2012年 北嶺中学校 理科(2)
『北嶺突破ゼミ』開講に合わせて、過去の北嶺入試で出題された難問や、
合否を分けた問題を解説しています。
本年度の第二回目は、2012年の理科大問1です。
「重心」という考え方を用いて、「何個かのおもりをひとつにまとめる」という作業に不慣れな受験生には、
かなり難しい問題でした。
小問全部を間違えた受験生もいたようです。
この年の理科の出題の中では、間違いなく「合否を分けた問題」です。
なお、問題は、標準札幌校ホームページの北嶺中学過去入試問題からで
ご覧になれます。
問題を解く前に、「重心」の確認をしましょう。
力学における定義では、
「重心は、質量が分布する空間において、その質量に対して他の物体から働く万有引力の合力の作用点」
です。
これでは小学生には難しすぎるので、次のように理解しておけば十分です。
「重心とは、ある物体の重さ全部が集まっていると考えてよい点」
「重心とは、ある物体をその点で支えれば、物体を水平につり合わせることができる点」
のことです。
例えば、この問題では、板の中心が板全体の重心になります。
A1枚の重さを1とすると、板全体の重さは,5×5=25ですから、板の中心に25の重さがかかっていると考えます。
(1)~(4)では、板の中心を支えているので、板の重さは考えませんが、(5)ではこの考え方が役に立ちます。
次に、「何個かのおもりをひとつにまとめる」という作業を確認しましょう。
この問題を解くには、
「同じ重さの2つのおもりをひとつにまとめると、2つのおもりの真ん中に2倍の重さのおもりを置けばよい」
という知識があれば十分です。
別の言い方をすれば、
「同じ重さの2つのおもりの重心は、2つのおもりの真ん中になる」
ということです。
この問題と同じ板を用いて、いくつか例をあげてみましょう。
2つのおもりを1つにまとめる作業を矢印で表すと、次のようになります。
あとは、問題中の図3で示されたつり合いの法則にのっとって、問題を解いていきましょう。
(1)
面白さ☆☆☆ 難度B
図3の例から、上のようにすればつり合うことがわかります。
あとは、先ほどとは逆に、「1つのおもりを2つに分ける」作業をしましょう。
(2)
面白さ☆☆☆ 難度B
(1)と同様に考えます。
①
②
図3の例から、支点(板の中心)から板を置く位置までの距離(きょり)が半分になれば、
板の重さを半分にすると、つり合いが保たれることがわかります。
③
④
(3)
面白さ☆☆☆☆ 難度C
①
上のように考えると、アに置くAの枚数は、5×2=10(枚)とわかります。
答え 10枚
②
上のように考えると、アに置くAの枚数は、5×2+5=15(枚)とわかります。
答え 15枚
③
おたがいにつり合っている板(×印)をとりのぞいても、つり合いは変わりません。
アに置くAの枚数は、②と同じ15枚になります。
答え 15枚
④
上のように考えると、アに置くAの枚数は、5×2+1=11(枚)とわかります。
答え 11枚
(4)
面白さ☆☆☆☆ 難度C
①
切り取った板を元の位置にもどせばつり合うので、支点(板の中心)からの距離が半分の位置に、
Aを2枚置けばつり合います。
②
(2)と同じように、「1つのおもりを2つに分ける」作業をします。
③
(5)
面白さ☆☆☆ 難度B
支点(糸の場所)の位置が変わったので、板の中心に25の重さがかかっていると考えます。
支点をはさんで板の中心と対称(たいしょう)の位置に、Aを25枚置けばつり合います。