2012年 北嶺中学校 理科(1)

いよいよ9月4日より、『北嶺突破ゼミ』が開講します。

『北嶺突破ゼミ』では、9月から12月までの3か月間、全30回にわたって

テストゼミ(テスト→解説)形式の授業を実施し、入試対策の総まとめを行います。

本ゼミでは、過去の北嶺入試の出題内容を徹底分析し、入試頻出の重要単元をはじめとして、

出題予想問題の実戦的解法を指導します。

北嶺中学受験はもちろん、立命館慶祥、札幌日大、札幌光星、札幌大谷、藤女子、函館ラサール、

さらには道外難関校の受験にも対応できる広範囲な内容となっています。

本ゼミは標準札幌校の会員以外の方も受講することができます。

また、遠隔地にお住いの受験生には、通信添削で参加することも可能です。

vic’s粒子では、『北嶺突破ゼミ』開講に合わせて、過去の北嶺入試で出題された難問や

合否を分けた問題を取り上げて解説していきます。

本年度の第一回目は、2012年の理科大問2です。

難しくはありませんが、水溶液の性質全般の理解度を見るにはもってこいです。

上位合格をねらう人は、是非とも完答して高得点をねらいたいところです。

なお、問題は、標準札幌校ホームページ北嶺中学校過去入試問題

ご覧になれます。


問題を解く前に、消石灰と石灰石の区別がきちんとついているか確認しましょう。

消石灰は別名を水酸化カルシウムといい、少量ですが水に溶けます。

この水溶液が「石灰水」で、アルカリ性を示します。

「石灰水」という名前から、石灰石が水に溶けた水溶液だと勘違いしている人が多いようですが、

石灰石は水に溶けません。

石灰石はサンゴなど、炭酸カルシウムという物質をからにもつ生物が海底にたい積してできる岩石なので、

その主成分は炭酸カルシウムという水に溶けない物質です。

ちなみに、卵のからの成分はその95%以上が炭酸カルシウムなので、

石灰石と卵のからはとてもよく似た物質だと言えます。

問題文中にもありますが、石灰水に二酸化炭素をふきこんだときにできる「白いにごり」の正体が、

この炭酸カルシウムです。

この反応も中和反応のひとつです。


(1)

面白さ☆  難度A

酸性の物質とアルカリ性の物質を混ぜると、塩(えん)と水ができます。

この反応を「中和」といいます。

代表的な中和反応としては、下の2つを覚えておけばよいでしょう。

塩化水素(水溶液の場合は塩酸) + 水酸化ナトリウム → 食塩(塩化ナトリウム) + 水

二酸化炭素(水溶液の場合は炭酸水) + 消石灰(水酸化カルシウム) → 炭酸カルシウム + 水

答え 中和

 


(2)

面白さ☆  難度A

上ずみ液=石灰水なので、アルカリ性の水溶液にあてはまる性質を答えます。

答え ア、エ、ケ

 


(3)

面白さ☆☆  難度B

水2000gに消石灰10gを入れると、とけ残りが生じています。

とけ残りがあるので、上ずみ液は「ほう和」していることがわかります。

 

水の量を半分の1000gにしても、やはりとけ残りが生じて、上ずみ液は「ほう和」しているので、

上ずみ液のこさは、もとの【実験】と同じです。

こさが同じなので、上ずみ液1g中に溶けている消石灰の量も同じになり、

乾燥させた後に残る粉末の量も、もとの【実験】と同じです。

答え ウ、カ

 


(4)

面白さ☆☆☆  難度C

1は簡単ですが、2で間違わないように注意しましょう。

上ずみ液の濃度=0.17%という条件があたえられている理由を考えられれば、完答できるはずです。

上ずみ液1500gと塩酸244gがちょうど反応することがわかっているので、

1では塩酸が、264-244=20(g)だけあまります。

塩酸は塩化水素という気体が溶けている水溶液なので、水を蒸発させても固体は残りません。

よって、残った固体(塩化カルシウムという物質)の重さは、

上ずみ液1500gと塩酸244gを反応させたときと同じ3.85gになります。

一方、2では上ずみ液が、1600-1500=100(g)だけあまります。

この上ずみ液には固体の消石灰が溶けているので、水を蒸発させると溶けていた固体が残ります。

この固体の重さを求めるために、上ずみ液の濃度=0.17%という条件があたえられているのです。

上ずみ液100gに溶けている消石灰の重さは、100×0.0017=0.17(g)です。

上ずみ液1500gと塩酸244gが中和してできる固体の重さは3.85gなので、

残った固体の重さは、0.17+3.85=4.02(g)になります。

答え 1 3.85  2 4.02

 


(5)

面白さ☆  難度A

二酸化炭素は、体積で空気の約0.03%をしめる気体で、重さは空気の約1.5倍です。

また、水に少し溶けて、その水溶液(炭酸水)は酸性を示します。

答え イ、オ

 


(6)

面白さ☆☆  難度B

まず、一般的な二酸化炭素と酸素の発生方法を確認しておきましょう。

二酸化炭素は、炭酸カルシウムを多くふくむ物質に塩酸を加えると発生します。

一方、酸素は、過酸化水素(水溶液の場合は過酸化水素水=オキシドール)に二酸化マンガンを加えると発生します。

ここで注意しないといけないのは、

炭酸カルシウムと塩酸は、おたがいに反応して別の物質に変化しますが、

二酸化マンガンは反応(過酸化水素の分解)を助けるだけで、変化しないということです。

このように自身は変化せずに反応を助ける物質を「しょくばい」といいます。

酸素の発生実験では、二酸化マンガン以外にも、生のレバーやジャガイモなどが「しょくばい」として利用できます。

それぞれの反応は、下のようになります。

塩酸 + 炭酸カルシウム → 塩化カルシウム + 二酸化炭素

過酸化水素 → 酸素 + 水

ア、イでは水素、エでは水蒸気、オではアンモニアという気体が発生します。

ウのベーキングパウダー(ふくらし粉)の主成分は、重曹(じゅうそう)、別名・炭酸水素ナトリウムという物質です。

重曹は常温で白色の粉末で、水溶液はごく弱いアルカリ性を示します。

重曹を加熱したり、酸性の水溶液と反応させると二酸化炭素が発生します。

調理用品以外では、炭酸ガスを発生させる入浴剤などに使用されています。

答え ウ

 


(7)

面白さ☆☆  難度B

表2から、塩酸50gと炭酸カルシウム1gがちょうど反応して、二酸化炭素200mLが発生することがわかります。

炭酸カルシウム0.5gと反応する塩酸の量は、50×0.5=25(g)なので、

あとから加えた塩酸20gのうち、25-20=5(g)が炭酸カルシウムと反応することになります。

新たに発生する二酸化炭素の量は、200×5÷50=20(mL)です。

答え 20mL

 


(8)

面白さ☆☆  難度B

二酸化マンガンは変化せず、オキシドール中の過酸化水素が分解して酸素が発生するので、

酸素の発生量はオキシドールの量に比例します。

表3から、オキシドール100gから酸素500mLが発生することがわかるので、

オキシドール120gから発生する酸素の量は、500×120÷100=600(mL)です。

答え 600mL

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