2014年 ラサール中学校 算数(1)
今回は、九州有数の進学校であるラサール中学校の問題を取り上げます。
本校の入試は算数100点・国語100点・理科50点・社会50点の300点満点で、
近年の合格ラインは180点前後です。
本年度入試の平均点は未発表ですが、
2013年度入試での各教科の合格者平均と不合格者平均の得点差は、
算数14.0点、国語7.4点、理科4.5点、社会3.8点となっています。
やはり、算数の点数が合否を大きく左右する入試と言えます。
2014年度は、標準札幌校から5名が挑戦し、全員合格を達成しました。
過去6年間の合格率は94%です。
2014度の出題内容は、次の通りです。
大問1(12点) 計算問題3問(12点)
大問2(30点)
(1)数の性質
(2)平面図形の面積
(3)倍数変化算
(4)平面図形(折り返しと角度)
大問3(17点) 速さと比
大問4(18点) 数の性質
大問5(13点) 平面図形(相似)
大問4(18点) 立体図形の体積
本校の算数入試の特色として、「出題傾向が毎年ほぼ一定である」ということが挙げられます。
後半の大問4題のうち、3題は
「速さと比」 「平面図形(図形の移動または相似)」 「立体図形の体積」
の3分野から1題ずつ出題され、残りの1題は
「数の性質」 「場合の数」 「文章題(ニュートン算・仕事算・損益算など)」
などの分野から年替わりで出題されます。
なお、ラサール中学校の算数の入試問題は、全国的にもめずらしい手書きスタイルです。
今回は、「これぞ、ラサール入試の平面図形」という典型的な出題となった
大問5を取り上げて解説します。
2014年度の入試では、最も難しい問題です。
うまく補助線を引くことができれば、おなじみの相似が見つかります。
(1)
難度C 面白さ☆☆☆
三角形FEHと三角形CDEの面積が等しいことを利用します。
CF、DHを結ぶと、三角形FDH(=三角形FEH+三角形EDH)と、
三角形CDH(=三角形CDE+三角形EDH)の面積が等しくなるので、
CFとDHが平行であることがわかります。
(HDを底辺としたときの、三角形FDHと三角形CDHの高さが等しいからです。)
CF:DH=BC:BD=3:(3+2)=3:5 となり、相似より、
CE:EH=CF:DH=3:5 と求められました。
答え 3:5
(2)
難度C 面白さ☆☆☆
GH、BEを結ぶと、(1)と同様に考えて、GHとBEは平行になります。
CFとDHが平行であることから、BF:FH=BC:CD=3:2 となり、
相似より、BE:GH=BF:FH=3:2 です。
さらに、AB:AG=AE:AH=BE:GH=3:2 なので、
AG:GB=AH:HE=2:(3-2)=2:1 です。
(1)の結果と合わせると、AH:HE:EC=(5×2):5:3=10:5:3 です。
これで準備完了です。
斜線の3つの三角形の面積はすべて等しいので、
三角形BFGのかわりに、三角形ECDの面積を求めます。
三角形ABCと三角形ECDを比べると、
底辺の長さの比は、BC:CD=3:2、
高さの比は、AC:EC=(10+5+3):3=18:3=6:1 になっているので、
面積の比は、(3×6):(2×1)=18:2=9:1 です。
三角形ECDの面積は、72×1/9=8(㎠) と求められました。
答え 8㎠
(3)
難度B 面白さ☆☆
(2)と同様に考えれば、簡単に求められます。
三角形ABCと三角形BDGを比べると、
底辺の長さの比は、BC:BD=3:5、
高さの比は、AB:GB=3:1 になっているので、
面積の比は、(3×3):(5×1)=9:5 です。
三角形BDGの面積は、72×5/9=40(㎠) と求められました。
答え 40㎠
最初は、問題を解くための「取っ掛かり」を見つけにくく感じますが、
「一見して難しく思える図形も、実は基本図形の組み合わせである。」
という見本のような問題です。
「補助線の引き方」「相似の利用のしかた」「面積比の求め方」など、
受験算数に必要なさまざまなテクニックを確認できる良問なので、
ラサールの志望者に限らず、ぜひとも解法を習得して下さい。