2009年 北嶺中学校 算数(1)
『北嶺突破ゼミ』開講に合わせて、過去の北嶺入試で出題された難問や、合否を分けた問題を取り上げて解説しています。
今回は、2009年の大問5です。
近年の入試では、難関校に限らず、「立体切断」が頻出単元となっています。
標準札幌校でも、6年生の授業で「立体切断」の法則の理解や問題演習に
多くの時間を割いて、対策を講じています。
基本の法則自体はそれほど難しくないので、法則をしっかりと理解した上で、
基本的な作図が自分で描けるようになるまで練習を重ねることが大切です。
問題の解説に入る前に、『立体切断の3法則(切り口の作図のしかた)』を確認しておきましょう。
法則1・・・同じ平面上の2点は、そのまま直線で結ぶ。
法則2・・・たがいに平行な2つの平面上にできる切り口の直線は、
平行である。
法則3・・・法則1、2で切り口の直線が決定しない場合は、
辺を延長して面を大きくとらえた上で、法則1,2に従う。
この3つの法則だけで、平面で囲まれた立体を1回だけ切断するときの、
切り口の作図が完成します。
では、今回の問題解説です。
ていねいな導入があるので、(1)(2)までは「立体切断」に不慣れな受験生でも対応できそうです。
ただし(3)は、十分に切り口の作図の練習をこなしている受験生でないと、
正解するのは難しいでしょう。
問題は標準札幌校のホームページの北嶺中学校過去入試問題からダウンロードできます。
(1)
難度A 面白さ☆☆☆
本問ではていねいな導入がついていますが、図1の三角すいの展開図が正方形になることは
広く知られています。
三角形ABCの面積は、
正方形の面積から、三角形ABCのまわりの3つの三角形の面積を引けば求められます。
8×8-4×8÷2×2-4×4÷2=24
答え 24㎠
(2)
難度B 面白さ☆☆☆
図3の立体を、真正面、真上、真横のどの方向から見ても、
1辺4㎝の正方形の面が3つ見えます。
それぞれ裏側から見た場合も同じなので、
6つの方向から見える面の数の合計は、(3+3+3)×2=18(面)になります。
6つの方向から見える面の数の合計=立体の表面積 なので、ぬられた部分の面積は、
4×4×18=288(㎠) になります。
答え 288㎠
※ 「いくつかの立方体の面と面をぴったりはり合わせてできる立体」の表面積を求めるときには、
(表面積)=(真正面から見える面積+真上から見える面積+真横から見える面積)×2
という考え方が基本になります。
(3)
難度C 面白さ☆☆☆
切り口を作図すると、下図のようになります。
先ほどの『立体切断の3法則』に従って、なぜこのような切り口になるのか、順に説明しましょう。
① AとB、BとC、CとAは、それぞれ同じ平面上にあるので、それぞれを直線で結びます。
・・・法則1
② ABをふくむ面とたがいに平行な面上にできる切り口の直線は、ABと平行になることから、
切り口EF、GH、IC、CJが決定します。・・・法則2
③ EとI、HとJ、それぞれ同じ平面上にあるので、それぞれを直線で結びます。・・・法則1
以上で、立体の切断面がわかりました。
さて、三角形ABCの面積は、(1)より24㎠です。
また、台形EICF、台形GCJHは、
ともに三角形ABCと合同な三角形から、三角形ABCを2分の1に縮小した三角形を
切り取った図形です。
図形を2分の1に縮小すると、その面積は、4分の1になるので、
台形EICFと台形GCJHの面積は、ともに,24-24÷4=18(㎠) になります。
よって、切り口の図形の面積は、24+18×2=60(㎠) になります。
答え 60㎠