2015年 函館ラ・サール中学校 第1次入試(2)

今回は、函館ラサール中学校の第1次入試について、大問5を取り上げます。

(1)は立体図形、(2)は平面図形(相似)の問題です。

(2)について、本年度の第1次入試では最高難度の問題ですが、

手が出ない難問というわけではなく、図形の折り返しと相似の関係を学ぶにはもってこいの良問です。

受験者平均63.5点、合格者平均74.0点と、かなり高めの平均点を記録していることからも、

学力上位層にとっては、それほど苦労するレベルの問題ではないことがうかがえます。

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(1)

面白さ☆☆☆ 難度B

参考2は、(円すいの体積)=(底面積)×(高さ)÷3 という公式を説明しているだけなので、

知識として知っている受験生がほとんどでしょう。

一方、参考1は、この問題を解くのに大きなヒントになります。

このヒントがなくても正解を出すことは可能ですが、難度がぐっと高くなります。

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AB:BC:CA = 16:12:20 = 4:3:5 なので、

AD=DCのとき、参考1より、DB:BC:CD = 7:24:25 です。

よって、DB = 12×7/24 = 3.5(㎝)、

CD = 12×25/24 = 12.5(㎝) になります。

ここで、CDの延長上に点Eをとり、角AEBが直角になるようにすると、

角CDB = 角ADE、角CBD = 角AED、CD = AD より、

2つの角と1辺が等しいので、三角形CDBと三角形ADBは合同になります。

求める立体は、

AEを底面の半径とし、CEを高さとする円すいから、

AEを底面の半径とし、DEを高さとする円すいをのぞいた立体です。

その体積は、AEを底面の半径とし、CDを高さとする円すいの体積に同じになります。

AE = CB = 12㎝、CD = 12.5㎝ なので、

求める体積は 12×12×3.14×12.5÷3 = 1884(㎤) になります。

答え 1884㎤

※参考1があたえられていない場合は、次のように考えます。

DからACに垂線DHを引くと、DHによって三角形ADCは合同な2つの三角形に分けられます。

このとき、三角形ADHは三角形ACBと相似になるので、AH:HD:DA = 4:3:5 です。

AH = 20÷2 = 10(㎝) なので、

AD = CD = 10×5/4 = 12.5(㎝)、DB = 16-12.5 = 3.5(㎝) となり、

DB:BC:CD = 3.5:12:12.5 = 7:24:25 になります。


(2)

面白さ☆☆☆☆ 難度C

折り返した後にできる図形を、正確に作図できないと、正解にたどりつくのは難しいでしょう。

このときの折り目をEF(折り目の両はしの点のうち、辺AB上の点をE,辺CD上の点をFとします)とし、

台形AEFDをEFを折り目として折り返したときに、点Aが移る点をG、点Dが移る点をHとします。

また、BCとGHの交わる点をIとします。

このとき、折り返した後にできる図形は、下のようになります。

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ここで、三角形PBQに注目します。

条件から、PB = 4㎝、BQ = 3㎝、角PBQ = 90° なので、

三角形PBQは、PB:BQ:QP = 3:4:5 の直角三角形であることがわかります。

また、点Pが点Qに移ることから、PE=EQとなります。

このときにできる図形をよく見ると、三角形PBQと三角形EBQは、

それぞれ、(1)の三角形ABC、三角形DBCを4分の1に縮小した三角形になっていることがわかります。

よって、EB = DB÷4 = 3.5÷4 = 0.875(㎝) になります。

 

また、角BQE = 角GQI、角EBQ = 角IGQ、BQ = QG ( = AP = 3㎝ )より、

2つの角と1辺が等しいので、三角形EBQと三角形IGQは合同になります。

同様に考えると、三角形EBQ、三角形IGQ、三角形ICR、三角形FHRは、

すべて合同な三角形になります。

このとき、BE = DFより、折り目EFは正方形ABCDの面積を2等分するので、

折り返したあとにできる図形の面積は、

正方形ABCDの面積の半分に、三角形IGQの面積と三角形FHRの面積を加えたものになります。

よって、求める面積は、7×7÷2+3×0.875÷2×2 = 27.125(㎠) になります。

答え 27.125㎠

 

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