2015年 桜蔭中学校 算数

今回は、女子の難関校である桜蔭中学校の入試問題を取り上げます。

2015年度は、ちょうど2009年度のサンデーショックの年に中学入試を突破した優秀な学年が大学入試をむかえて、

注目が集まりました。

その結果は、下記のとおりです。

東大合格者数62名は全国第6位で、女子校・共学校では全国第1位でした。

また、合格者のうち現役がしめる割合は、合格者数40名以上の学校では、

第2位の81.6%でした(第1位は神奈川・聖光学院の83.8%)。

また、医学部医学科の合格実績について、

最難関の東大理科Ⅲ類の合格者数は、灘(15名)、開成(14名)に次いで第3位の9名で、

そのうち8名が現役合格でした。

国公立大学・医学部医学科の総合格者数は、56名に上りました。

私立大学でも、最難関の慶應大・医学部医学科に15名が合格しています。

2015年度は、2009年度以来のサンデーショックの年にあたったため、

例年よりも多い629名の受験生が中学入試に挑戦しました。

合格者は271名で、実質競争率は2.32倍でした。

桜蔭中学校の入試は、算数100点・国語100点・理科60点・社会60点の320点満点で実施されます。

合格最高点や最低点、受験者平均点や合格者平均点は公表されていません。

算数は例年、大問5題構成で実施されます。

出題分野は、「数の性質」「規則性」「場合の数」「速さ」「平面図形」「立体図形」など多岐にわたりますが、

近年は「規則性」と「立体図形」の出題が続いています。

2015年度入試の出題内容は、次の通りです。

大問1

計算問題2問、小問2問(小問の内容は、数の性質・規則性)

大問2

平面図形と規則性

大問3

場合の数(不定方程式)

大問4

立体図形(表面積)

大問5

速さと比

難度について、処理はやや複雑ですが、例年よりも解きやすい問題が並んでいました。

桜蔭中学校の入試では、問題内容を正確に把握し、確実に処理するという精度に加えて、

短い時間で的確に解き方の方針を選択するという判断力が問われます。

また、女子校の入試では最難関レベルの立体図形の出題が目立つので、

この分野では男子の最難関中学志望者と変わらない練習が必要です。

今回は、大問4を取り上げて解説します。

本問は、的確に解き方の方針を立てないと時間ばかりを浪費することになります。

判断力が問われる出題です。

2015-ouin-math1


(1)

面白さ☆☆☆  難度A

真上または真下から見ると、半径8㎝のひとつの円にまとめることができるので、

求める面積は、

(半径8㎝の円の面積)×2+([1],[2],[3]の側面積の和)

になります。

8×8×3.14×2+(2×2+4×2+8×2)×3.14×3 = 665.68

答え 665.68㎠

(2)

面白さ☆☆☆☆ 難度C

それぞれの立体の表面積を求めようとすると、処理が複雑になります。

5つの円柱の表面積の合計は同じなので、

積み重ねることによってかくれる面の面積の差を求めるのがよいでしょう。

例えば、図2の立体では、2つの円柱のうち小さい方の、[3]の底面積2つ分がかくれることになります。

同じように考えると、[63425]の場合、

かくれる面の面積は、 ([3]の底面積+[3]の底面積+[2]の底面積+[2]の底面積)×2 になります。

一方、[65432]の場合、

かくれる面の面積は、 ([5]の底面積+[4]の底面積+[3]の底面積+[2]の底面積)×2 になります。

よって、かくれる面の面積の差は、 ([5]の底面積+[4]の底面積-[3]の底面積-[2]の底面積)×2 になります。

(32×32+16×16-8×8-4×4)×3.14×2 = 7536

答え 7536㎠

(3)

面白さ☆☆☆☆☆ 難度C

(2)と同様に考えると、[54321]の場合、

かくれる面の面積は、 ([4]の底面積+[3]の底面積+[2]の底面積+[1]の底面積)×2 になります。

これと同じだけの面積がかくれるようにするには、

すべての円柱が、それより大きい2つの円柱にはさまれないようにする必要があります。

逆の並びが同じであることに注意すると、次の7通りの立体が考えられます。

答え [45321]、[35421]、[34521]、[25431]、[24531]、[23541]、[23451]

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