2015年 灘中学校 算数(2)
今回は、灘中学校の算数2日目を解説します。
算数2日目は大問5題の形式が定着しています。
2015年度の総解答数は22題でした。
1日目とは異なり、ほぼすべての問題で、答え以外の文章や式・図など“答えを導く過程”を書く必要があります。
途中の過程が正しく書かれていれば、正解ではなくても部分点があたえられます。
出題分野は多岐にわたりますが、必ず「立体図形」の問題が出題されるのが大きな特徴です。
また、「数の性質」「場合の数」「速さ」「平面図形」の問題も頻出です。
高度な処理能力、発想力、立体のセンスが要求される良難問が多く、
日頃から相当ハイレベルの演習量が要求されます。
2015年度入試での算数2日目の結果は、受験者平均が52.7点、合格者平均点が64.6点でした。
昨年度に比べて受験者平均は3.0点、合格者平均点は0.7点上昇しました。
受験者平均と合格者平均の差は11.9点ですが、この得点差は過去5年間で最も小さい点数でした。
例年に比べて、問題ごとの難易度の差が大きく、「解ける問題」と「解けない問題」がはっきりしていたため、
得点差のつきにくい入試になったと思われます。
問題別では、大問1、大問2(1)(2)、大問3(1)、大問5(1)(2)は、
本校の入試問題としてはかなり平易でした。
大問2(3)、大問4、大問5(3)が難問レベル、大問3(2)(3)が最難問レベルでした。
特に、大問4は小問(1)のハードルが高く、
(1)の解法を思いつかないと全問を落としてしまう問題設定だったため、
2日目の中では合否に直結する問題でした。
ここで時間をとられてしまい、平易な大問5を解ききれないと、思わぬ低得点になるおそれがあります。
今回は、大問3・4を解説します。
(1)
(あ)
面白さ☆☆ 難度A
Aは0、5、10のいずれかです。
数の組み合わせは、
A=0のとき、(0,0)の1通り、
A=5のとき、(0,5)、(1,4)、(2,3)ですが、逆の並びも考えて、3×2=6(通り)、
A=10のとき、(5,5)の1通りです。
1+6+1=8(通り)
答え 8通り
(い)
面白さ☆☆ 難度A
Aは1、6のいずれかです。
数の組み合わせは、
A=1のとき、(0、1)ですが、逆の並びも考えて、1×2=2(通り)、
A=6のとき、(1、5)、(2、4)、(3、3)ですが、前の2つは逆の並びも考えて、2×2+1=5(通り)です。
2+5=7(通り)
答え 7通り
(2)
面白さ☆☆☆☆☆ 難度D
袋が4つぐらいまでならば、
(1)と同様に数の組み合わせを書き出しても何とかなりそうですが、
相当にめんどうです。
さらに、書き出すやり方では、(3)を正解するのはまず無理です。
何とか別の方法を考えましょう。
次のような考え方が思いうかべば、ぐっと正解に近づきます。
『それまでの袋から取り出したカードの数の合計がいくつであっても、
最後の袋から取り出すカードを調整することで、
必ず全部の数の合計を5で割り切れるようにすることができる。』
例えば、2つの袋からカードを取り出した時点で、
考えられる数の合計は0から10まで10通りあります。
ここで、
(2つの袋から取り出した数の合計) = 0 → (3つ目の袋から取り出すカードの数) = 0または5、
以下同様に、
1→4 、 2→3 、 3→2 、 4→1 、 5→0または5 、
6→4 、 7→3 、 8→2 、 9→1 、 10→0または5
のようにすれば、全部の数の合計を5で割り切れるようにすることができます。
2つの袋からカードを取り出す取り出し方は全部で、6×6=36(通り)あります。
このうち、2つの袋から取り出した数の合計が5で割り切れる8通りについては、
3つ目の袋から取り出すカードの数が、0と5の2通りあります。
2つの袋から取り出した数の合計が5で割り切れないときは、
3つ目の袋から取り出すカードの数は、すべて1通りに決まります。
よって、3つの袋から取り出したカードに書かれている数の合計が5で割り切れるような取り出し方は、
8×2+(6×6-8)×1=8+6×6=44(通り)あります。
同様に考えて、カードに書かれている数の合計が5で割り切れるような取り出し方は、
袋が4つのときは、44+6×6×6=260(通り)あります。
答え 260通り
(3)
面白さ☆☆☆☆☆ 難度D
(2)で「公式」が完成していれば、単純な計算問題です。
カードに書かれている数の合計が5で割り切れるような取り出し方は、
袋が5つのときは、260+6×6×6×6=1556(通り)あり、
袋が6つのときは、1556+6×6×6×6×6=9332(通り)あります。
答え 9332通り
(1)
面白さ☆☆☆ 難度C
点Bが線分AC上にあって、ちょうど線分ACの中点であることに気づくかどうかがすべてです。
ちなみに、図が正確ではないので、定規を使ってAとCを結んでも、点Bは線分AC上にはきません。
上のように、点F、G、M、Nをとると、三角形CBFと三角形CADが相似であることがわかります。
相似比は、BF:AD = 15:30 = 1:2 なので、点Bは線分ACの中点となり、
BIの長さは、AHの長さとCJの長さの平均になります。
問題の条件から、AH:CJ = 2:5 なので、
BI:AH = (2+5)÷2:2 = 3.5:2 = 7:4 になります。
答え 7/4倍
(2)
面白さ☆☆☆☆ 難度C
三角形EBG、三角形ADM、三角形ADMは相似で、
相似比は、EB:AD:CD = 20+15:30:10+10 = 7:6:4 です。
ここで、BG=7、DM=6、DN=4とおくと、
BI:EL = 7:4×2 = 7:8 で、差の1が7であることから、
EL=7×8=56、AH=56÷2=28とわかります。
よって、DK:AH = 28+6:28 = 34:28 = 17:14 になります。
答え 17/14倍
(3)
面白さ☆☆☆☆ 難度C
CJ=28×5/2=70なので、CN=70-34=36です。
このとき、DN:CN = 4:36 = 1:9 となり、DN:CN = DM:AM = GB:EG であることから、
AM=6×9=54、EG=7×9=63になります。
よって、HJ=54-4=50、
さらに、点Bが線分ACの中点であることからHI=IJなので、JL=63-50÷2=38となり、
JL:HJ = 38:50 = 19:25 になります。
答え 19/25倍