2009年 北嶺中学校 理科

『北嶺突破ゼミ』開講に合わせて、過去の北嶺入試で出題された難問や、

合否を分けた問題を解説しています。

本年度の第五回目は、2009年の理科大問3・4です。

大問3は血液型の決まり方という、小学生には見慣れない設定の問題が含まれます。

ただし、導入の説明がていねいなので、しっかり読んで理解できれば、それほど難しくはありません。

北嶺入試では、物理・化学・生物分野で、実験の結果を示した表やグラフから法則を読み取って

設問に答えるという形式の問題が、毎年必ず出題されます。

本年度の大問4も同様の形式です。

難度はやや高めですが、全問正解することも十分可能です。

このようなタイプの問題に対応するには、日頃から一回目で正解するという意識が欠かせません。

何となく問題を読んで、何となく解答を書き込んで、間違えたら解説を読んで終わり。という勉強スタイルでは、

正確に法則を読み取る力はつきません。

最初に問題を読むときに、集中して、問題文や表・グラフの重要な箇所に印をつけながら慎重に読み進めましょう。

設問の内容が少しややこしいなと感じたら、いったん表やグラフにもどって、もう一度法則を確認して下さい。

一回目で正解する経験を重ねる中で、同様の問題への対応力が高まり、自信を持って本番の入試に臨めるはずです。

なお、問題は、標準札幌校ホームページ北嶺中学過去入試問題からダウンロードできます。


大問3

(1)

面白さ☆  難度A

血液の血球成分(赤血球・白血球・血小板)は、骨の中の骨髄(こつずい)という部分で作られます。

答え オ

 

(2)

面白さ☆  難度A

小腸で吸収された養分は、直接大静脈に運ばれるのではなく、

門脈(もんみゃく)という血管を通って、いったん肝臓(かんぞう)に運ばれます。

養分の一部は、グリコーゲンという物質に変えられて肝臓にたくわえられます。

答え エ

 

(3)

面白さ☆☆  難度B

赤血球は中央がへこんだ円ばん型をしています。

赤血球の中のヘモグロビンという色素が酸素と結合して、酸素を運びます。

酸素と結合したヘモグロビンはあざやかな赤色になり、酸素を放出すると暗い赤色になります。

動脈内の血液は静脈内の血液よりも酸素を多く含むので、より明るく見えます。

血液を固めるのは血小板、二酸化炭素を運ぱんするのは血しょうです。

血しょうは黄色っぽい色をした液体で、成分の大半は水です。

また体内に入りこんだ細菌(さいきん)やウイルスを取りこんで分解するのは白血球です。

血液一てき(約1㎣)あたりの血球の数は、赤血球が約500万個、白血球が5000~1万個、血小板が約25万個です。

答え ア、オ

 

(4)

面白さ☆☆  難度A

 

1000倍にうすめた血液1×1×0.1=0.1(㎣)中に、30×4×4=480(個)の赤血球があるので、

同じ血液1㎣中には、480×(1÷0.1)=4800(個)の赤血球があります。

うすめる前の血液1㎣中には、4800×1000=4800000(個)の赤血球があります。

ヒトの体の肺ほうや小腸の柔突起(じゅうとっき)、植物の根の根毛など、

生物の体のつくりには、表面積を大きくすることで効率を高める仕組みが多くみられます。

答え ① 4800000個  ② 酸素とふれ合う表面積が増え、多くの酸素を運ぱんできるから。

 

(5)

面白さ☆☆☆  難度B

父親と母親から受けつがれて、体の各部の形質や色などを決める物質を「遺伝子」といいます。

遺伝子にはそれぞれ、「優性」=強いものと、「劣性(れっせい)」=弱いものがあり、

優勢と劣性の遺伝子が組み合わさると、優性の遺伝子の性質が子に受けつがれます。

説明からもわかるように、血液型の決定においては、AとBが優性、Oが劣勢になります。

両親から受けつがれる遺伝子の組み合わせは、AとA、AとB(BとA)、BとBが考えられます。

子の血液型はそれぞれ、A型、B型、AB型になります。

例えば、父親がAとOのA型、母親がBとOのB型のとき、

両親から受けつがれる遺伝子の組み合わせは、AとB、AとO、OとB、OとOが考えられます。

子の血液型はそれぞれ、AB型、A型、B型、O型になるので、

4人の子がすべてちがう血液型ということが起こる可能性があります。

答え ① A型、B型、AB型  ② A型とB型

 


大問5

(1)

面白さ☆☆  難度A

問題文を慎重に読んで、書いてある内容を正確に理解できれば、

文中に正解が書かれていることがわかります。

熱は、温度の高いものから温度の低いものへと伝わり、ものの温度を変化させます。

ここでは、100℃の湯100gから、50℃の鉄100gに熱が伝わったことになります。

湯は熱を失って温度が5℃だけ下がり、鉄は湯が失ったのと同じ量の熱をもらって温度が45℃上がったので、

同じ重さ、同じ熱量では、鉄の方が水よりも、45÷5=9(倍)だけ温度が変化しやすいことがわかります。

答え エ

 

(2)

面白さ☆☆☆  難度B

横軸(加えた100gの水の温度)の数値が0(℃)のとき、縦軸の数値(温度の下げ幅)は100-50=50(℃)、

横軸の数値が50(℃)のとき、縦軸の数値は100-75=25(℃)、

横軸の数値が100(℃)のとき、縦軸の数値は100-100=0(℃)になります。

このとき、当てはまるグラフは、イです。

横軸(加えた10℃の水の重さ)の数値が0(g)のとき、縦軸の数値(温度の下げ幅)は100-100=0(℃)、

横軸の数値が50(g)のとき、縦軸の数値100-70=30(℃)、

横軸の数値が100(g)のとき、縦軸の数値は100-55=45(℃)になります。

横軸の数値が大きくなるほど、縦軸の数値の増加の割合が小さくなっているので、

当てはまるグラフは、オです。

①、②とも上の解説のように実際の数値を調べて、

おおよそのグラフの形をかいてみれば、確実に正解にたどりつきます。

その作業をめんどうに思って、適当に答えを選ぶということがないようにしましょう。

答え ① イ  ② オ

 

(3)

面白さ☆☆  難度A

図1のグラフを見ると、0℃の水100gを加えると、一定になったときの温度が50℃になることがわかります。

図3のグラフで、横軸の数値が100(g)のとき、縦軸の数値が50(℃)のグラフを選べばよいので、

当てはまるグラフは、ウです。

答え ウ

 

(4)

面白さ☆☆  難度B

水1gの温度を1℃変化させるのに必要な熱量を1カロリーといいます。

氷1gの温度を1℃変化させるのに必要な熱量は0.5カロリーで、

水よりも氷の方が温まりやすく冷めやすくなっています。

また、0℃の氷1gをとかして0℃の水1gにするのに必要な熱量は80カロリーです。

氷をとかすには大きな熱量が必要なことがわかります。

氷と水が混ざった状態からの温度変化の問題もよく出題されるので、ここで紹介した数字は覚えておきましょう。

答え 氷がとけるときに湯の温度を下げるから。

 

(5)

面白さ☆☆  難度B

図2のグラフを見ると、100℃の湯100gに0℃の水50gを加えると、

一定になったときの温度が40℃になることがわかります。

100℃の湯の重さの半分の重さの0℃の氷を加えればよいので、

必要な氷の重さは500÷2=250(㎏)です。

答え 250㎏

 

(6)

面白さ☆☆☆  難度B

図1のグラフをよく見ると、混ぜる湯と水の重さが同じであるとき、

一定になったときの温度は、混ぜる前の湯の温度と水の温度の平均になることがわかります。

加える水の温度は40×2-55=25(℃)です。

答え 25℃

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