2008年 北嶺中学校 算数(1)
『北嶺突破ゼミ』開講に合わせて、過去の北嶺入試で出題された難問や、合否を分けた問題を取り上げて解説しています。
今回は、2008年の大問5です。
今まで解説してきた問題とは、がらりと傾向が変わり、
「思考クイズ」の要素がふんだんに盛り込まれた出題となっています。
「面白さ」の評価は、過去最高に並ぶ☆☆☆☆☆としました。
全体の正答率はかなり低かったようですが、考えること自体が大好きで、
解決にいたるまでの思考過程を楽しむことのできる受験生にとっては、
それほど難しく感じないかもしれません。
問題は標準札幌校のホームページの北嶺中学校過去入試問題からダウンロードできます。
(1)
難度B 面白さ☆☆☆☆☆
3個の球をA、B、Cとします。
ここでは等号と不等号を用いて、重さの大小を表しています。
1回目
AとBを比べます。
A=Bのとき、重い球はCとわかります。
A>Bのとき、重い球はAとわかります。
A<Bのとき、重い球はBとわかります。
よって、天びんを用いる最低の回数は1回です。
答え 1回
(2)
難度C ☆☆☆☆☆
9個の球をA、B、C、D、E、F、G、H、Iとします。
1回目
A・B・CとD・E・Fを比べます。
1回目の結果がA・B・C=D・E・Fのとき、重い球はG、H、Iのどれかであることがわかります。
2回目
GとHを比べます。
G=Hのとき、重い球はIとわかります。
G>Hのとき、重い球はGとわかります。
G<Hのとき、重い球はHとわかります。
1回目の結果がA・B・C>D・E・Fのとき、重い球はA,B,Cのどれかであることがわかります。
2回目
AとBを比べます。
A=Bのとき、重い球はCとわかります。
A>Bのとき、重い球はAとわかります。
A<Bのとき、重い球はBとわかります。
1回目の結果がA・B・C<D・E・Fのときも、上と同様なので、
天びんを用いる最低の回数は2回です。
答え 2回
(3)
難度C 面白さ☆☆☆☆☆
9個の球をA、B、C、D、E、F、G、H、Iとします。
1回目
A・B・CとD・E・Fを比べます。
1回目の結果がA・B・C=D・E・Fのとき、
重さの異なる球はG、H、Iのどれかであることがわかります。
2回目
AとGを比べます。
2回目の結果がA=Gのとき、重さの異なる球はH、Iのどれかであることがわかります。
3回目
AとHを比べます。
A=Hのとき、重さの異なる球はIとわかります。
A>H、またはA<Hのとき、重さの異なる球はHとわかります。
1回目の結果がA・B・C>D・E・Fのとき、
重さの異なる球はA、B、Cのどれかが重い、またはD、E、Fのどれかが軽いことがわかります。
2回目
A・B・CとG・H・Iを比べます。
2回目の結果がA・B・C=G・H・Iのとき、D、E、Fのどれかが軽いことがわかります。
3回目
DとEを比べます。
D=Eのとき、重さの異なる球はFとわかります。
D>Eのとき、重さの異なる球はDとわかります。
D<Eのとき、重さの異なる球はEとわかります。
2回目の結果がA・B・C>G・H・Iのとき、A、B、Cのどれかが重いことがわかります。
3回目
AとBを比べます。
A=Bのとき、重さの異なる球はCとわかります。
A>Bのとき、重さの異なる球はAとわかります。
A<Bのとき、重さの異なる球はBとわかります。
2回目の結果がA・B・C<G・H・Iのときも、上と同様なので、
天びんを用いる最低の回数は3回です。
答え 3回
(4)
難度C 面白さ☆☆☆☆☆
5個の球をA、B、C、D、Eとします。
1回目
A・BとC・Dを比べます。
1回目の結果がA・B=C・Dのとき、
A、Bの一方が重く、またC、Dの一方が重いことがわかります。
2回目
AとBを比べます。
A>Bのとき、重い球の1つはAとわかります。
A<Bのとき、重い球の1つはBとわかります。
3回目
CとDを比べます。
C>Dのとき、重い球の1つはCとわかります。
C<Dのとき、重い球の1つはDとわかります。
1回目の結果がA・B>C・Dのとき、
A、Bの一方が重く、またEが重いことがわかります。
2回目
AとBを比べます。
A>Bのとき、重い球の1つはAとわかります。
A<Bのとき、重い球の1つはBとわかります。
1回目の結果がA・B<C・Dのときも、上と同様なので、
天びんを用いる最低の回数は3回です。
答え 3回
過去に灘中学校の入試で、よく似た問題が出題されています。
問題の内容は、
13個の見た目には区別できない球があります。
このうち12個は同じ重さですが、
残りの1個は他の12個と重さが異なる球です。
この重さの異なる球を天びんのみを用いて、
天びんを用いる回数を3回以内で
確実に見つけ出す方法を答えなさい。
というものでした。
(3)の9個に比べてぐっと難度が上がりますが、3回で重さの異なる球の特定が可能です。
意欲のある人は、ぜひチャレンジしてみて下さい。