2018年 立命館慶祥中学校 算数(3)
今回は,大問Ⅳ・Ⅴを取り上げて解説します。
大問Ⅳ
〔1〕 面白さ☆☆☆ 難度B
すべての三角形を書き出して数えるのではなく,規則性を見つけて要領よく数えましょう。
まず1辺が5㎝の正三角形は1個です。
次に,1辺が4㎝の正三角形は,次のように上から1~4段目に1個,
上から2~5段目に2個あるので,合わせて,1+2=3(個)です。
同様に考えると,1辺が3㎝の正三角形は,上から1~3段目に1個,
上から2~4段目に2個,上から3~5段目に3個あるので,合わせて,1+2+3=6(個)です。
また,1辺が2㎝の正三角形は,上から1~2段目に1個,
上から2~3段目に2個,上から3~4段目に3個,
上から4~5段目に4個あるので,合わせて,1+2+3+4=10(個)です。
最後に,1辺が1㎝の正三角形は,次のように上から1段目に1個,
上から2段目に2個,上から3段目に3個,上から4段目に4個,
上から5段目に5個あるので,合わせて,1+2+3+4+5=15(個)です。
したがって,三角形ABCと同じ向きの正三角形は全部で,
1+3+6+10+15=35(個)あります。
答え 35個
〔2〕 面白さ☆☆☆ 難度B
正三角形ABCと異なる向きの正三角形もできることに,注意が必要です。
まず,正三角形ABCと同じ向きの正三角形を考えます。
1辺が1㎝の正三角形,1辺が2㎝の正三角形は,次のように3個ずつできます。
同様に考えると,1辺が3㎝の正三角形,1辺が4㎝の正三角形も,
それぞれ3個ずつできます。
したがって,正三角形ABCをふくめて,
正三角形ABCと同じ向きの正三角形は全部で,3×4+1=13(個)できます。
さらに,正三角形ABCと異なる向きの正三角形は,次の4個できます。
したがって,正三角形は全部で,13+4=17(個)できます。
答え 17個
〔3〕
(1) 面白さ☆☆ 難度A
点Qと点Rは最初,5×2=10(㎝)はなれているので,
はじめて重なるのは,10÷(2+1)=(3と1/3)(秒後)です。
この後は,点Qと点R合わせて,正三角形ABCの1周分,
すなわち,5×3=15(㎝)進むごとに重なるので,15÷(2+1)=5(秒)ごとに重なります。
したがって,出発してから15秒間で点Qと点Rは,
(3と1/3)秒後,(3と1/3)+5=(8と1/3)(秒後),
(8と1/3)+5=(13と1/3)(秒後)の3回重なります。
答え 3回
(2) 面白さ☆☆☆☆ 難度C
〔2〕の後半が絶妙な導入になっています。
〔2〕の後半で考えた,正三角形ABCと異なる向きの正三角形に注目します。
すると,AD=BH=CL,AE=BI=CM,AF=BJ=CN,AG=BK=COのように,
辺AB上にとった点と頂点Aの間の長さ,辺BC上にとった点と頂点Bの間の長さ,
辺CA上にとった点と頂点Cの間の長さがすべて等しくなると,
できる三角形が正三角形になります。
そこで,点P,Q,Rと同時に頂点Cを出発し,
点P,Rと同じ秒速1㎝の速さでC→A→B→C→…と
移動する点Sを考えます。
すると,つねにAP=BR=CSとなることから,
三角形PRSはいつでも正三角形になることがわかります。
したがって,3点P,Q,Rを結んでできる三角形PQRがはじめて正三角形になるのは,
点Qと点Sがはじめて重なるとき,すなわち3つの点が出発してから,
5÷(2+1)=(1と2/3)(秒後)です。
答え (1と2/3)秒後
大問Ⅴ
〔1〕 面白さ☆ 難度A
2人が同じ速さで進むので,ケイコさんが4周する間に,
ケイコさん自身が何m進むかを求めればよいことになります。
ケイコさんは半径8mの円の円周上を4周するので,8×2×3.14×4=200.96(m)進みます。
したがって,ケイコさんと同じ速さで進むタツオくんも,200.96m進みます。
答え 200.96m
〔2〕 面白さ☆ 難度A
タツオくんが進む円(大きい円)の半径は,8+4=12(m)です。
ケイコさんとタツオくんは,たがいの距離を保ちながら進むので,
2人は,円の中心,ケイコさんの位置,タツオくんの位置がつねに一直線上にあるように進みます。
したがって,ケイコさんが小さい円の円周上を1周すると,タツオくんが大きい円の円周上を1周します。
大きい円の円周は,小さい円の円周の,(12×2×3.14)÷(8×2×3.14)=12÷8=1.5(倍)なので,
タツオくんの速さは,ケイコさんの速さの1.5倍です。
答え 1.5倍
〔3〕
(1) 面白さ☆☆ 難度A
基本的な平面図形の相似の問題です。
次のように,やぐらの電灯の位置を点O,地面の電灯の真下の位置を点A,
ケイコさんの頭のてっぺんの位置を点B,ケイコさんが地面に立っている位置を点C,
地面にできるケイコさんの影の先端の位置を点Dとします。
すると,三角形OADと三角形BCDはたがいに相似な三角形となり,
その相似比は,OA:BC=3:1.5=2:1になります。
このとき,AD:CD=2:1,AC:CD=(2-1):1=1:1となるので,AC=CD=8mです。
したがって,ケイコさんの影の長さは8mです。
答え 8m
(2) 面白さ☆☆☆ 難度B
問題文の
「ケイコさんの影の先は地面にはつかず,タツオくんの足にかかっていました」
という部分から,最初のケイコさんとタツオくんの距離は,
ケイコさんの影の長さよりも少し短い,つまり8mより少し短いことがわかります。
かりに,ケイコさんとタツオ君の距離が8mだとすると,大きい円の半径は,8+8=16(m)なので,
大きい円の円周は,小さい円の円周の,(16×2×3.14)÷(8×2×3.14)=16÷8=2(倍)になります。
このとき,2人が同じ速さで進むと,ケイコさんが小さい円の円周上をちょうど4周したときに,
タツオくんは大きい円の円周上をちょうど,4÷2=2(周)することになります。
実際には,最初のケイコさんとタツオくんの距離は8mより少し短いので,
大きい円の半径は16mより少し短く,大きい円の円周は,
小さい円の円周の2倍よりも少し短くなっています。
したがって,ケイコさんが小さい円の円周上をちょうど4周したときに,
タツオくんは大きい円の円周上を,2周よりも少し多く進みます。
以上のことがらと,問題文の
「ケイコさんが小さい円の円周をちょうど4周したとき,
タツオくんはケイコさんから一番遠い場所にいたとします」
という部分から,ケイコさんが小さい円の円周上をちょうど4周したときに,
タツオくんは大きい円の円周上を2.5周していることがわかります。
2人が同じ速さで進むことから,小さい円の円周の4倍が,
大きい円の円周の2.5倍と等しくなるので,大きい円の半径を□mとすると,
8×2×3.14×4=□×2×3.14×2.5 という式が成り立ち,
□=(8×2×3.14×4)÷(2×3.14×2.5)=8×4÷2.5=12.8(m)になります。
答え 12.8m