2022年 立命館慶祥中学校(SP) 算数(1)

2022年度 立命館慶祥中学校 SP入試 算数 分析と解説 (大問I~II)


本年度入試では、例年通り大問は4問、小問総数は昨年度から1問増え、18問でした。このうち、大問Iは計算問題が2題と単問形式の小問が3題でした。

大問III、IVでは、時間と速さについて、グラフを読みとったり、作成したりする問題と、規則性についての問題が、いずれも三年連続で出題されています。

全体の難易度としては、立命館慶祥中学校SP入試として平均的な難易度でした。

2022年度の出題内容は、次の通りです。

大問I

(1) 分数の四則計算
(2) 分数の四則計算、□を使った式(還元算)
(3) 数の性質(最大公約数と積の関係)
(4) 割合(2数の変化)
(5) 割合(損益算)

大問II

[1] 平面図形(円に内接する三角形)

[2] 立体図形(容器に入った水の体積)

大問III

・時間と速さ(グラフの読み取り、作成)

大問IV

・規則性(竹ひごと粘土を用いた直方体)


◎大問I

昨年同様、小問[1]が通常の計算で小問[2]が還元算、
小問[3]から[5]が単問形式の小題です。

大問IIで図形、大問III、IVで速さに関する問題や規則性の問題が出題されている関係で、この小問では「数の性質」や「割合」、「和や差に関する問題」などの出題率が高くなっています。

 

[1]

小数と分数の入り混じった計算問題は、小数を分数に直さず、そのまま計算した方が簡単になる場合があります。

\begin{align*}
& 1.5 \times \frac{3}{11} – 1.6 \times \frac{5}{22} + 1.2 \times \frac{7}{33}
\\[9pt]=& 1.5 \times \frac{3}{11} – 0.8 \times \frac{5}{11} + 0.4 \times \frac{7}{11}
\\[9pt]=& \frac{1}{11} \times (1.5 \times 3 – 0.8 \times 5 + 0.4 \times 7)
\\[9pt]=& \frac{1}{11} \times 3.3
\\[9pt]=& \frac{3}{10}
\end{align*}

\(\underline{\rm{答. \dfrac{3}{10}}}\)

 

[2]

\begin{align*}
& 0.21 \div \left( 1\frac{2}{3} – \boxed{\phantom{hoge}} \times 2.1 \right) = 1.4
\\[9pt]& 1\frac{2}{3} – \boxed{\phantom{hoge}} \times 2.1 = 0.21 \div 1.4 = \frac{0.21}{1.4} = \frac{3}{20}
\\[9pt]& \boxed{\phantom{hoge}} \times 2.1 = 1\frac{2}{3} – \frac{3}{20} = 1\frac{31}{60} = \frac{91}{60}
\\[9pt]& \boxed{\phantom{hoge}} = \frac{91}{60} \div 2.1 = \frac{\cancel{91}^{13}}{\cancel{60}^6} \times \frac {\cancel{10}^1}{\cancel{21}^3} = \frac{13}{18}
\end{align*}

\(\underline{\rm{答. \dfrac{13}{18}}}\)

 

[3]

最小公倍数や最大公約数に関する問題は、数の性質の問題のなかでも典型的な問題です。必ず正解できるようにしましょう。

2つの数をそれぞれ□と○とします。
\begin{array}{rlrr}
11 & \kern-5pt \Big) & □ ,& ○
\\
\hline
& & □ \div 11, & ○ \div 11
\end{array}
最大公約数が11になるとき、上のようにすだれ算ができます。

問題文より、□と○の積は3630なので、(□÷11)×(○÷11)は3630÷11÷11=30になります。

積が30になる数の組み合わせは、(1、30)、(2、15)、(3、10)、(5、6)の4組があります。

このうち、11をかけて2けたの整数が2つできる組み合わせは、5×11=55と6×11=66の1組しかありません。

\(\underline{\rm{答. 55}}\)

 

[4]

2人の増えた体重の合計は、85.2-78.8=6.4(kg)です。

このうち、Bは3.4kg増えたとわかっているので、Aの増えた体重は6.4-3.4=3(kg)になります。

3kgが昨年の体重の8%にあたるので、昨年の体重は3÷0.08=37.5(kg)、今年の体重は37.5+3=40.5(kg)です。

\(\underline{\rm{答. 40.5kg}}\)

 

[5]

仕入れ値、定価、値引き後の売価、利益を計算すると、次の表の通りになります。

仕入れ値 500円
定価 500×1.6=800(円) 利益:300円
値引き後の売価 800×0.75=600(円) 利益:100円

定価で売った個数と値引き後に売った個数が同じなので、双方を1個ずつセットにして売っていくと考えることができます。

1セットあたりの利益は300+100=400(円)なので、16000÷400=40(セット)売ったことになります。

1セットに含まれる品物は2個なので、仕入れた品物の個数は40×2=80(個)です。

\(\underline{\rm{答. 80個}}\)

 

 

◎大問II

立命館慶祥中学校の入学試験がSP入試と一般入試に分かれた2019年度から数えて4回目の試験になりますが、大問IIの出題形式はまだ安定していないように思えます。

本年度入試では、平面図形(円に内接する三角形)から小問が3題、立体図形(直方体に入った水の体積)から小問が2題の出題でした。

平面図形、立体図形とも、昨年よりも若干易化しています。図形の基礎をしっかりと修めていれば、そこまで苦戦する問題ではありません。

[1]

(1)

円の中心と円周上の点を結んだ線は半径なので、全て同じ長さになります。

三角形の頂点をA、B、Cとし、AO、COに加え、BOに線を引いたものが右の図です。

このとき、三角形ABO、BCO、CAOはそれぞれ二辺が円Oの半径なので、二等辺三角形になります。

三角形BCOの底角をx、三角形CAOの底角をyとすると、角ACBにはxとyが含まれます。よって、x+y=75(度)です。

三角形ABCにはx、y、「あ」が2個ずつ含まれます。これより、「あ」は(180-75×2)÷2=15(度)とわかります。

\(\underline{\rm{答. 15度}}\)

 

(2)

図のように、三角形PQRのPQを軸とする線対称な三角形PSQを書き、RSに線を引きます。

このとき、三角形PSRはPRとPSがそれぞれ6cm、角RPSが30×2=60(度)なので、正三角形とわかります。

よって、RSの長さは6cmなので、四角形PSQRの面積は6×6÷2=18(㎠)です。

三角形PQRの大きさは四角形PSQRの半分なので、面積は18÷2=9(㎠)になります。

 

\(\underline{\rm{答. 9cm^2}}\)

 

(3)

色のついた部分は、弧BACを持つおうぎ形から、三角形ABOと直角二等辺三角形CAOを除いたものです。

おうぎ形BACの中心角は、角COAが90度、角AOBが180-15×2=150(度)なので、150+90=240(度)と計算できます。

三角形ABOを変形させると、右の図のようになり、(2)の三角形PQRと同じ形になります。よって、三角形ABOの面積は9㎠です。

また、直角二等辺三角形COAの面積は6×6÷2=18(㎠)になります。

以上より、色のついた部分の面積は、6×6×3.14×\(\frac{240}{360}\)-(9+18)=48.36(㎠)です。

\(\underline{\rm{答. 48.36cm^2}}\)

 

 

[2]

(1)

図2の状態の容器を横から見ると、右の図のようになります。

この図の部分を底面と考えると、水の入っている部分は底面が台形の四角柱といえます。

よって、水の体積は(20+60)×40÷2×40=64000(㎤)です。

 

 

\(\underline{\rm{答. 64000cm^3}}\)

 

(2)

容器アと容器イの底面はそれぞれ正方形なので、底面積の比は1辺の長さの比の2乗です。

アとイの1辺の長さの比は40:20=2:1なので、底面積の比は(2×2):(1×1)=4:1になります。

また、体積の比は底面積の比と高さの比の積で求めることができます。アとイの水の深さの比は3:4なので、水の体積の比は(4×3):(1×4)=3:1です。

このとき、アからイに移した水の量は、もともとアに入っていた水の\(\frac{1}{4}\)なので、その体積は64000×\(\frac{1}{4}\)=16000(㎤)となります。

\(\underline{\rm{答. 16000cm^3}}\)

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