2021年 北嶺中学校 算数(6)

2021年度 北嶺中学校 算数 分析と解説 (大問5(4)別解)

前の記事で紹介した解き方は、「ある数を2個の整数の積で表したとき、そのなかに1ではない奇数があれば、連続する整数の和で表せる」ということを知っていることが前提になっています。この知識は本来高校レベルの数学で教えられるものですから、同じような問題を以前に解いたことがない限り、中学受験生が知っている可能性は低いでしょう。しかし、この知識を用いなくても(4)を解くことは可能です。ここでは、その方法について解説します。

 

(2)で、100以下の整数は最大で13個の連続する整数の和になることがわかっていますので、2個から13個までの連続する整数の和がそれぞれどのような数になるのか、その法則を探しましょう。

 

・2個の整数 3、5、7、……と、3から始まり2ずつ大きくなるため、奇数(2の倍数に1を足した数)です。

・3個の整数 6、9、12、……と、6から始まり3ずつ大きくなるため、3の倍数です。

・4個の整数 10、14、18、……と、10から始まり4ずつ大きくなるため、4の倍数に2を足した数です。

・5個の整数 15、20、25、……と、15から始まり5ずつ大きくなるため、5の倍数です。

・6個の整数 21、27、33、……と、21から始まり6ずつ大きくなるため、6の倍数に3を足した数です。

・7個の整数 28、35、42、……と、28から始まり7ずつ大きくなるため、7の倍数です。

・8個の整数 36、44、52、……と、36から始まり8ずつ大きくなるため、8の倍数に4を足した数です。

・9個の整数 45、54、63、……と、45から始まり9ずつ大きくなるため、9の倍数です。

・10個の整数 55、65、75、……と、55から始まり10ずつ大きくなるため、10の倍数に5を足した数です。

・11個の整数 66、77、88、99と、66から始まり11ずつ大きくなるため、11の倍数です。

・12個の整数 78、90と、78から始まり12ずつ大きくなるため、12の倍数に6を足した数です。

・13個の整数 91なので、13の倍数です。

 

① まず、6個の整数の和に注目します。6個の整数の和は、6の倍数に3を足した21以上の数です。

6の倍数は常に偶数で、3は奇数です。偶数+奇数=奇数なので、6個の整数の和は常に奇数になります。これより、6個の整数の和は、常に2個の整数の和でも表すことができます。

また、6の倍数と3は両方とも3の倍数のため、その和も3の倍数になります。これより、6個の整数の和は、常に3個の整数の和でも表すことができます。

つまり、6個の整数の和は、常に3種類の整数の和で表すことができるといえます。問題で問われているのは5種類の整数の和で表すことができる数なので、6個の整数の和のうち、2個、3個を除く2種類の整数の和で表せる数を探すことになります。

 

4個、8個、12個の整数の和は常に偶数になるため、常に奇数になる6個の整数の和と同じになることはありません。また、13個の整数の和は91ですが、3の倍数ではないため6個の整数の和と同じになることはありません。そこで、残る5個、7個、9個、10個、11個の整数の和のなかから、6個の整数の和と同じになる数を探しましょう。

 

i. 5個の整数の和は15以上の5の倍数のため、45と75が条件を満たします。

ii. 7個の整数の和は28以上の7の倍数のため、63が条件を満たします。

iii. 9個の整数の和は45以上の9の倍数のため、45、63、81、99が条件を満たします。

iv. 10個の整数の和は10の倍数に5を足した55以上の数のため、75が条件を満たします。

  1. 11個の整数の和は66以上の11の倍数のため、99が条件を満たします。

 

以上のi~vのうち、2種類の条件を満たしている場合、5種類の整数の和で表すことができるといえます。このような数は、45、63、75、99の4個です。

 

 

② ①では奇数のうち3の倍数である数を検討したので、次にそれ以外の奇数を検討します。このような数は、2個の整数の和で表すことができる数のうち、3個の整数の和で表すことができない数で表されます。このとき、5個、7個、10個、11個、13個の整数の和のなかから4種類を満たす数を探すことになります。

 

i. 13個の整数の和は91だけです。91÷13=7より、7の倍数ではありますが5の倍数でも11の倍数でもないため、条件を満たしません。

ii. 5個、7個、10個、11個の整数の和の条件をすべて満たす数を考えます。5、7、11は全て素数のため、条件を満たす数のうち最も小さな数は最小公倍数の5×7×11=385となり、条件を満たしません。

 

 

③ ①と②で全ての奇数を検討したので、最後に偶数を考えます。このうち、あてはまる数が多い3個の整数の和と4個の整数の和を同時に満たす数を考えます。この数は、3の倍数かつ4の倍数に2を加えた10以上の数で、最も小さな数は18です。また、3と4の最小公倍数は12なので、ここから12ずつ足していった数も同様に条件を満たします。

18、30、42、54、66、78、90

これらの数のうち、90のみが3個、4個に加え、5個、9個、12個と5種類の整数の和で表すことができます。

 

 

以上より、条件を満たす数は45、63、75、90、99の5個です。

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