨年とほぼ同じ点数でした。

高得点を取るためには、ふだんから

『丸暗記にたよらず、問題文を精読して自分で法則を理解する』訓練が欠かせません。

2014年度の出題内容は、次の通りです。

大問1 物理分野 虫めがね・電流・てこの3点・てこのつり合い

大問2 化学分野 水溶液の性質・溶解度・熱(あたたまり方)

大問3 生物分野 消化と吸収

大問4 地学分野 湿度の計算問題・雲のでき方・環境問題

今回は、最も難度の高かった大問3の生物分野の問題を解説します。

なお、問題は、標準札幌校ホームページ北嶺中学校過去入試問題

ご覧になれます。


(1) 面白さ☆  難度A

分解された養分は、小腸のじゅうとっきで吸収されます。

このとき、ぶどう糖とアミノ酸は毛細血管に、しぼう酸とグリセリンはリンパ管に入ります。

毛細血管に入ったぶどう糖とアミノ酸は、直接大静脈に向かうのではなく、

小腸と肝臓を結ぶ肝門脈という血管を通っていったん肝臓に運ばれ、

その一部が栄養分として肝臓にたくわえられます。

答え A ウ  B キ

 


(2) 面白さ☆☆  難度B

下線部(あ)を精読すれば正解はわかるのですが、意外に答えられなかった受験生が多かったようです。

少し表現が難しいですが、「分解の前後でつくりやはたらきを変えません」ということは、

言いかえれば「自分自身は変化せずに、反応を助ける」ということです。

この書き方であれば、「酸素発生実験での二酸化マンガンの役割だ」とわかります。

答えは「しょくばい(触媒)」です。

答え しょくばい

 


(3) 面白さ☆☆  難度C

暗記した知識だけで、「タンパク質の消化=胃液」と飛びついてはだめです。

ここで考察力が要求されます。

実験の結果をよく見ると、この消化液にふくまれる酵素は体温ぐらいの温度でしかはたらかず、

また、酸性の液体中でははたらかないことがわかります。

胃液には塩酸がふくまれ、逆に酸性の液体中でしかはたらかないので、イは誤りであることがわかります。

大腸、心臓、腎臓は消化液を作りません。

また、口で作られる消化液はでんぷんだけに、肝臓で作られる消化液はしぼうにだけはたらくので、

消去法でも正解がオとわかります。

答え オ

 


(4) 面白さ☆☆  難度B

(3)が答えられれば簡単ですね。

試験管⑤と⑥の実験結果から、この酵素はアルカリ性の液体中でははたらくが、

酸性の液体中でははたらかないことがわかります。

答え エ

 


(5) 面白さ☆  難度A

試験管②、⑤、⑧の液体はいずれもアルカリ性ですが、

試験管⑤だけで酵素がはたらいています。

一般に、消化液中の酵素は、体温付近の温度でもっとも活発にはたらき、

低温ではほとんどはたらきません。

また、高温にすると酵素自体がこわれてしまって、二度とはたらかなくなります。

答え ウ

 


(6) 面白さ☆☆☆  難度B

まず、各試験管の条件を確認しておきましょう。

試験管⑤・・・カツオの削り節1倍、消化液2mL、液体の体積10mL

試験管⑩・・・カツオの削り節2倍、消化液2mL、液体の体積10mL

試験管⑪・・・カツオの削り節1倍、消化液4mL、液体の体積10mL

試験管⑫・・・カツオの削り節2倍、消化液4mL、液体の体積10mL

下線部(あ)に

「タンパク質を分解する酵素は、何度でもタンパク質を分解し、分解の速度を速くするはたらきがあります」

と書かれています。

酵素自体はしょくばいで、タンパク質が分解してアミノ酸に変化するわけですから、

生じたアミノ酸の量は、試験管に加えたカツオの削り節の量に比例します。

また、消化液の量が多いほど、カツオの削り節にはたらく酵素の量が増えるので、

アミノ酸が発生する速さが増します。

試験管⑩は試験管⑤と比べて、アミノ酸の発生する速さは同じで、発生量が2倍になります。

試験管⑪は試験管⑤と比べて、アミノ酸の発生する速さが速くなり、発生量は同じです。

答え 試験管⑩・・・ア  試験管⑪・・・ウ

 


(7) 面白さ☆☆☆☆  難度C

試験管⑫は試験管⑪と比べるのがよいでしょう。

試験管⑫は試験管⑪と比べて、アミノ酸の発生する速さは同じで、発生量が2倍になります。

答え 下のグラフの太実線

hokurei-2014-scienc-1

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