2018年 北嶺中学校 算数(3)
今回は,「フローチャート」をあつかった大問5を取り上げます。
問題文が長く,条件設定もやや複雑なため,本年度の出題のなかでは最も読解力が求められる問題でした。
正確に問題の条件を把握するためには,問題文の重要な箇所に印をつけながら,
少しゆっくりと読み進める必要があります。
大問1~4に時間を使いすぎて,あせって問題文を読んでしまうと,
(1)②以降の問題をすべて落としてしまうおそれもあります。
来年度に入試をひかえた新6年生は,
『問題の条件を的確に把握する練習』という意識を強く持って,
ふだんの学習やテストに臨むようにしましょう。
なお,問題は標準札幌校ホームページの北嶺中学過去入試問題からダウンロードできます。
大問5
(1)① 面白さ☆ 難度A
3001071015の各位の和を計算すると,3+1+7+1+1+5=18となります。
各位の数の和が9で割り切れる整数は,9の倍数なので,
18÷9=2より,この整数は9で割り切れることがわかります。
したがって,表示される記号は「◎」です。
答え ◎
(1)② 面白さ☆☆☆ 難度B
ア,イ,ウを順に考えていきますが,
常に正しいと言えないものは,成り立たない整数の組み合わせを1つ見つけられれば十分です。
アでは,2つの整数が1と2のとき,両方とも「×」と表示されますが,
和の1+2=3は,3の倍数であるが9の倍数ではないため,「○」と表示されます。
したがって,常に正しいとは言えません。
イでは,1つの整数(こちらをAとします)は9の倍数で,
もう1つの整数(こちらをBとします)は3の倍数であるが9の倍数ではありません。
このとき,整数□と△を用いて,Aは9×□,Bは9×△+3,または,9×△+6と表せます。
A+Bは,9×(□+△)+3,または,9×(□+△)+6と表せるので,
A+Bは,3の倍数であるが9の倍数ではありません。
したがって,A+Bはいつでも「○」と表示されることになり,常に正しいと言えます。
ウでは,2つの整数が3と6のとき,両方とも「○」と表示されますが,
和の3+6=9は,9の倍数であるため,「◎」と表示されます。
したがって,常に正しいとは言えません。
以上から,常に正しいと言えるのはイです。
答え イ
(2)① 面白さ☆☆☆ 難度B
「○」と表示されるのは素数(1とその数自身でしか割れない整数)だけです。
Nが素数以外の整数のとき,
Nは必ずその数自身よりも小さい2以上の整数のうち1つ以上を約数に持つので,
「KはN未満である」,「N÷Kが整数である」という2つの条件を満たす2以上の整数Kが存在します。
したがって,Nが素数以外の整数のときは,「×」と表示されます。
一方,Nが素数のとき,Nは2以上の整数のうちNでしか割れないので,
Kの値はどんどん大きくなっていきます。
そして,K=Nとなったときに,「KはN未満である」という条件に反します。
したがって,Nが素数のときは,「○」と表示されます。
具体例をあげてみましょう。
N=51のとき,N=3×17と素因数分解できることから,
K=3のとき,「KはN未満である」,「N÷Kが整数である」という2つの条件を満たします。
したがって,N=51のときは「×」と表示されます。
N=53のとき,53は素数であることから,
Kの値を2,3,4,・・・,52と順に大きくしていっても,
すべてのばあいでNはKで割れません。
最後にK=53になったところで,「KはN未満である」という条件に反します。
したがって,N=53のときは「○」と表示されます。
51から60までの10個の整数のうち,素数は53と59の2個なので,
この2個の整数が正解になります。
答え 53,59
(2)② 面白さ☆☆☆ 難度B
「○」と表示されるのは素数だけなので,連続する2つの素数を答えればよいことになります。
2つの連続する整数のうち,一方は奇数,もう一方は偶数になりますが,
2より大きい偶数は必ず2で割り切れるので素数ではありません。
このことから,2つの連続する整数のうち,一方は2であることがわかります。
もう一方の整数は1か3ですが,最初の条件に「Nに2以上の整数を当てはめる」とあるので,
1は当てはまりません(そもそも1は素数ではありません)。
3は素数なので当てはまります。
したがって,2と3が正解になります。
答え 2と3
(2)③ 面白さ☆☆☆ 難度C
3よりも大きい3つの連続する整数a,b,cのうち,aとcは素数で,bは素数以外の整数になります。
ここで,②の説明から,2よりも大きい素数は必ず奇数なので,aとcは奇数,bは偶数になります。
また,3つの連続する整数a,b,cのうち,必ず1つは3の倍数になりますが,
aとcは3よりも大きい素数のため,3の倍数ではありません。
したがって,bが3の倍数になります。
このことから,bは偶数(2の倍数)かつ3の倍数であるので,
必ず6の倍数になることがわかります。
したがって,□にあてはまる最も大きい整数は6です。
答え 6
a,b,cの組み合わせの例をあげると,
(a,b,c)=(5,6,7),(11,12,13),(17,18,19),(29,30,31),(41,42,43),・・・のようになり,
確かにbが6の倍数になっていることがわかります。