2021年 北嶺中学校 理科(1)

2021年度 北嶺中学校 理科 分析と解説(大問1~2)

問題は標準札幌校ホームページ北嶺中学過去入試問題からダウンロードできます。

◎大問1

(1)

ラムサール条約です。

社会でもよく問われる用語ですので、必ず覚えておきましょう。イランのラムサールという町で締結されたので、この名前があります。この条約ができた1971年は、世界中で環境問題に対する対策が取られ始めた時代にあたります。日本でも、1967年に公害対策基本法(環境基本法の前身)が制定され、また1971年には環境庁(現在の環境省)が設置されています。あわせて覚えておきましょう。

 

(2)

(オ)サンヨウチュウは古生代末に、(イ)アンモナイトは中生代末に絶滅した生物で、それぞれ示準化石(地層がたい積した時代を推定するのに役立つ化石)として重要な存在です。また、(エ)ナウマンゾウは旧石器時代(相沢忠洋の発見した岩宿遺跡に代表される時代)に絶滅したゾウの一種です。これら3種の生物は絶滅種なので、残る(ア)カブトガニ、(ウ)シーラカンス、(カ)イチョウが「生きている化石」にあてはまります。

 

(3)

(イ)ニホンウナギです。1960年代には3000トン以上あったニホンウナギの漁獲高は、近年では激減し500トン以下しかありません。この背景には、日本をはじめとする東アジアの国々が食用として乱獲したことのほか、自然開発による生息環境の悪化があります。

(ア)アメリカザリガニ、(オ)ウシガエルは、いずれもアメリカ原産の外来種です。ウシガエルは食用として、アメリカザリガニはウシガエルのエサとして戦前に輸入されましたが、のちに野生化しました。(エ)ニホンオオカミはすでに絶滅した生物です。(ウ)ニホンザル、(カ)エゾシカは日本在来の生物ですが、生息数は増加傾向にあり絶滅のおそれがあるとは考えられていません。

 

(4)

10ⅿ四方の面積は100㎡、つまり1000000㎠です。2㎝×2㎝のカバーガラスの面積は4㎠ですから、10ⅿ四方の面積はカバーガラスの面積の1000000÷4=250000(倍)です。カバーガラス内にある花粉は平均で100個なので、10ⅿ四方にある花粉は平均で100×250000=25000000(個)です。この中に木は10本生えているので、1本あたりの花粉の放出量は25000000÷10=2500000(個)です。

 

(5)

カイコガの幼虫がエサにする植物は(カ)クワです。

カイコガの繭を加工したものを生糸といい、絹織物の原料になります。1900年頃には日本の工業の中心として、世界一の生産高を誇ったこともありました。地図記号にクワ畑の記号がありますが、これはカイコガの幼虫のエサとして生産されていることを示しています。

 

4回です。チョウの幼虫は、通常4回脱皮して5令幼虫となった後、サナギになります。

 

幼虫から成虫となる間にサナギとなるものを、完全変態の昆虫といいます。完全変態の昆虫は、幼虫と成虫の形が大きく変わり、また多くはエサも全く異なったものになります。このような昆虫は(イ)テントウムシ、(ウ)カブトムシ、(エ)ハチ、(ク)アリの4種です。なお、ハチとアリは非常に近い仲間です。

 

 

◎大問2

(1)

(エ)12月11日です。

日本海側に注目すると、筋状の雲がみられます。これは冬の空の典型的な特徴です。ロシアから中国北部にかけて存在するシベリア気団から吹く、冷たく乾いた北西の季節風が、日本海で暖流の対馬海流の上を通ることで雲を作ります。この雲が、日本アルプスや越後山脈などにぶつかることで、日本海側の地方に大雪をもたらします。

 

(2)

カルデラです。

日本では、阿蘇山や箱根山などが有名なカルデラとしてあげられます。

 

(3)

A はやぶさ

B リュウグウ

2020年12月6日に採取したサンプルを搭載したカプセルが地球に帰還したことにより、大きなニュースとなりました。日ごろからニュースに親しんでいたなら、簡単に答えられる問題のはずです。

初代はやぶさは2003年に打ち上げられ、2005年に小惑星「イトカワ」に着陸、2010年に地球に帰還しました。探査機が地球の重力圏外にある小惑星に着陸し、サンプルを採取して帰還した世界で初めての例です。はやぶさ2は、はやぶさの成功を受けて作られた探査機で、リュウグウで採取したサンプルが2020年12月6日に地球に帰還しました。はやぶさ2の本体は地球を離れ、2031年に別の小惑星を観測する予定です。

 

(4)

月の動きは地球の自転によるものです。地球は西から東に向かって自転するので、地球上のどの場所でも月は東から西に動きます。よって、答えは(ウ)です。

 

北半球と南半球では、月の動く方角が異なることに注意しましょう。北半球では、月は東の空から昇り、南の空を経て西の空に沈みます。南半球では、東の空から昇り西の空に沈むのは同じですが、北の空を経ます。これによって何が起こるか、下弦の月を例にとって考えてみましょう。下弦の月は、東の空から弦を上にして(誤解しやすいですが、上弦下弦の弦の向きは沈むときが基準です)昇ってきます。その後、北半球では南の空に、南半球では北の空に移動しますから、その動きは下の図のようになります。

南の空にある下弦の月は右側が欠け、北の空にある下弦の月は左側が欠けていますね。下弦の月は満月が欠けてできるものですから、北半球にある札幌では右側から、南半球にあるトレリューでは左側から欠けていくといえます。よって、答えは(ア)です。

 

まず、前提として太陽・地球・月の関係をおさらいしておきましょう。

問題文には「月面のある位置で地球を見ると、地球が満月のように円形で明るく見えました」とあります。このとき、月面からは地球表面の太陽光が当たっている部分、つまり昼の部分が全て見えている状態です。よって、月は新月であることがわかります。

月は約1ヶ月かけて地球のまわりを1周します。つまり、約半月かけて月から見た地球は欠けていくことになります。これは、地球から見た月が半月かけて新月から満月になっていくことと対応しています。24時間、つまり地球上での1日のあいだに欠ける地球の割合は、月が新月の翌日に光るようになった割合とほぼ一致するので、地球はほとんど欠けなかったといえます。よって、(イ)が適しています。

次に、月の模様がいつでも同じように見えることからも分かるように、月は地球に対して常に同じ面を向けています。反対に、月の表面からは常に地球が見え、月の裏側からは常に地球が見えないことになります。この問題の場合、はじめから地球が見えているので、地球はずっと見えていることになります。よって、(エ)が適しています。

最後に、月は1ヶ月かけて地球のまわりを1周しますが、地球は1日で1回自転しています。これは、地球から見た月が約1日に1回昇ってくることと関係していますが、反対に月から見ると、24時間で地球が1回自転していることになります。よって、(オ)が適しています。

以上より、答えは(イ)、(エ)、(オ)です。

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