2019年 北嶺中学校 理科(2)

大問2

(1) 一般的に虹の外側は赤、内側は紫です。

光は、赤・青・緑という「光の三原色」の組み合わせで、色が決まります。

虹は7つの色があると言われていますが、この7つの色も、光の三原色の組み合わせでできています。

 

光は、その色によって屈折の角度が少しずつ異なっています。

下図は、その屈折を分かりやすく大げさにかいたものです。

雨の後は空気中に小さな水の粒が多いので、

上の図のとても小さいものが空気中にたくさんあるような状態になります。

雨がふったあとに虹が見えやすいのは、このような理由です。

 

もっとも屈折しにくい色が赤で、もっとも屈折しやすい色が紫です。

よって、正解はウとエです。

 

ちなみに、光の色と屈折の問題は、平成20年度に大問2Ⅱ(2)でも出題されています。

 

おまけの知識です。

赤の外側には、人間には見えないもう1つの色があります。

人間には見えないので、どのような色であるかは表現できませんが、

赤の外側にあるので赤外線という名前がついています。

また、紫の外側にも、人間には見えないもう1つの色があります。こちらは紫外線といいます。

 

(2) 正解は、有機ELです。

有機ELとは、「有機エレクトロ・ルミネッセンス」の略です。

有機化合物に電圧を加えると、ほとんど熱を出さずに発光することを利用しています。

 

ただし、以上のことを知らなくても、なんとなく耳にしたことがあれば、

「これかな?」と解くことができます。

「有機ELとは、……」と、細かいことまで勉強しよう肩肘を張ることはありません。

「新しい技術ができました!」というニュースに興味や関心を持つことが、

中学受験というよりも、社会で生活する姿勢として大切です。

 

(3) 選択肢の問題で正答するためには、1つずつ正誤を確認することが大切です。

 

ア 乾電池は、電圧(電気を押し出す力)が常に一定です。

また、電熱線の長さが同じとき、細い電熱線の方が、太い電熱線より電気抵抗が高くなります。

さて、電圧が一定のとき、電気抵抗が高いと、流れる電流の量が少なくなり、

電熱線の温度上昇は遅くなります。

アの記述は誤っているので、正解はアです。

 

イ 光の強さを強くすると、モーターの回転は一定程度まで速くなります。

ただし、電流の向きは変わらないので、イの記述は正しいことになります。

 

ウ 回す向きを逆にすると、電流の流れる方向は逆になります。

電流の向きが逆になると、モーターが回転する向きも反対になるので、

ウの記述も正しいとわかります。

 

エ 豆電球の中には、フィラメントが入っています。

このフィラメントに導線をつなぎ、電流を流すと、豆電球が点灯します。

フィラメントに電流が流れればよいので、+極と-極の向きが逆でも、豆電球は点灯します。

 

オ 発光ダイオードは、電圧が決まった方向に流れたときにだけ発光します。

よって、+極と-極を逆につなぐと、ダイオードは光りません。

 

カ コンデンサーは、電池をたくわえたり放出したりする装置です。

また、携帯電話のバッテリーも、同様です。

 

(4) 算数には時間と速さという単元がありますが、その単元の中に流水算という問題があります。

この問題は、その流水算の問題です。

 

スピーカーからの音がAまで進む場合、下図のように、風が音の進行を邪魔します。

このとき、音の進む速さは340-10=330(m/秒)です。

音がAに届くまでの時間は、350(m)÷330(m/秒)=1.06……(秒)より、約1.1秒です。

 

一方、スピーカーからの音がBまで進む場合、下図のように、風が音の進行をはやめます。

このとき、音の進む速さは340+10=350(m/秒)です。

音がBに届くまでの時間は、350(m)÷350(m/秒)=1(秒)です。

 

(5)

① コップからあふれ出した水の体積は、

水面下の氷の体積と同じです(下図の㋐と㋑の体積は同じ)。

 

 

 

氷は、「体積の8%が水面の上に出た状態」と問題文に書いてあります。

よって、氷の体積の92%が、水面下にあることになります。

氷の体積は100㎤なので、水面下にある氷の体積は100×0.92=92(㎤)です。

よって、あふれ出た分の水の体積は92㎤とわかります。

 

② 100㎤の氷が水に浮いているとき、氷の水面下の体積は92㎤でした。

このとき、氷にかかる浮力は92gです。

  氷は、92㎤の水をどかしてコップに入っています。

 どかされた92㎤の水の重さは、92gです。

 このとき、水は92gの力で氷を押し返しています。

 この押し返す力のことを、浮力といいます。

 100㎤の氷は、92gの力で押し返されると水に浮くことがわかります。

よって、100㎤の氷の重さは、92gです。

 

さて、いま考えたいのは、100gの氷の体積です。

表にすると、計算しやすくなります。

重さが92gから100gへと、100/92倍になっています。体積も同じように100/92倍になるので、

100×100/92≒109(㎤)とわかります。

 

(6) 下図のように、それぞれの穴より上にある水の量と、穴からふき出す水の勢いを比べてみましょう。

Aの穴について、穴の上にある水の量は青をぬった部分で表しています。

また、Bの穴については、赤をぬって表しています。

Bの上にはAよりも多くの水がのっていることになり(Bにかかる水圧の方が高い)、

ふき出す水の勢いはBからの方が強く、遠くまで水が飛ぶことになります。

また、穴より上にある水に押されることによって、水は穴からふき出します。

下の図で説明をします。

穴Bの上に矢印①がありますが、この矢印で表された力(水圧)によって、

横に開いた穴Bから矢印②の方向に水がふき出します。

よって、選択肢ウ・エ・オのように、水が上向きにふき出すことはありません。

以上より、答えはイとわかります。

Comments are closed.