2012年 北嶺中学校 算数(1)
いよいよ9月10日より、2013年度の『北嶺突破ゼミ』が開講します。
『北嶺突破ゼミ』開講に合わせて、過去の北嶺入試で出題された難問や、
合否を分けた問題を取り上げて解説していきます。
第1回目は、2012年の大問5です。
立体図形の難問ですが、特に(3)の図をイメージするには、高度な立体感覚が要求されます。
問題は標準札幌校のホームページの北嶺中学校過去入試問題からダウンロードできます。
(1)
難度B 面白さ☆☆☆☆☆
下図のように、立方体の各頂点に記号を打って、
展開図と対応させるのが最も確実な解き方です。
正確な作業を心がけて、何としても正解しておきたい問題です。
あとは、展開図にAC、AH、CH、AFを順にかきこめば、正解にたどりつきます。
答え
(2)
難度C 面白さ☆☆☆☆☆
(1)の立方体ABCD‐EFGHの1辺の長さを3とします。
このとき、立方体の体積は、3×3×3=27 となります。
図1の正四面体は、立方体から4つの合同な三角すい
B‐AFC、D‐ACH、E‐AFH、G‐CFHを切り取った残りの立体です。
三角すい1個あたりの体積は、3×3÷2×3÷3=4.5 なので、
図1の正四面体の体積は、27-4.5×4=9 となります。
次は、図3の正八面体の体積を考えましょう。
下の斜線部は対角線の長さが6の正方形となっているので、
その面積は、6×6÷2=18 です。
この正方形で正八面体を上下2つの立体に分けて考えると、
それぞれの立体は、面積18の正方形を底面とし、
高さが3の四角すいであることがわかります。
それぞれの四角すいの体積は、18×3÷3=18 なので、
図3の正八面体の体積は、18×2=36 となります。
正八面体と正四面体の体積のちがいは、36-9=27 となり、
図1の立方体の体積の、27÷27=1(個分)と求められました。
答え 1個分
(3)
難度D 面白さ☆☆☆☆☆
この問題を解くために是非とも知っておきたい、公式的な知識があります。
それは、
『1つの正四面体は、もとの正四面体の1/8の体積の正四面体4個と、
もとの正四面体の1/2の体積の正八面体1個に分割される。』
ということです。
図を使って説明しましょう。
上図の正四面体を、正四面体の4つの面それぞれに対して平行な4つの平面で、
正四面体の高さを2等分するように切り分けます。
この切断を「切断X」と呼ぶことにします。
すると、正四面体は、合同な正四面体4個と正八面体1個に分割されます。
もとの正四面体どうしの相似比が1:2なので、体積比は,(1×1×1):(2×2×2)=1:8 となります。
よって正八面体ともとの正四面体の体積比は、(8-1×4):8=1:2 となります。
このとき、切り分けられてできた小さな正四面体1個と正八面体の体積比は、
1:4 となっており、図1の正四面体と図3の正八面体の体積比(9:36=1:4)と
等しいことが分かります。
この知識をもとに、図5の立体を見てみると、
● 印をつけた頂点を持つ1辺が、②の4個の正四面体で
それぞれ「切断X」が行われたのと結果的に同じであることが分かります。
1辺が②の4個の正四面体1個ごとに、1辺が①の正八面体が1個ずつ含まれるので、
正八面体の個数は4個と分かります。
ここからは、体積比の考え方を用いて考えると簡単です。
図1の正四面体(1辺=①)と図3の正四面体(1辺=③)の体積比は、
(1×1×1):(3×3×3)=1:27 です。
正八面体1個の体積は、図1の正四面体の4倍なので、
図3の正四面体には、図1の正四面体が27-4×4=11(個)含まれることが分かります。
このとき、図1の正四面体11個の体積の合計と、正八面体4個の体積の合計のちがいは、
図1の正四面体の体積の、4×4-1×11=5(個分)になります。
答え 正四面体=11個、正八面体=4個、体積のちがい=5個分
実際の正四面体11個と正八面体4個の配置は、下図のようになります。
ここでは、正八面体を見つけやすくするために、
(2)の解説で斜線をつけた面に斜線を入れてあります。