2014年 灘中学校 算数(1)

今回は、全国最難関校の1つである灘中学校の入試問題から、

算数1日目を解説します。

2014年度入試での算数1日目の結果は、受験者平均が57.2点、合格者平均点が73.3点でした。

昨年度に比べて受験者平均は約12点、合格者平均点は約15点の上昇となり、かなり易しくなりました。

算数1日目は例年、単問形式の小問ばかりが出題され、2014年度の総解答数は15題でした。

1題あたりの平均解答時間は4分です。

2013年度入試では、一筋縄では正解にたどりつけない「手数のかかる」問題が大半を占めました。

一方、2014年度入試では、1~3、6・8・9・10のような一定以上の難度の問題を解き慣れている受験生にとっては、

一読して解法がイメージできる上に、計算の手順もそれほど多くはない問題が目立ちました。

そのため、例年以上に解くべき問題捨てる問題の取捨選択が合否のカギを握りました。

解くべき問題を確実に処理できれば、7割以上の得点をとるのはさほど難しくありません。

ただし、受験の雰囲気に飲まれて問題の選択を誤ってしまうと、思わぬ低得点になるおそれも多分にあります。

今回は、1日目の中ではかなり正答率が低かったことが予想される問題を、

数の性質・立体図形の分野から1題ずつ取り上げます。

特に11は、手順を誤ると計算量が膨大になってしまいます。

1日目の最終問題ということもあって、時間内に正解にたどりつくには、相当ハイレベルの演習量が要求されます。


 

nada-2014-math-1-1

難度C 面白さ☆☆☆☆☆

整数の累乗という概念に慣れていない人には、相当難しく感じられるはずです。

最小の整数は、2×2×2×2×2×2×2(2の7乗)=128です。

ここから、7個の2のうち何個かを他の素数に置き換えることを考えます。

2を3に置き換えると、結果が128の3/2倍になります。

128×3/2=192・・・小さい方から2番目。

2を2×2に置き換えると、結果が128の2倍になります。

128×2=256・・・小さい方から3番目。

2×2を3×3に置き換えると、結果が128の9/4倍になります。

128×9/4=288・・・小さい方から4番目。

2を5に置き換えると、結果が128の5/2倍になります。

128×5/2=320・・・小さい方から5番目。

上のように、結果が128の何倍になるかを考えて、

小さい順に、3/2倍、2倍、9/4倍、5/2倍と考えられれば理想的ですが、

実際の試験会場では、何通りかの素数の積を書きだしてみて、

小さい順に並べて正解を求めた受験生が多いと思われます。

何とか正解にたどりつけても、「確実に正解である」という検証は難しいですね。

ふだんから、2の5乗は32、2の10乗は1024、3の5乗は243、5の4乗は625のように、

素数の累乗の代表的な数値に慣れていることが要求されます。

3の5乗が243という「知識」があれば、

3×3×3×3×3×2×2=243×4=972

という計算結果が頭にうかびます。

本番の入試では、ひとまず解答欄に972という答えを書いて、

「確かめは、よほど時間があれば・・・」という方針でよいでしょう。

ここでは、972が最大値であることを確かめてみましょう。

3×3×3×3×3×3×3の計算結果は明らかに1000を超えるので、

計算式には必ず2が含まれ、計算結果は偶数になります。

974から1000までの偶数を順に調べると、

974=2×487、

976=2×2×2×2×61、

978=2×489、

980=2×2×5×7×7、

982=2×491、

984=2×2×2×3×41、

986=2×493、

988=2×2×247、

990=2×3×3×5×11、

992=2×2×2×2×2×31、

994=2×7×71、

996=2×2×3×83、

998=2×499、

1000=2×2×2×5×5×5

のようになり、いずれも6個以下の素数の積になります。

答え ①320 ②972


nada-2014-math-1-2

難度D 面白さ☆☆☆☆

最初にどのような方針を立てるかがすべてです。

斜線部を分割する手もありますが、計算手順が増えて大変です。ここはやはり、

底面の半径8㎝、高さ4㎝の円柱から、2種類の直角三角形(図の白い部分)の回転体の体積を引いて求めましょう。

下のA、B、Cの回転体の体積を考えます。

nada-2014-math-1-3

底面の半径7㎝、高さ7㎝の円すいの体積を1とすると、

Aの回転体の体積は、4/7×4/7×4/7=64/343

Bの回転体の体積は、4×4×4-1/7×1/7×1/7=63/343

になります。

よって、Cの回転体の体積は、

1-64/343-63/343=216/343になります。

7×7×3.14×7÷3×216/343=72×3.14(㎤)

次に、下のD、Eの回転体の体積を考えます。

nada-2014-math-1-4

底面の半径8㎝、高さ8㎝の円すいの体積を1とすると、

Dの回転体の体積は、8×8×8-5/8×5/8×5/8=387/512になります。

8×8×3.14×8÷3×387/512=129×3.14(㎤)

なので、Eの回転体の体積は、

8×8×3.14×3-129×3.14=63×3.14(㎤)

よって、求める体積は、

8×8×3.14×4-72×3.14-63×3.14=121×3.14=379.94(㎤)

答え 379.94

 

Comments are closed.